方法
めっちゃ遅くなりましてすみません、、、
突如として宣告された余音さんの言葉に俺は困惑するしかなかった。
「よ、余命1年? ……う、嘘ですよね? だってあんなに元気だったのに」
俺は余音さんの言葉が嘘だとしか思わなかった。
いや……嘘だと信じてる……そんなこと……嘘に決まってる……だって、あ、あんなに元気だったのに……。
「……男の子なら分かってあげなさい、彼女は平静を装ってるけど夜中はずっと……」
その先は余音さんは言わなかった……いや、言えなかった。
言ってしまったら、俺や奇蹟のことを傷つけることになるから……。
皆のことを心配させたくなくて……あいつは……。
「……っ! 余音さん、俺はあいつを何か勇気づけたい……じゃないと俺……この先一生後悔してならないと思うんだ! だから、彼女の心を救いたい!!」
今更調子の良い台詞だってことは分かってる! 奇蹟のことを知った後でも俺は他の人のことを考えてた糞な人間だ! それでも……俺は……!
「…………大地君、貴方の気持ちは分かったけど……けど」
そう、奇蹟は目が見えない……だから勇気づけるのもなにも言葉だけでは不十分だということは俺にも十分分かっていた。
「……分かってますよ、自分には何も出来ないって! ……それでも……!」
「…………大地君、自分には何が出来て何が出来ないかもう一度よく考えてみて、もしかしたらそこから奇蹟ちゃんを勇気づける何かが見つかるかもしれないわ」
もう……一度……。
「……分かりました、もう一回考えてみます!」
俺はそう肯定して自分の部屋に戻った。
「……奇蹟を、どうしたら勇気付けられるか……」
だけど、どうやったって余命があと1年しか宣告されているなら元気付けられるなんて、到底無理かもしれない……何せ死が決定しているんだから……。
……だからこそ、奇蹟を励ましてあげたい、だけど……。
「流石に……今日は疲れた」
そんな俺を襲ったのは紛れもなく眠気だった。
まぁ、色々と今日はあったから無理もない。
翌朝
「………………」
俺が目を開けると、目の前には天井が広がっていた。
そう、余音さんの家の天井……。
「……はぁ~」
昨日のことはまるっきり夢で起きたら、いつもの自分の毛嫌いしている家に居るなんて微かにでも思った俺は馬鹿みたいだ。
そうだ、これは現実なんだ……朝起きてそとに出たら元気な奇蹟がニッコリして待っているなんて順風満帆なことなんて……絶対に起きないんだ!
「……くそっ」
余命1年……聞いて1日経った今でも信じられない。
しかも両目が見えないなんて、俺だったら人生終わった~って感じで一日中引きこもるだろう。
だけど、奇蹟は……現実を受け入れてずっと耐えているんだ……暗黒の世界でずっと……独りで!
だったら尚更助けてやりたい!
……だけど、そんな方法なんて。
「ない……よな」
そう、何もない……何もないんだ、俺にできることは。
出来ることなら、俺の目を分けてあげたい……でも、そんなことは…………って。
「あぁっ!!」
そうだよ、この方法があったじゃないか!!
そう俺は意気込むと勢いよく部屋を飛びだした。