空港ー1週間
真樹が女の子になり1週間…
ずいぶん女の子らしくなった。
「お兄ちゃん早く~」
「そんなに急ぐなよ…」
ポニーテールがピョコピョコと跳ねる。
俺と真樹は今、空港にいる。
…父さんが帰ってくるのだ。
指定された店で待つ
俺と真樹。
「まだかな?」
「…ちょっと遅いな…」
(父さんにしては遅いな、いつもは時間ピッタリに来るのに…)
「あ、来た!」
「…いないじゃん?」
「いるよ~
ほら、あそこ」
そう言って真樹が指差したのは…
向かいの店で、土産を買っている父さんの姿だった。
それからしばらくして、
「お父さん、遅刻だよっ!」
「すまん、真樹。
…ちょと用があってな。」
「真樹、そんなに怒るなよ…。
父さんは、そこの店で土産買ってて遅れたんだろ?」
「なっ、
何で知ってるんだ?!」
「だって、そこから…
丸見えだったからさ」
「ボクが見つけたんだよ」
そう言って真樹は
父さんに抱きついた。
「…本当に女の子になったんだな…」
父さんはそう呟いて、
真樹をギュッと抱きしめた。
「トイレ行ってくるね」
「もう、間違えるなよ?」
「間違えないもんっ」
「もうすっかり女の子だな…」
「結構大変だったのよ?」
「優美!」
「優美ちゃん、久しぶりだね」
「おじさん、お久し振りです。
一週間で、
あそこまで女の子らしくするの…
本当に大変だったんですから」
「ありがとね。
本当に助かったよ」
まぁそのわりには
楽しんでたけどな…
「真美ちゃんは?」
「お母さんとお買い物中。」
「そういえばあっちに
アウトレット出来たらしいな…
優美は行かないのか?」
「行ったんだけど…
良いの無くてね。
ところで今日の真樹ちゃんの髪、
尚樹がやったんですよ?」
「ああ、そうだよ」
「え…お前が?」
「朝、真樹が駄々こねてね…
(まぁ、あんだけ頼まれればなぁ…)」
…今日の朝のコト…
「イヤだもん…
この前のみたいに可愛くしてくれないと…
ボク行かないもん‼」
参ったなぁ…
もうすぐ、真理子さん達が迎えにくる時間だし…
「…優美みたいに出来ないだろうケド…
それでもいいか?」
「うん!」
…とりあえずやってみっか…
ポニーテール
「…なんとか出来た…」
…とりあえずかたちにはなったかな?
「お兄ちゃん、ありがと!」
そう言って真樹は俺に抱きついてきた。
すると…
「まぁ、初めてにしてはいいんじゃない?」
えっ、この声は…
「優美!
いつの間に居たんだ?」
「さっきから居たわよ?
…二人共全然気付かない
んだから…」
「…まぁ、
こんなことがあってさ…」
俺は父さんに朝のコトを話した、すると…
「そうか…
すっかり女の子なんだな…」
そう言う父さんは少し寂しそうに見えた。