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気ままに詩  作者: RC
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なにも変わらず


勝った。ざまあみろ。優等生達は今日、今、この瞬間にこそ絶望を味わえ。




大学受験、センター試験当日。俺は勝った。


成績はクラスで下から五番目、テスト点はほぼ赤点ギリギリ。英語に至っては補講確定。


そんな中で上3割程度に食い込んだ。別に誇れるほどよくもないが、うれしくないわけもない。

上からのそこそこの褒め言葉と下からの憎悪の目が心地よかった。そんな三年前だった。






「就活ってのはこんな感じなんだよ。」

俺は意気揚々と語る、酒の席で。

この三年間生きた時間を証明するように。


企業研究は腐るほどやった。おそらく周りが就活っていうものを見る前から考えてるつもりだった。

実態はパソコン叩いて、ちょっと年間休日見てみて。ネットの情報鵜呑みにして。

それだけのことを気が向いたときに二時間くらい。それだけだ。


ただそれだけで俺は意気揚々と語る。語り続ける。


「留年とかもう視野に入れてるの?」


酒の場で、酔った友人からの言葉。ある意味現実に近い。

勉強なんて半ば無視、授業中はスマホゲーム。さらに言えば最近学校なんて週一くらいしか行ってない。当然の結果を突き付けられたまでだ。

俺の大学時代っていうのを否定されたようで。三年間は無駄だったと証明されたかのようで。

それでも俺はキレて、喚いた。

酒の場はシラけ、そこで終わった。


そんなこんなで意気揚々と粋がるだけで就活が近づく。とりあえずは四年になれることが確定した三年後期のはじまり。


SPI模試があるらしい。

SPIってのは所謂就活筆記テストの代表格だ。これを就活試験に利用する企業も多い。


知ったのは当日。勉強なんて全くしてない。

ただ粋がる俺にとって、留年ギリギリの俺にとって。


怖かった。粋がれなくなることが怖かった。


「はは、これ勉強してんの?」

友達に聞いた。


「俺公務員志望だからさ。多分被ってると思う。」


現実を突きつけられた。何もない空っぽの説教の罰なのか。


テスト後、絶望的な顔をして家に帰る。俺の粋がれる時間もここまで悟った。








テスト結果が返ってくる。


結果は上位三割。皮肉なことに受験人数すらも高校時代とほぼ同じだった。



嬉しかった。





そしてこの三年に泣いた。




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