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18・将来を見据えて候

「何でだよ!」


 静が騒いでいるが、僕の予想通りに鎌倉討伐は許可されなかった。散々騒いだ静だが、妊娠が分かると大人しくしてくれた。


 僕はその間に鎌倉や西国について調べてみたのだが、当然だが、鎌倉はこれ以上の平家討伐が事実上不可能になっていた。


 確かに、三郎が熊野水軍を口説き落とした事で水軍の不利は無くなっていたのだが、誰が大将となるかというと、誰も手を上げようとはしなかった。

 そりゃあそうだ、範頼や義経という嫡流が手柄を立てた途端に罷免されたのだ、誰もやりたがらない。今のところ範頼は幽閉らしいが今後どうなるかは誰もが予想している事だろう。


 総大将として平家討伐などすれば、自分も範頼と同じ目に遭う。そう考えたら誰が名乗り出る?


 当然、甲斐勢などの手柄を上げても頼朝が手を下せないところへ話を持って行く事もしない。


 ならば、鎌倉子飼いの武将ではどうかとなるだろうが、各地の主要な源氏を率いる指揮官が各頭目より格下とか誰が受け入れる?福原攻略は嫡流である範頼や義経という旗頭あっての話だ。


 どうやら今になって頼朝が困っているという話も聞こえてきたが、今更範頼を放免しても反乱の目を育てるだけでしかなく、静が逃亡時に啖呵を切ったように、義経への要請となれば、主力を奥州から連れ出すことになる。西国以前に鎌倉が制圧される危険性が頼朝の頭にある事だろう。


 結局、静の出産が無事に終わっても鎌倉は動けなかった。


「赤子の乳はどうすんだ?お前が動いても解決しない!」


 静をとにかく家に閉じ込めるのに苦労しながら情勢を調べてみたが、やはり鎌倉が動けないことで平家は西国の掌握が出来ているらしい。

 京でもいつの間にやら平家との和解なんて話が出てきている始末で、源平並立論が台頭している。


 つまり、坂東の独立を認める代わりに西国は平家の配下という事だ。奥州が現状維持というのも変わらない。


 さて、こうなると頼朝による奥州侵攻はあり得ない。坂東の独立しかできなかった以上、頼朝の力も限られている。


 その間にも奥州では装術師や釜石の鍛冶屋町による戦力増強と鉄器量産が続いている。妖装や脚装への鉄の利用に留まらず、鍬や斧も廉価で量産できるようになった。

 その結果、奥州の開墾がものすごい速さで進んでいく。


「なんだ、コレは・・・」


 僕も鎌倉や西国の事を他人に任せて脚装で奥州を飛び回って色々な探索をやったりしていたのだが、陸奥湾で見かけた船には驚愕してしまった。


「アレはこの辺りの者たちが扱う船ですよ。アレで高麗や契丹(キン)との交易を行っております。東の大島とも行き来があるようですね」


 高麗や金、そしてアイヌと交流があるのか。日本海を自由に往来できる航海術、しかも、あの三角帆ってポリネシアカヌーの帆じゃねぇの?


「まさか、南方まで出かけてたりはしないよね?」


 そう聞いてみると


「伝承では遥か南方の国々との交易もあったそうですが、風詠とか星詠という唄として南へ行く事は可能だと言っておりますね。嘘か誠か行って帰るのに何年もかかる遠方だそうですが」


 うわ、三内丸山古墳の連中か?ラピタ(びと)だよ!


 僕は彼らに宋の船みたいな大型船建造が出来ないかと無茶振りした。三陸の連中も寄せ集めてとにかく出来ることをやってもらう事にしたわけだ。材料の切り出しや造船には脚装を使えるようにもした。


「いっそ、大島へも乗り出してみないか?」


 僕はそう言って北海道開拓に乗り出すことも提案したんだ。





 あれから5年、確か今年、数えで31になるから頼朝が攻めて来る年なのだが、全くその気配はない。


 造船の指示から3年でもあるが、どうやらジャンク船と大差ないモノを造り出すことに成功したらしい。

 ジャンク船というと西欧のガレオン船などに劣ると思っていたが、どうもそうでもないらしい。コレで日本海を縦横に航海できるだけでなく、南洋へも行けるだろうと言っている。ホントかどうかは行かせてみないと分からないが。


 どうやら春を過ぎ、夏を迎えようというのに戦の気配はない。


 当然と言えば当然だ。


 頼朝は関東一円をうまく取りまとめて征夷大将軍に収まったが、西国では完全に平家が力を取り戻している。京を境に幕府と関白で差配する領域が異なっている。当然、奥州もだが。


「父上、私も大島へ行きたいです」


秀経(ひでつね)か、そうだな。元服したんだから行ってくるか」


 僕の長男もすでに15歳、いや数えでもう16だ。元服しており北海道進出に名乗り出ている。ここが史実通りの気候ならばあと40年程度で寒冷化していくだろうが、それまでに北海道に地保を築いておきたい。

 これからどうなるか分からないが、出来るだけの事はして行こう。前世で読んだ仮想戦記みたいに日本がオーストラリアまで勢力を伸ばしてるとかできたら面白いが、僕の代で出来るのはせいぜい北海道くらいでしかないだろう。 

これにて完結。


義経が義経らしく義経をやっていない。というか、やらせるつもりが無かったので静に暴れてもらった。


そもそも平家を潰す気が無かったというのが一番の理由。


坂東武者っていわばランドパワーでしょ?大陸的思考になっていきそうだからあえて弱小勢力で居てもらう方が良いと思ってそうした。


そして、伝説上の縄文人ポリネシア同祖ルートを選んでみた。これで奥州もシーパワーだからね。




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