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八話 綾香の思い

遅くなってしまいすみません…

毎日投稿のリバウンドがっ…(ほんまきつかったんです)

という訳でお待ちしている人には申し訳ないのですが1週間で、1、2投稿出来ればいいなと気持ちで書いていきます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

ダンジョンに入って30分ほどだった。最前線を走っていた私たちは既に十層の最深部に足を進めていた。


ダンジョンのモンスターはあらかた一撃で絶命していくので気持ち悪い容姿のゴブリンなどはあまり気にせずに済んでいた。


「俺たちにはこのダンジョンは簡単すぎたかな」

「んー…そうかも」


神崎さんと白石さんが2人並んで歩いていく。私は彼らから1歩後ろに下がっていた。


「綾香もそう思わないか?」

「えっ、う…うん。そうだね」


神崎さんがいきなり振り返ってきて話しかけてくるからびっくりしました。


「大丈夫?あと少しでダンジョンボスと戦うことになる。疲れてるなら少し休もうか」

「平気、平気!疲れてないから」

「誠も心配しすぎだよ。綾香ちゃんだって強いんだから」

「そうか…分かったよ」


神崎さんは白石さんに注意されて、素直に頷く。


神崎さんはどこか物語の主人公のような雰囲気を纏っています。イケメンで頭脳明晰、運動センスもいいのです。彼の人気はこの世界でも健在で、メイドたちがキャーキャー言っているのを見たことがある。そのメイドたちに手を振り返す始末。本当に主人公としか思えません。


だとすると私と白石さんはさながら神崎さんのヒロインでしょうか。ですがそれは絶対にありえないし、頼まれてもお断りです。


やっとの思いでゆきくんと付き合えたというのにこの幸せを手放すはずがありません。


それに私は彼が馴れ馴れしくて少し苦手です。同じグループになって、いつの間にか「綾香」なんて呼び捨てにされていた。

まだゆきくんにも呼び捨てで呼ばれたことないのに…


考え事をしているうちにどうやら最深部に着いたようです。


そこは大きく開かれた場所だった。神崎さんが先行し、私と白石さんは後ろを付いていく。


すると、空中で謎の粒子が集まっていき、人型を作っていく。


「ガガァァアア!!」


それは鎧をみにつけた大きめのゴブリンとなって現れた。飢餓状態のゴブリンではなく、腕や足にはしっかりとした筋肉がついている所から明らかに今までの敵とは違う強さなのが見て取れる。


