家康と秀吉
ゆっくり更新中。
百まで行くならゆっくりじゃないとね。
秀吉は苛立っていた。
家康は中々大阪に来なくて調べるとふらふら歩いているとの事だ。
「俺のこと舐めやがって」と秀吉は言ったが、横にいた官兵衛が、
「徳川に勝てなかったのですしょうがないでしょう」と言った。
「わかっておる、わかっておるが何故負けたのかもわからん恒興は助けなど無くても勝てた筈だ」
「報告によると赤備えの騎馬隊がすごく強かったと伝えられました」
「誰が率いていたかわかるか?」
「全くわかりません、旗から察するに井伊家の者だと思いますがあんな若者はいません」
「養子ではないのか?」
「だとしてもこんなに強い者は簡単に隠してはおけません」
「そうだよな、武田の赤備えまで揃えれるとなるとそうとうな人物が……」
「どうされましたか?」
「一人だけおるではないか、家康に好かれ武田に好かれている奴はこの世に一人しかおらん」
「誰ですか?教えてください」
「良勝だ、あいつに違いない」と言うと刀を抜き取り飾ってあった木彫りの像を叩き斬った。
「あいつは殺さねば大変なことになるのではないか?」
「そうですね、折角歴史通りに動かしているのに全てが崩れ去ります」
そこに男が入ってきた。
「殿、家康公が大阪に入られました」
「あぁわかった」
と言うと男は下がった。
「彼らも大分慣れてきましたね」
「あぁもう負けはしないさ」と言うと笑った。
家康たち三人は家康の買った家に入った。
「こじんまりとはしているがいい家かな?」
と二人に感想を聞いてきた。
確かに小さいが全てがキチンと揃っている。
露天風呂まで付いているのには驚いた。
「最高ですよ」と直政が言うと忠勝も頷いた。
「攻められたらすぐ殺されてしまうかな?」
と笑いながら家康は言うと、忠勝は不安になり、
「隅々まで見てきます」と言うとすぐに見に行った。
「冗談のつもりだったのだけれども」
「家康様気になさらなくても、それにもしもの時に役に立ちます」
「そうだな」
と言って家康は座った。
直政は火を起こすとお茶を入れ出した。
「一緒に飲もうではないか」
と言われて自分の分も入れると二人外を眺めながらお茶を啜った。
その頃一人忠勝は家の中や周りを警戒して見回っていた。
しばらくして忠勝が帰ってきた。
「安全そうかな?」
「はい、裏道が御座いましたので大丈夫かと」
「ほう、裏道かなかなか面白そうだな」
「殿笑ってる場合ではありません、直政殿も何か言ってください」
「とりあえずご飯食べませんか?」
「そうだな、直政いい事言う」と言って三人はご飯を食べに食堂に入った。
三人は席に座り注文を済ませると家康が不意に話した。
「こういうところで信長様とも呑んでみたかった、彼は今どこで何をしているんだろうか」
「きっと帰蝶様とお市と楽しんでいることでしょう」
「未来とは平和か?」
「どうでしょう?国同士は争い民族で争い、平和なのはこの国だけなのかも知れません」
「そうか、秀吉が天下を取ったら何か変わるのか?」
「いえ、秀吉は天下を取りますので何も変わりません、ただその後が心配なのです」
そこでお酒が運ばれて来た。
忠勝は黙って酒を注ぐ。
三人はお猪口を持つと家康が、
「信長様に」と言われ三人は杯を上げた。
酒を呑むと、
「それでその後の心配とは何だ?」と忠勝が聞いた。
「その後秀吉は中華遠征に乗り出すのですがそれが失敗するんです」
「中華を我が物にしようとは」と家康は驚いていた。
「ただ秀吉の側にはその結果を知っているものがいるはずなんです、そいつが辞めさせたら国内がどうなるか分かりません」
「たしかに経済は活気が出てきた、更に今度は検知をするとか噂があるな」
「刀狩りも行われると思います」
「武士から刀を奪うのか?」
「いえ、農民から武器を奪い検知で税をしっかり取ります、そうすれば一揆が起きにくくなるというわけです」
「秀吉殿は農民の味方だと思っていたのだが……」と少し寂しそうに家康が言った。
それを聞いて直政も少し寂しくなった。
三人は運ばれてきた料理を食べ始めた。
しばらく食べていると追加のお酒が置かれた。
「頼んではいないが」と家康が言うと、
「あちらのお客がお支払いをして下さいましたよ」と言って入り口の方を指差した。
入り口の方を見るとそこには忠興が座っていた。
頭を下げてから酒を頂く。
食べ終わり三人は外に出た。
しかし忠興はもうすでに居なくなっており仕方なく自宅に戻ることにした。
しばらく話をした後眠ることにした。
次の日陽が登らないうちに扉が叩かれ、忠勝が出ると秀吉からの使者であった。
中に通し、座敷に座らせる。
「朝早くからご苦労ですね、良かったら朝餉を共にしませんか?」
と家康は言った。
使者は驚いた顔をして断った。
「食べられましたかな?」
「いえ、食べてはいませんが徳川様と共に食事などとそんなことは出来ません」
「ほう、この家康とは一緒に食事が出来ないのか、嫌われてしもうた」
と少しガッカリしながら言う。
「嫌いになるなんて事はございません、私の身分で徳川様と一緒の卓を囲んで食事など」
「食えるなら丁度良い、直政持ってきてくれ」
直政は簡単な食事を出した。
米に味噌汁、漬物、魚を焼いたものを持っていき膳に置いた。
使者は感動しているようである。
四人で食事をしているとき家康は使者に質問をした。
「お主の名はなんと申す?」
「吉継と申します」
「立派な名ではないか」
「ありがとうございます」
「字は?」
「大谷でございます」
「大谷 吉継……」と直政が呟いていると忠勝が、
「大谷殿は戦に出られていますね、そこで大層な相手を倒された」
「いえ、そんなことはございません」
「勝家殿を斬った男か?」と直政は言った。
「いえ、私は斬ったのではなく彼に動かされた気がいたします、尊敬いたします」
と悔しそうに言う。
直政はそれを聞くと何故か嬉しくなった。
それからご飯を食べ終わると家康自らお茶を入れた。
「さぁ飲んでください」と丁寧に家康は言い吉継にお茶を渡す。
「このようなこと」と言いながらも無理矢理渡されて受け取った。
「それでは話を聞こうか」
「はい、本日日没までに皆が集まっている大阪城に挨拶に来て頂きたいとおっしゃられておりました、代わりに金五千両支払うとの事です」
「そうか、直政どう思う?」
「負けた相手がこちらに来るのが筋と言うもの、負け犬の遠吠えですな」
「そうだな、しかし吉継殿をこのまま返すのは可哀想だ、何かないか忠勝?」
「はい、伊勢の御守りがございます」
「それは秀吉のだからダメだ、他にないからしょうがないか」と言うと懐から金を取り出した。
「金五十両を与える、楽しい食事をしてくれたお礼だ」と言うと断るのを無視して無理矢理渡す。
「これは其方の物だから秀吉にくれてやる必要はない」
「ありがとうございます」とただただ頭を下げていた。
三人で外まで見送った
読んでいただきありがとうございます。
家康と秀吉は仲が悪かったのか?
なんか色々と謎ですね。
それが歴史の面白いところだと言ってました。
え?誰が言ってたかって?テレビで誰が言ってました!多分。。。。