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第三章:百年戦争  作者: 赤花野 ピエ露
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第八話:そして再び日は昇る。

みじかいですね、はい。

 糸切れた人形に温もりは無く嫉妬と悲しみを自分を抱きかかえてくれている少女にまで浴びせかけました。


 始まりは心大人になりきれぬ少女、十代半ばにして己が権利の主張を知った哀れな少女。

 身寄り亡き故に護ってくれる者など無く、狂わされた少女は周りを自分と同じ目に合わせました。


     『これがお前にとっての幸せなんだぞ!分かったか!返事をしろゴミ屑が!!!』


 十代に上がるまで彼女を飼い連れ回し身を穢した者の言葉だ。

 彼女は売りに出され魔女裁判の結果当たり前のように自由を奪われ火刑に処された。

 知った、人権と言うものの存在を。己が権利を。


     『貴様らにとって、これが幸せなんだろう』


 不幸が楽園、彼女は人々の楽園を創り上げた。

 彼女にその力が宿ったのは彼女が人権など無い生活の中で狂った研究の実験体にされたから、皮肉、哀れ、不幸、故に楽園。此処は楽園、ここが楽園、ならば、愉しむしかない。

 嗤うしかないのだ。


     『生まれ変わりたい』


 それがこの世界の真の始まり、繰り返しの始まりとなった。

 男女の中に真の愛は無い、親が子に向けるものとも違う他者へ注がれる無垢なる愛は子をなさぬ愛情のみの行為により証明される。

 彼女は人間をやめた。もはや寿命も種族も超えた存在となっていた彼女には容易い事だった。

 それから彼女は真の愛を求めた。




 そして見つけた。




 故に彼女は嫉妬を覚えた。嫉妬は人を不幸にする。






 哀れ、






 糸切れた人形は己は操られていないと錯覚をしている。




 何故、それは、覚えさせられているから。


 哀れな人形。


 全てが歪められている。


 大いなる神は存在事己を消したかったのだ、第一章が無いように。


 大いなる神は一度たりとも出ていない、出て来ない。


 彼女が大いなる神自らが創りし愚像なのだから、彼女を神とする事に異論が出る事は許されない。


 大いなる神、その存在は語る事さえ難しい存在。


 人形が神として祀られて愚者として破壊されるシナリオを神は望んだのだ。


 故にそうなる。


 この世界に神など既に存在していない、すり替わったから。




 本当にそうなのだろうか?




 捻くれ者の大いなる神は嗤う。


 一人、いや、一匹だけ、神と書いて名を読む存在ではなく、神と名の付く数字を持たない者が居る。


 大いなる神は実に恐ろしい、考えてみればわかる事だったな。


 屍の冒険譚、すり替わり復活しておられただけの話。


 ただ死ぬなんて何の見返りも無い事をするわけがない。


 愚像は嫉妬が故に不幸が故に、だが、大いなる神にそんなものなどありやしない。


 当たり前の事だ。


 馬が鯨に代わっていた、オキアミと鯨、鯨を乗せたその鯨はあまりにも大きすぎた。


 見えなくて当然だったのかもしれない。


 何故、大いなる神が確かに存在する世界で別の宗教が、神殿が建てられていたのか、ピエロの王との戦いの記録がある存在、単純な話であった。


 もとをただせば道を決めていたのも彼であったのだ、単純な話だ。






     *




「楽しかったでござるな。 自分を忘れて、それが旅の醍醐味ってもんだよな。 あー、楽しかった楽しかったよ本当に楽しかったのさ。さあ、別の世界を旅しようかな。神として復活したくは無いからな、全部終末の世界になるようにしておいて正解だったな。流石は拙者でござるな、俺は死人なのだから文句は出るまいて。おっと、あいつらには別の馬を与えてやろう。どうせ、喋れない事にも違和感が無い世界観であろうしな。フハハハハハッ!!!!!!!!!!」




     *




 話しを戻そう。


 今はただ、哀れなピエロ達の戦いに目を向けるのだ。




   *




「テメェの●●●を!!!!1!!!●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●!!!!!!!!!!!」


 相手を不快にさせる効果のある品の無い詠唱は割愛しよ。意味が無いから。


「004といったな、撃鉄無き今貴様の拳には何の意味も無い」

 爆発や音のような放射線状に伝わり広がるエネルギーにさえも指向性を与える能力。

「山を切断ってマンガでしか見た事が無かったっすよ。しかもこちらの攻撃は弾き返されるし、これまでで一番手を焼いたかもしんないっすね」

 金剛石は斬撃に弱い。レジェンダリーな刃を拳に乗せ弾丸として放つ004の攻撃は山をも切り裂き魔王に到達した、しかし…

「まさか、まさかテメェの闇の魔力がこれほどまでに粘性を持っていようとは」

「俺は繰り返しの深淵に足を踏み入れているからな。そこらの刃では切る事は出来ない」


     【 圧縮 】


 金剛石のその先、加工、形態変化にはあまりにも不向きなその悪質な粘性と凶悪な硬度を持ったその肉体は魔王の名にふさわしいものとなっていた。


「報告できないっすよ。ジャミングしてるっすから」覚えたての技、核少女は抜かりない。


「この戦いでの収穫は大きいな、機械人形の魂が盛りだくさんだ」


「私達は増え続ける」


 不幸終わりはない。


「魔王の胃袋はデカいんだ」


「身体がデカいだけっすよね」


「黙れ変態」


「今日は何もしてないっすよ!」


「 …今日が始まって五時間ちょっとだからな」


「     アハハハハッ… 」







「     なるほどな、逃げるぞ」

「 ? 、 自爆っすか?」

「日の出にはまだ早い、いいから飛ぶぞ」

「了解 っすよ」






     『アハハハハッ!!!!!』






   *






 異質な金属の大地が強固な摩天楼を築き上げる。

 少女の椅子を創る為に。


「おかえりなさいませ」






「ただいま」

お読みいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いいたします。

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