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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

十本足の宇宙人シリーズ 漫談 オオカミ少年

作者: 桜花佐助

 イソップ物語に「オオカミ少年」というお話がございます。

 「狼が来た―」といつも嘘をついていた少年が、本当に狼が来た時に信じてもらえず、狼に食べられてしまうお話でございます。

 嘘をついては いけないという教訓でありますが、最近は 少年が食べられる事が残酷だとの事で、飼っている羊が食べられてしまうという些か甘いお話に変わっているようでございます。

 地球より遠く離れた惑星に これよりもっと甘いオオカミ少年のお話がございます。

 十本の足を持っておりますこの惑星の住人。この星のオオカミ少年も御多分に漏れず、毎日の嘘で村人に無視されております。

 ある日、少年は狼の群れが村に押し寄せるのを見つけ、

「狼が来るぞ。皆 逃げろ―」

そう言って走り回りますが、村人は少年の言う事など聞く耳を持ちません。

 仕方がないので少年はひとりで逃げます。村に迫る狼の群れ。

 しばらく走って、後ろを振り返りますと 村人が狼に襲われているのが目に入ります。

「皆 ごめん。俺が嘘ばかりついてたせいで、皆に危険を信じてもらえなかった。ごめん」

 少年は泣きながら、ひたすら走ります。

 そして、ほとぼりが冷めた頃、少年が村に戻ってきますと、そこには、狼に食い荒らされた沢山の住民の足と沢山の狼の死体が、あちらこちらに散らばっておりました。

 村人は狼に食べられてしまったのかと、ご心配の皆様。そうではございません。ご安心を。

 ご存知の方もあるかと思いますが、この星の住人の足には猛毒がございます。住人達は、狼に噛み付かれた足を自分で切り落とし、全員どこかに逃げて行っております。

 狼達は、残された足を貪り食いますが、その毒のため皆あっけなく死んでしまったというのが、今の状況でございます。

 少年は狼達の死体の山を見て、思い悩みます。

「とても一人では食べきれないなあ」

 そこで、狼の肉を保存するため燻製にしておりますと、逃げていた村人が、三々五々帰って参ります。

 少年が、試しに狼肉の燻製を村人に販売してみますと、これが大好評。狼肉の燻製を口にいれますと、その何とも言えない風味に、口の中はモクモク、クジャクジャ ムフムフ。飛ぶように売れて行きます。

 この後、少年は狼肉の燻製を事業にして、大金持ちになるというお話。

 どこが、教訓になっているのかよくわかりませんが、この星では「嘘は悪い事だ」という道徳の話であるとされております。

 どうか、地球の「オオカミ少年」も「羊が食われるなんて残酷だ」などと言い出して、訳の分からないお話になりませんように祈っております。

 お後がよろしいようで。

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