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看板の無い花店  作者: 音澤 煙管
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1話・レトロな面影がある所






比較的気候が温暖な本土の真ん中に住んで居る‥

その小さな町の駅前近くには小さな商店街がある‥が、"あった"と言うのが正しいのかも知れない。


通学路でもあったこの通りは、その昔に比べるとシャッターが下りて寂しい色の殺風景なタダの通り道になって居る。

駅周辺は、ロータリーの都市計画拡張に伴い古いビルは取り壊され、マンションと商業ビルに建て替えられてしまい、この商店街も時代と日影に隠れてしまい、申し訳なさそうにココに在る。


以前のココは、人通りと相まってあちらこちらに設けられている小さなスピーカーから音楽が流れ、安売りとタイムセールを呼び掛ける声もして居たしとても賑やかだった‥。

時代の煽りで、デパートも近くに3つくらいあった頃ココで流れる音楽と同じ様なモノが聴こえた、インストメインでホーンバンドであるハーブ・アルパートで聴き飽きるほどずっと同じモノが流れていた。

テレビが唯一の娯楽の生活だったから、家に居るときもローカルで動かないCMにも使われて居て、幼い頃は耳障りだったな‥。


当時は耳障りだったが、段々とぼくの身体に溶け込んでいき小学生でトランペットを嗜むほどにその影響は大きかったな‥

今では、遠い記憶の風景に色を着けてくれる懐メロの様な音楽となってる。


音量が大きめだった商店街入り口のスピーカー近くには、ずん胴で朱色が眩しい郵便ポストと電話ボックスが隣同士に置いてあった。

目立つ色だったけど、当時の生活では当たり前の存在だったから当たり前に通り過ぎて居たが、今はそこには無い。いざ無くなると、跡地が寂しく思える。


町の商工会か地域の人たちか、お役所の仕業かはわからないが寂しかろうと言う意味もあってか、以前からの商店が建ち並んだ部分の道がカラフルにペイントされている。

見栄えは華やかだが、冷たい下りたままのシャッター色が多くなったココは塗られた道と睨み合いをして居る様でどこか和めない、ココの通りだけ返って何処か知らない町に居る様な錯覚になる。


見た目だけでも‥そんな中身の無い事は好きじゃ無い。


いくら人が混雑して居る場所は好きでは無いとはいえ、ここまで昔栄えて居た時より寂れて人が居なくなってしまうのは哀れんでしまう素直な感情の自分が居る。


必要だから店に出向いて物を買い、そのためにココにやって来る‥

今思えば、お客の心理としても店の立場からも売買成立だけの場所では無かった様な気がするし、気に入った商品は無くても気に入った店員さんに会いに来て居たのかも知れない。


お店の店主はお客を選べないが、お客であるこちらは選択は自由だ。

その選択肢も考察出来ない世の中なんだな‥今は。

そんな少しやるせない気持ちの中で、ぼくが、もの心をつき始める前からずっと営業を続けて居る花屋さんを見つける。

この御時世でも頑張っている店の一つだ‥と、いう言い方になってしまうが、母に連れられ数度寄った記憶しか無いお店でもあるし思い切って今日は寄ってみることにした‥。


店先には、透明のセロハンに包まれたお墓へのお供え用の花束や、神棚や仏壇へ供える榊や香花が、青いプラ製の樽に挿さってぼくを迎えてくれる。


軒先が手動でハンドルをクルクル回すと緑のシートが伸縮する日除けの屋根を潜らなければならない位に成長して居る身体も不便ながらも面倒だけどほんわかと頭上に気を付けて店に入る。


「ごめん下さーい‥」

『あ、いらっしゃいませー』‥




( つづく )




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