「あれはゴブリンロードだ。俺たちが普通に戦えば楽勝な相手だ。だからといって油断はしない。練習通り、俺が前で受ける。綾香は隙をついて攻撃。結衣は後ろで援護だ!」


そう言うと神崎さんはゴブリンに向かって走る。神崎さんのAGIは高く、ゴブリンロードはどうやら目で追えていないようだった。


「はぁっ!」


神崎さんは神剣ソラウクラスをゴブリンロードの武器に切り付ける。

ゴブリンロードの武器は衝撃で破壊され、ノックバック状態になる。本当は武器破壊までするつもりはなかったらしく、神崎さん自身驚いている様子だった。


「二人とも!今だ!」

「ストレングクリメント!」


神崎さんの合図で白石さんが私にバフをかける。STRを増加する魔法で力が強くなったのを確かに感じる。


「刹那一閃!」


そう叫ぶと私の体は疾風の如く跳躍し、神刀天月は仰け反っているゴブリンロードの首を抵抗なく切り落とした。


その瞬間、ゴブリンロードの時が止まったように停止し、光の粒子となって弾け、消えていった。


首を切るという感覚に気持ち悪くなる。ゲームのように死体が残らないのが唯一の救いだった。私は吐き気を抑えながら刀を鞘にもどす。


「お疲れ様。鮮やかな剣技だったよ」

「……ありがとう…」


私は気分が悪いのを隠すように神崎さんから離れた。神崎さんは少し訝しんだが、特に聞く様子はなかった。


「やっぱり俺らにはここのダンジョンじゃ簡単すぎたな」

「そうだね」


白石さんが軽く返事をする。白石さんの神崎さんへの態度はゆきくんと一変して少し冷たいように感じます。


白石さんはやっぱりゆきくんのことが…


──そう言えば、ゆきくん…大丈夫でしょうか。





私たちはダンジョンボスを倒し、第十層から地上に戻る。


ダンジョンボスを最後に倒した人にはラストアタックボーナスが貰えるらしく、私の手の中には一つの指輪がありました。


バックに入っていた真実のクリスタルの欠片で鑑定してみると、守護の指輪と書いてあって、DFEを10上げる装備でした。


私はこれをゆきくんにプレゼントしたいと考えています。


私は指輪をプレゼントした時のゆきくんの顔を想像して少し顔が緩んでしまいます。


「そろそろ二階層だ。そろそろダンジョンにもぐって1時間くらいたったかな」


神崎さんを先頭に、真ん中に白石さん、後ろに私という陣形で進んでいた。これは話し合って決めたのではなく、自然となっていたものだった。


「ゆきくん…大丈夫かな…」


白石さんがそう呟く。小さな呟きだったが、この洞窟型のダンジョンでは響いてしまい、神崎さんと私に聞こえた。


「あ、いえ!なんでもないの!」


白石さんは少し恥ずかしそうにしながら首を横に振る。その様子を見て神崎さんが


「大丈夫だよ。それに何かあっても俺がいれば何とかなるから」

「う、うん…そうだね」


白石さんは苦笑いしながら相槌を打つ。恥ずかしげもなく言う神崎さんは少し…気持ち悪かった。


「きゃぁぁあああぁああ!!!」


「な、なんだ!?」

「なに!?」


奥の方から女の悲鳴が聞こえた。私たちは急いでその声の聞こえたほうへ走る。


私は悲鳴が聞こえてから妙な胸騒ぎがしていた。そんなことはないと何度も呟く。



しかしそんな思いは虚しく散る。


そこに居たのは───血だらけで倒れてるゆきくんだった。


「あ''ぁぁあぁぁぁぁあぁあぁ!!」


私の身体はステータスの概念をも超える速度で動き、ゆきくんの目の前にいたゴブリンの首をはねる。


ゴブリンの首は血が飛び出ないほどに鮮やかに切断され、しばらくゴブリンは自分が死んだというのを自覚しないまま歩き、そしてポリゴンとなって弾けた。


「ゆきくん!!」


私はゆきくんを抱き寄せる。ゆきくんは胸を斜めに斬られ、そこから出てくるとめどない血は私の服に染み込み、床を濡らす。


私は袖を破り、傷口に巻き込むが傷口は大きすぎて血は全然止まらない。


「だめっ…血が止まらない。私…ゆきくんを守るって言ったのに…!」


目から溢れ出る涙で目の前が白んでいく。ゆきくんが滲んでいく。そんな時だった。


「なに情けないこと言ってるの!?私なら、助けられる…!」


白石さんはそう言うと、神杖エストロットを両手に持ち、床に突き立てる。


「彼の者を癒したまえ…治癒(ヒール)!!」


ゆきくんの傷口が逆再生したかのように塞がっていく。そしてすぐに傷口は完全に塞がれ、肌には傷跡も残っていなかった。


白石さんは真実のクリスタルの欠片を取り出し、ゆきくんに当てる。


────


橘 雪 Lv1 性別 男 種族 人間(?)

ジョブ 村人C


HP 20/20 MP 0/5 EXP 0/5

STR 8

VIT 3

DFE 7

INT 9

DEX 5

AGI 5

LUK 10


スキル

言語理解 雷魔法Ⅰ


────

白石さんはゆきくんのステータスに一瞬動きを止める。ゆきくんのステータスが低かったことを知らなかったのかもしれない。


可視化されたゆきくんのステータスを見ると

、HPが全回復されていて、MPは0なのが分かる。


「失った血液まではすぐには戻らないから貧血気味になっちゃうけど、これで大丈夫なはず」


白石さんはゆきくんの頬を優しく撫でる。目の端に涙を滲ませ、微笑んでいる。その姿はまるで本物の聖女だった。


そんな白石さんを見て、ゆきくんには白石さんの方が幸せになるのではないかと考えてしまう。劣等感に押しつぶされそうだった。


「ここに留まるのは危険だ。早く地上に出よう」


ゆきくんが無事だとわかったところで神崎さんが指揮を執る。低層だが、気を失っているゆきくんがいるのです。守りながら戦うのは危ない。


「そ、それなら…俺に雪を運ばせてくれ!」


ここで声を上げたのは、ゆきくんと一緒のチームの遠藤 直己さんだった。


「俺、雪が頑張って戦っているのに怖くて何も出来なかったんだ。…だから!雪を地上に連れていくだけでもしてやりたいんだ!お願いします!!」


遠藤さんは神崎さんに頭を下げる。すると神崎さんは困ったような顔をして、


「俺が決定権を持ってるわけじゃないんだけど…強いて言うなら綾香かな?」


神崎さんは私に目で問いかける。遠藤さんは私と聞いて一瞬なぜだろうと言う顔をするが私に深く頭を下げてくる。


「は、はい…それじゃあ、お願いします…」

「ありがとうございます!!」


本当のことを言うと私がゆきくんをおぶって行きたいなと思ってたけど…仕方ないです…


「急ぐぞ!一応、橘くんをアルベルト教官に診せなければな」


神崎さんはそう言うと、私の膝を枕にしていたゆきくんを軽々と持ち上げ、遠藤さんの背中におぶらせる。


「わたしは万が一に備えてゆきくんのそばにいるよ」


白石さんは歩き始めた遠藤さんの隣に付く。


後ろからだと、ゆきくんと白石が隣合って並んでいるように見える。


私はその二人を見ていることしか出来なかった。


~~~~~~~


神崎 誠:オールラウンダー型


────


神崎 誠 Lv6 性別 男 種族 人間

ジョブ 光 勇者


HP 780/780 MP 114/180 EXP 13/80

STR 204

VIT 182

DFE 174

INT 198

DEX 187

AGI 173

LUK 120


スキル

言語理解 経験値上昇 全ステータス補正 限界突破 導く者 光の加護 全属性耐性Ⅰ光魔法Ⅱ剣術Ⅰ 格闘術Ⅰ


────


限界突破:1分間のあいだステータスを3倍に上昇する。反動が凄く、使い終わるとしばらく全てのスキルが使用不可となり、クールタイムは24時間


導く者:このスキルを持つものが指示する行動にMP減少


光の加護:全ての光属性攻撃をダメージ2倍。闇属性、魔族からの攻撃を半分減少



スキルレベルは易々と上がるものでは無く、使用回数によって練度が高まりレベルアップしていく仕様です。

*ステータスの変更はあるかもです


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