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第三章:百年戦争  作者: 赤花野 ピエ露
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第六話:ニトロハートβ。

すっごい短いですが、お楽しみいただけたら幸いです。

さあ、解釈を違えましょう。本質を見る為に。

 美男美女、下を見て自らの容姿にその採点を下すのは愚かであるように、それが敵に利用されているような小さな小さな存在であるからといって自分は自分もと考えてしまうのは愚かである。


「これが奴らの」


 美男美女に優劣があるように魔物にもそれは有る。進化し続ける力とノーリスクでウイルス兵器を使用できる力、それは狂気であった。


「なんだこれは!?」


 化膿、腐り溶けだし熔解するように細かな爆発が連鎖する。深層から根こそぎ奪って行く。


「それはニトロハートと呼ばれるウイルスを編集したものなのですよ」


 その声に振り返った時には既に遅く、首を回したその反動で彼の首はボトリと音を立てて転がった。


「愚かですわね」


 爆発感染、その進化。


「脆い肉体の生命体は私達の管理下にあるべきなのですよ」


 それが平和なのだと彼女らは想う。




   *




 例え話、13歳の少女が友人に誘われた事をきっかけに身売りを行い短時間で金を稼げるからとそれを止めれなくなって22歳を迎えたとしよう。

 40過ぎた同乗者を馬鹿にしていた10代を超えて暫くした年頃、これが当たり前の日常なのだと思い暮らす部屋の引き出しには新たな生活を始める為の資金が蓄えれれている。この事を知っているのは二つ年の離れたお姉さん的存在の同業者、肌の色が違うから髪色が違うから客を取り合いになった事が無く仲間意識を持って話した彼女しかこのお金の事を知らないはずだ。


 彼女はそう思いその同業者にナイフを突き立てた。


「おまえが!おまえが!」


 同年代の同性の若い同じ美人のはずの女の子がテレビや道端に捨てられているゴシップ誌でスターと共にはしゃいでいるのに、同じだけ男と交わっているはずなのに、同じくらい可愛いはずなのに、同じ世界で暮らしているはずなのに、何で、何で自分ではないんだ。

 新しく、自分と交わった男の居ない土地で新しい自分と新しい靴とちゃんとした新しい彼氏をもって暮らす為のお金だったのに。


「おまえが!おまえが!」


 お前しか知らないはずだ、と。ナイフを幾度となく突き立てた。


 新しい生活を始めようとしている者などごまんと居る。見当が付く隠し場所、他人を信用せずに持っていた現金、ありふれた強盗、帰っては来ない金と時間。

 勘違いと思い込みから罪の無い同業者を殺してしまった彼女自身もまた勘違いと思い込みから殺されてしまう。


 罪は拭われる事なく生きる者達へと積み重ねられて行く。


 差別、身売り、ドラック、暴力、嘘玉の座の権力争い。収拾のつかなくなった美しさの欠片も無い意地の張り合い。

 世界の闇など無い、汚いだけだ。格好良さも美しさも無い。雑味は要らない、もう飽きた。

 諦めるのは愚かな道筋だ。


 例え話、皆馬鹿になればいい。どうせ愚かな身の上では賢者になど成れやしないのだから、賢者の登場を待つ愚直な馬鹿になればいい。


 得られる利益は美しさと純情さ。


 空より優しき手が技術を教えてくれた前時代的純粋さ、若さは怖くて愚かだ。でも、醜く歪むよりかはまだましなのかもしれない。

 そんな概念、それらの概念、私はそれらを愉しみたい。


「オマエ!!!!!馬鹿か!?パンツくらいはいてろよ!!!」


 ん?


「え???」


 スカートの中がスースーする… 風が股を撫でて駆ける。


「戦いを穢すな!!いちゃつくな!!!」


 好きでいちゃついている、そんな私とは正反対の顔をしているのは私の彼氏、魔王だ。


「おい、オマエ今変な妄想に俺を巻き込んだだろ」

「私の考えが分かるんっすね!心が通じ合って― 「それはねーよ」

「何処まで我を、我々を!!!馬鹿にすれば気がすむのだ!!!」


「馬鹿になんてしてないっすよ」


「しておるだろ!そんな浮ついた気持ちで… こんな奴らに… 死んでいった仲間達の気持を考えろ!!!」

「恋しなきゃダメっすよー、私にもあなたみたいに悩んでしまっている時期がありましたっすよ」

「貴様のような空け者に何が分かろうてか!!!」

「言葉がおかしくなっているっすよ、興奮しすぎっすねー。 そんなにノーパソが好きなんっすか?私のパンツ返してくださいっすよー」

「何も分かってなどおらぬではないか!!!」

「もっと言ってやれ」


 …私が彼の手を握っていなければならないようだ。


「急にくっつくな。心臓に悪い」

「手繋ぎデートで胸キュンっすか、フフフ」

「違う」


「やめろ!!!何度繰り返せば気がすむんだ貴様らは!!!!!」


「繰り返したくは無いからお前たちを殺してるんだ」

「らしいっすよ。 私にはどうでもいいっすけどね、彼と一緒に居られればっすけど」

「魔王を手玉に取って調子づきよって、なめるな小娘!」

「五月蠅いっすねー」

「   それには同感だな。 仲間や家族を失ったばかりだろう、今なら一緒の船に乗れるかもな、今すぐにでも送ってやるよ」

「まぁ、実際の所は最後の一人、もう、独りなんっすから、戦わなければいいのにっすけどね。仲間も家族も皆死んじゃったんっすから、新しくやり直せる良い機会だと思うんっすけどね」


