家康と秀吉
大変遅くなりました。
少しゆっくりになってしまいますがちゃんと続けますのでよろしくお願いします。
戦の準備が整えられていく。
直政には二千の騎馬隊が与えられ、更に赤備えと言われる赤い鎧も用意してくれた。
毎日の調練の中で直政は少し体が慣れてきた。
目標は勝家さんの強さと武田軍の強さを合わせた騎馬隊を作ること。
初めは皆の手を後ろで縛り馬に乗せ足の力だけでコントロール出来る様にした。
これが出来るようになってから皆素早く動ける様になり二刀流すらも出来るようになった。
次に騎馬隊の移動の調練を行った。
これは隠れながら馬の音をさせずに動かしたりする調練だ。
それが終わるといよいよ突撃の調練。
これがやはり騎馬隊の一番の働き所なので皆気合い十分であった。
ここまでくると他には負けないくらい強い騎馬隊が出来上がっていた。
直政は戦が少し楽しみになっていた。
しかし当日を迎えると楽しみが消えた。
敵はなんと池田 恒興がいたのである。
「何故ここにいるのが彼なのだ」と直政は言うが相手は引かない。
しょうがなく突撃をかける。
相手の兵を軽く吹き飛ばし道を作っていく。
直政は泣きながら戦場を駆け回ると遂に恒興の前に来た。
「何故あなたがここにいるのですか?」
「私は信長様の意思を継ぐ者は秀吉殿だと思ったまで、さぁ殺すがいい」
「無理です」と言うと直政は反転し敵を蹴散らしながら離脱した。
「あいつは何故殺さん」と恒興は言うと自ら先頭に立ち戦い続けた。
体力がなくなるまで敵を斬りつけ二百名以上を殺した。
最期は槍で三人に突かれ首を切られた。
その時の恒興の顔は口元が笑っていた。
その頃背後からは豊臣 秀吉が迫っていた。
「家康様、直政が離脱さらに背後から秀吉が二万の兵を連れ迫っております」と忠勝が報告する。
「直政殿は働いたから気にするな、それより背後の秀吉は見過ごせんどうにかならんか?」
「兵を五百お貸し下さい」
「五百で大丈夫か?」
「はい刻は稼げます」
「わかった」と言うと忠勝は頭を下げてすぐに出て行った。
そして秀吉軍の前に立ちはだかった。
「やぁ秀吉殿、我々の殿を攻められては困る故ここで止まっていただく」
槍を構えて立っているが相手は誰も出てこない。
「何故誰も出てこない?」と忠勝が言うと、秀吉自らが出てきたが鎧を脱ぎ、平服のまま歩いている。
ふざけているのかと思い忠勝は襲い掛かりそうなくらい力を込めるが秀吉は気にしないで近づいてきた。
側までくると後ろの兵を数え、終わると話し出した。
「我が軍は二万、相手は五百なのに誰も動かん、これはお主が一人で一万以上の働きをするからだろうな」
ここで一旦息を深呼吸し、
「俺と勝負しよう、お主が負けたら道を開けろ、俺が負けたら引き返す、どうだ?」
「お受けします」
「まぁ武器を持って戦うのが一番分かりやすいが俺は弱い、そこでだここに二杯のお茶を用意させる、お主がお茶を飲めたらお主の勝ち、お主が飲めなんだら俺の勝ちと言うのはどうだ?」
そう言われて忠勝は拍子抜けた。
「お茶くらい飲める」
「そこが問題だ、毒が入ってるかも知れない、それでも飲めるかな」とニヤリとしながら言った。
「なるほどそういう事ですか」と忠勝は言うと座り込んだ。
「お茶を用意してください」
秀吉は頷くとお茶を用意させた。
出てきた一杯は見た目は普通のお茶だった。
「さぁこれが飲めますかな?」と言われた。
秀吉の性格の悪さが見える、そう思いながら忠勝は器を受け取ると躊躇わずに飲み干した。
「ごちそう様でした」と言い器を返すと秀吉は大笑いし始めた。
「家康ごときにこの男は勿体ない」と言うと手を上げてパタパタ振り、
「俺たちの負けだ帰るぞ」と言って引いてった。
秀吉が振り向くと、
「一応言っとくが毒は入っていない」と言って帰って行った。
忠勝はその言葉を聞いて少し落ち着いた。
実はずっとビクビクしていたからだ。
徳川軍の勝利となったこの戦、一度装備を整える為に停戦状態になっていたはずだったのだが、
信雄がいない隙を狙って伊勢に豊臣軍が侵攻し、領土が奪われると信雄はあっさりと秀吉に降伏してしまったのである。
これを受けて徳川軍は撤退をすると共に勝ったはずの戦が負け戦の様な雰囲気になってしまった。「これが直政が言っていた勝負に負けると言うやつか、秀吉は強いな」
と噛み締めた。
直政はしばらく姿を消した。
正確には皆いる場所を知っているが彼が暴れまわっている為誰も近づかないようにしていた。
家康は忠勝を呼び出し、
「直政をなんとかしてくれんか?」
と言ってみたが拒否された。
次の展開が読めない家康にとって彼は大きな存在になりつつあった。
そんな時秀吉から大阪に来てくれないか、会わないかと手紙が届いた。
これには家康も驚き慌てて直政のところへ向かった。
直政を見つけ声をかけた。
「直政、秀吉から会おうと手紙を寄越して来たのだがどうしたらいい?」
「なに?秀吉から手紙?」と言って少し考えた。
「彼に会いに行こう、多分講和だ」
「何故講和を?」
「奴が天下人になる為だよ」と吐き捨てると、家康に付いて城に戻った。
「どこで会う?」
「向こうが用意した場所になると思うからそれを無視してこたらの滞在先に来させよう」
「そんな事出来るのか?」と忠勝が言う。
「出来なければ家康様は死ぬだけだ」と直政は言い切った。
そしてその後に、
「絶対に成功させます」と家康に言った。
家康は直政、忠勝だけを連れて大阪まで行く事にした。
海の方が早いが忠勝が危険だと言った為、陸で行くこととなった。
「秀吉を焦らしてやろう」と家康が言い一堂のんびりと楽しみながら進んだ。
伊勢にも寄りお土産を買おうと家康が言いだし三人は何にするか選んだ。
結局お守りになってしまったがまぁいい。
三人はさらに西へ行き、琵琶湖を眺め京に入った。
ここまで来ると何でも揃う。
三人は買い物をし、色々食べ歩いた。
「もう疲れてしまった」と家康が言うので仕方なく宿を取ることにした。
「かなり時間を使ったな」と嬉しそうに言うと眠ってしまった。
「直政、お前は本当に秀吉が来ると思うか?」
「大丈夫です、もう策は相手に効いてますよ」と笑顔で言うと眠った。
忠勝は不安になりほとんど眠れなかった。
読んでいただきありがとうございます。
家康と秀吉とは一体どんな人だったのでしょうね?