家康と良勝
遅くなりました。
頑張りますのでお付き合いください。
二人は岡崎城に辿り着いたがそこに家康はいなかった。
浜松城を目指しひた走る。
近付くと一人の女性が頭を頭巾で隠して立っていた。
「殿をお探しの方ですか?」
「名を毛利 良勝と申します」と頭を下げた。
「どこかで聞いたような気がしますね、まぁいいでしょう」と言うとパンと手のひらを合わせると男がどこからともなく現れた。
「殿に伝えて下さい」というと男は消えた。
「ではこちらにどうぞ」と丁寧に案内され二人は馬を降りてついていった。
城門の前で馬を渡した。
中に入ると家康が自ら出迎えた。
「まさか生きていたとは」と言い良勝の手を取ると固く握った。
「家康様もご無事で」
「とにかく中に入って今日はゆっくりとして下さい」
「ありがとうございます」と頭を下げると中に通された。
部屋に通されると食事も用意された、玉子はひたすら食べ続けていた。
先ほどの女性が中に入ってきた。
「あなたがあの明智殿でございましたか、しかしお若いですね」
「あの……その……」
「秘術ですか?」
「そんな感じです」と苦笑いしながら答えた。
ふふふと笑うと、
「秘密が多い殿方は素敵ですよ」と言った。
良勝は少し顔が赤くなっていたのを玉子は見逃さなかった。
しばらく食事をしていると家康が入ってきた。
「明智殿、我々は信長様の件を疑っています、本能寺跡地も徹底的に調べましたが何も信長様の刀は見つからなかったのです」
「これではありませんか?」と言うと信長の刀を見せた。
「どこでこれを?」
「信長様から預かりました、何か役に立つと思うと言っておられました」
「と言うことは信長様は生きておられるのですか?」
「生きてはいますよ、ただこの戦国にはもう関与出来ないですけど」
「何があったのですか?」
そう言われると今まで黙っていた玉子が口を開いた。
「何故か信長様の事を狙う誰かがいたのですよ、多分その人が秀吉様の裏で糸を操っているはずなんですが、誰か心当たりはありませんか?」
「いえ特にはいませんが……」
「そうですか、ところでそちらの女性は奥様ですか?」
「いえ違います、我が家臣の井伊 直虎だ」と家康が紹介すると直虎は少し頭を下げた。
「彼女はとても信頼できる人だから安心してください」と家康は言うと、
「その様ですね」と玉子は答えた。
「ところで明智殿今後はどうされますか?」
「まだ何も決め手はいないのですが取り敢えず仲間を探そうかと思います」
「それならば私にお任せください、手伝えることは何でもします」
「本当ですか?」
「えぇ本当です、何があったのか知りたいので」
「助かります、よろしくお願いします」
「しかし明智も毛利も名前が使えないのですがいかがいたしましょう?」
「どう言うことですか?」
「二人は別人と言う事にされ死んだ事になっております、特に明智の名は信長殿を殺した者の名として伝わっているので使われない方がいいかと……」
「信じている者が多いと言う事ですね?」
「えぇ、唯一前田 利家が疑っているくらいで他の者たちは明智殿が消えたのを知っているのでもしかしたらと思われています」
「そうですか、それは困りました」
「あの、前はどうして明智 光秀になったんですか?」と突然玉子が言った。
「それは信長様が面白がって……」と答えると、
「いえ、そうではなくてそんな簡単に名前をつけれるのですか?」と返された。
「あぁそれなら明智家に養子として入ったんですよ」と家康が言うと、
「じゃあまた誰かの養子になればいいのでは?」と玉子が言った。
「そんな簡単に探している人なんていないよ」と良勝が言うと、
家康が横に座っている直虎を見た。
「私には跡取りはおりませんが」と察した直虎が答えたので、
「明智殿決まりました、井伊家にはいって下さい」と家康か言う。
「本当にいいのですか?」と直虎に聞くと、
「殿がおっしゃるなら不服はございません」と答えた。
家康は直虎の手を取りお礼を述べると共に、謝礼を渡すと言うとあれこれ言い出した。
「何もいらないのでお気持ちだけ受け取っておきます」と丁寧に断ると、
「良勝は似合わぬ、直を使った名を考えて欲しい」
「それならば丁度良い名がある」と家康は嬉しそうに言った。
「直政、政を真っ直ぐ行うと言う意味だしどうだろう?」
「よい名ではないか、井伊 直政よろしくな」とニコリと笑って手を差し出す直虎の手をしっかりと握りしめた。
「嘘……井伊 直政が明智 光秀と同一人物だなんてすごいわ」と言いながら玉子は一人興奮していた。
そこに一人の男が通された。
「細川 忠興という者だが私の方に豊臣方の情報を届けてくれている」と紹介された男はかなりのイケメンであった。
「玉子って良います、よかったら私を奥さんにして見ませんか」
「あぁ……えっと……」と玉子の勢いに押されている。
「私家事はできます、料理得意です」
「料理は……調理人が……」
直政を始め全員が唖然とするなか玉子はひたすらアピールを続けた。
そこで直政が、
「あの良かったら彼女を保護して頂けませんか?」と申し出た。
「はぁ……」と曖昧な返事が返ってくる。
直虎が笑いながら、
「彼女は守らねばならぬお人、家康殿もお主に任せたいと思うておるぞ」と言ったので家康は慌てて首を縦に振った。
「殿がおっしゃるなら」と渋々受け入れた忠興に玉子は引っ付いていた。
忠興は困惑している様で残りの三人は笑えてきてしまった。
忠興に連れられ玉子は出て行った。
これでかなり場は静かになった。
「ところで直政殿、早速で申し訳ないが今度戦が起きる、信長殿のご子息が私に助けを求めて来ている」
「そうでしょうね、豊臣方にもご子息が付いておられるはず」
「どこで戦うのがいいか」
「場所は決まってます、小牧城から始まります」
「小牧城か、私は勝てるかな?」
「殿は必ず勝ちます、ただ戦では勝てても勝負では負けると言う結果に終わりますのでその事だけは忘れない様お願いします」
「わかった」と家康は言うと立ち上がり、
「信長様の天下を実現しようか」と笑顔で言うと出て行った。
「あの直虎様、今後ともよろしくお願いします」と頭を下げると、
「井伊の後継ぎができて嬉しいです、すべき事をなさって下さい」と笑顔で答えてくれた。
直政は嬉しくなった。
読んでいただきありがとうございます。
秀吉、家康の時代の歴史全くわかりません。
正直なんかあって関ヶ原くらいしかわかりません。
秀吉が朝鮮出兵したのは知ってます。
家康が江戸にいたのは知ってます。
でもなぜ江戸に行ったかは知りません。
調べながら書きます!