「貴様らが殺しておいて… 何を言うか!!!死ねぇぇぇっ!!!!!」


「見た目や行動が多少似ていても中身が違えば別の生き物っすよね」

「お前が言うとあれだな」


     【 金剛魔壁奧窟隠滅 】


 小規模の亜空間への隔離及び隔離空間内における経過時間の加速効果の付与による強化を施された金剛石の壁が代理者を囲い込み殺した。

「早いっすねー」

「俺達からすればな」

 不老長寿、到達者の半数近くがそれである。不老長寿と言っても種類や成り立ちは様々。更に不老不死に近き者まで居る中で、手段を変えて殺し合うのは疲れてしまう。

 だから、

「自殺するくらいなら、戦意喪失で生き延びればよかったのになー、って思うんっすけどね」

 様々な不老長寿の形、最も相対する敵の不老長寿に詳しいのはその敵自身だ。

「自殺した魂は誰にも救われないのにな」

 助けてやる義理は無い、だが、生きたいのなら生きればいい。


 って、彼はきっと考えている っすよね。


 世界を殺すと言いつつも優しさがある、私のことを拒みつつも私の何かに縋ろうとしている。






 可愛いっすね… フフフ、アハハハハッ!!!!!






「また、変な事考えているだろオマエ」

 まただ、私の考えを読んでくる。

 嬉しい。

「フフフ、っすよ~」

 彼は魔王だ、凄い力を持っているのだろう。

 かっこいい、大好きっすね~。


「オマエは… はぁ… 何も言えないな」


 あ、


「そう言えばまだ、ちゃんとした名前を聞いていませんでしたっすね」


 ただ、私の考えが確かなら彼の名は…


「俺は魔王だ。 神がそう創ったからな、役職であり種族であり俺の存在を示す名、それが魔王だ」


 やっぱりそうっすよね、愛称なんにしようかなっす。

 まおっち、にしよう。

 そういえば、


「あ、じゃあ、夏希と ClownクラウンLordロード って誰っすか?」


 彼から聞いた数少ない人名だ。夢の中の彼のものも含めているけれど。


「それは―――






   *






「家の顔と外の顔、人には二つの顔が有ると言いますが、ピエロはいったい幾つの顔を持っているのでしょうか」

「00様、私には分かりかねる問題です。ご希望に応えられず申し訳ございません。」

「頭を下げる必要はありませんよ001」

 音声のみのやり取りのはずなのに、自分の事を理解してくれている事に喜びを感じる。

「はい、ありがとうございます。」

「 …001、」

「はい…」どうしたのだろうか?

「これから貴女に送る画像は翠様が私にのみ記憶させた画像です」

「翠様が! …よろしいのでしょうか」

「ええ… 」

「受け取らせていただきます」

「 …翠様がおっしゃるには」


「これはいったい?!」


「大いなる、と。ただそれだけを書き記しておられました、これを私に記憶させた翌日に翠様は… 」

「なんと… 」


 こいつは、こいつが、敵、仇、なのだと理解した。


「捜索もすべてが無意味に終わってしまいましたが、今後は貴女に全権を託します。私の私室に残りのデータはあります、頼みましたよ」

 嫌な予感しかしない。

「00様… ? 」




「00様?」




「ああ… 」




 殺してやる。




「データを魂とし、消せる者など奴しかいない」

 奴しか知らない。

「これも奴の姿の一つか… 醜い、醜いピエロだな」

 ClownクラウンLordロード、もしや、あれも奴なのかもしれない。

「諸悪の根源、根絶やしにしてくれる」






   *






 神に死と言う概念を与えるべく産まれた存在は神を殺すことができませんでした。

 神と言う存在を消すには至らなかったから。

 存在、これはどうにもならなかった。

 だから分けた。

 分けただけ。

 それもまた復活の因子、苗木になりかねない。

 だからこの戦争を起こした。

 誰が?

 誰の言葉に神々は耳を傾けた?

 簡単な話だ。


 白彦は賢い馬である。抜けているし残念な所も多いけど、優しく賢い馬である。


 他の者達も同じだ。


 違うのは奴だけ、素顔を見せない奴だけ。

 魔王が名を叫んだ奴だけ、記憶を濃霧と繰り返しに犯されつつも根に持っていた奴だけ。

 最初から居た奴だけ、ピエロの中のピエロ、奴だけ。

 こんな偽りを創れたのも最初からいたからだ。

 本物のピエロ、奴の名は…

お読みいただきありがとうございます。

赤花野 ピエ露なのにピエロの王の御鼻は最初から白かった、つまり…


もう既にお気づきでしょう、この言葉も色褪せるくらいに。

所詮はピエロなのですから、やはりピエロなのですから。


次話もよろしくお願いいたします。

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