【漫才短編】家の(ガンコ?)婆ちゃん
ある日、同僚のサラリーマン同士の会話。
ツッコミ「あー疲れたー!」
ボケ「おい、どうしたんだよ? 仕事関係か?」
ツッコミ「違う違う。家の爺ちゃんがさ、最近ガンコになってきてさ? 昔はもう少しまともだったんだけど、最近は1度話が拗れると長くなって……」
ボケ「あー分かるわー。オレん家の婆ちゃんもガキだった頃に比べてガンコになってきたから。まあ、昔から負けず嫌いではあったんだけど」
ツッコミ「へえ? 例えば?」
ボケ「そうだなー、テレビとかで政治の話がニュースで流れるけど、世代が違うから意見が違ってきてさ、アレが正しいんじゃねーの? これは間違ってるだろ! ってその場で長く話し合いに発展するんだよ」
ツッコミ「あー、祖母と孫でちょっとした論争するわけか」
ボケ「1つのニュースで気付いたら1時間言い争ったこともあったわ」
ツッコミ「長過ぎだろ!? どんだけ盛り上がったんだよ!?」
ボケ「言っただろ婆ちゃん負けず嫌いだって。何度論破しても一向に自分の負け認めないんだよ」
ツッコミ「すげーなそれ……」
ボケ「で、やっぱり老人だからか途中で自分が何言ったのか忘れて、もう1度同じこと繰り返したりするんだ」
ツッコミ「会話がループしてるじゃんか!? てか、論争が1時間も掛かるのそれが原因だろ!?」
ボケ「あ!? だからか!」
ツッコミ「今気付いたの!?」
ボケ「どうりでデジャブな会話が多いと思った」
ツッコミ「鈍すぎだろ!」
ボケ「地震が起きてもグースカ眠ってる婆ちゃん程じゃないって」
ツッコミ「震災の時、心配になるなそれ……」
ボケ「前にお袋が『お婆ちゃん、最近は寝むれてるの?』って心配したら、『十分どころか二十分眠れてるよ』って笑うぐらいだからな」
ツッコミ「まあ、よく寝れないよりはマシか」
ボケ「“十分”でよく眠れるんなら“二十分”だと永眠レベルじゃね? って思ったけど」
ツッコミ「笑えねえよ! 不謹慎だぞオマエ!?」
ボケ「“三十分”だと三途の川を渡り終えてるのかなー?」
ツッコミ「知るかー!」
ボケ「そんな婆ちゃんもオレが大人になる頃にはガンコさに磨きが掛かってさ。細かいことは省くけど、オレが正論言ったりツッコミ入れても柳に風。家族も『お婆ちゃんは治外法権だから何でも許されるんだよ』と言う始末」
ツッコミ「そりゃ大変だな」
ボケ「そしてどんどんガンコになる婆ちゃん」
ツッコミ「止める人がオマエだけじゃなー」
ボケ「その生き方は治外法権というより、むしろ無法地帯だ」
ツッコミ「嫌な婆ちゃんだな!」
ボケ「本人にそれを言ったら『アタシが本当に無法地帯ならマシンガンを取り出してアンタを蜂の巣にしちまうよ!』って脅された」
ツッコミ「怖ぇよ!? すげー婆ちゃんだなぁ!」
ボケ「ま、そんな婆ちゃんも今年で90歳を超えたし、ボケずに元気でいるだけまだマシだけど。でもやっぱりあと何年生きられるのか心配になる時もあってさ」
ツッコミ「何か心配事でもあるのか?」
ボケ「婆ちゃん、1度入院してから食が細くなって……」
ツッコミ「それは心配だな……」
ボケ「ガキの頃は外国産のステーキをペロリと食べてたのに」
ツッコミ「思った以上に食べてた!? あ、でも、今はもう無理って話なのか……」
ボケ「ああ。今じゃ昔ほど食べれないからって、国産の霜降りサーロインステーキしか食べてないんだ」
ツッコミ「まだ十分長生きするよオマエの婆ちゃん!!」
この話、半分ほど実話です(笑)。
ボケとツッコミは脳内でア〇ジャッシュの2人にやってもらいました。
作者の連載作品『アルビノ少女の異世界旅行記 ~私の旅は平穏無事にといかない~』も良かったら見てください。