真樹の部屋
こんなによく眠って…
やっぱり疲れたんだな…
俺は自分の部屋で眠っている真樹を布団の上に寝かすと、
さっきのことを思い出した。
病院の帰りのこと…
「ねぇ、いいでしょ?」
「真美もお泊まりしたい~」
「うーん…」
しばらく考えた真理子さん。
真美ちゃんはいいとして…
やっぱ優美だよな…
年頃の女の子を泊まらせるのは、親としては抵抗あるだろうし…。
「…心配だから、私も行っていいなら…
いいわよ?」
そんなこんなで、
真美ちゃんと優美、真理子さんが家に泊まることになった。
…もうすぐ来る時間だな…
ピンポーン
「来た!」
俺は足早に部屋出て玄関のドアを開ける。
そこには大量の荷物を持った優美がいた…。
「来たよ~
…真樹ちゃんは?」
「今寝てる…」
(てか、荷物多くね?)
「そっかぁ~
真樹ちゃんに似合うと思ったのになぁ…」
「まさか…その荷物…」
「うん、真樹ちゃんの服とかスカート!」
(やっぱりな…)
「…真美ちゃんと真理子さんは?」
「荷物取りに行ってるよ。
…ホラ、真樹ちゃんの部屋ってさぁ…
男の子の部屋でしょ?」
「まぁ、昨日まで男だったからなぁ…」
「だからね。
『女の子なんだから女の子らしく』
ってコトで…」
「真樹の部屋を大変身、って訳か…」
「面白いでしょ~」
「まぁな…。
でも、真樹が気にいるかなぁ?」
「うーん…
多分大丈夫だよ!」
(多分って…)
とりあえず真樹を起こさないように、俺の部屋へ移動させる。
「…お兄ちゃん…」
「えっ?
(…寝言か…可愛いな…)
ぐっすりと眠っている真樹をベッドに寝かすと…
ピンポーン~
真美ちゃんと真理子さんが来たようだ。
「ママ…重いよぉ」
「もうちょっとだから…ね?」
ドアを開けようとすると、そんな会話が聞こえた…
(園児になに持たせてんだろ…?)
ドアを開けると、
両手に大きな袋を持った真理子さんと
小さなクマがいた
…真美ちゃんだよな?
「お兄ちゃん、
真樹ちゃんは?」
「寝てるよ。
…真美ちゃん、
そのクマさんは?」
「コレね~真樹ちゃんにプレゼントするの」
そう言ってクマのぬいぐるみの後ろに隠れていた、
真美ちゃんが顔を出した。
(ほぼ同じ大きさだから見えなくなるんだよなぁ…)
「コレでよし!」
「できたね~」
「…すげぇなぁ…」
三人によって真樹の部屋が女の子の部屋になった。
本棚には主に少女漫画が置かれ、
クローゼットの中身もほぼすべて女の子の服に…って
「スカート多くね?」
「だって、真樹ちゃん可愛いんだもん!」
…しばらく優美の着せ替え人形になりそうだな…。
「…お兄ちゃん…あれ?」
俺の部屋で眠っていた真樹が起きてきた。
「真樹ちゃん、どう?」
「この部屋ね、
真樹ちゃんが女の子になったから、
リニューアルしてみたんだよ~」
「…スゴい!
何でボクの夢に出てきた部屋があるの!?」
「夢?」
「うん!
みんなでこの部屋でお布団ひいて、
川の字で寝る夢。
すごく幸せだったなぁ~」
(川の字って…昭和かよ!)
「ってか…
川の字って言葉何で知ってんの?」
「テレビで出てきた」
「…そっか…」
「ねぇお姉ちゃん、
川の字って何?」
真美ちゃんは知らないんだな…まぁ普通は知らないか。
「川の字って言うのはね、
…あれ…何だっけ?」
…優美…
しっかりしてくれよ…
「…二人して分かんないの?
…川の字って言うのはね、
…要はみんなでお布団ひいて並んで寝るコトよ」
まぁ…親が子を挟んで寝るコトだけど
…でも簡単に言うとそうか?
「じゃあ、
今日はみんなで川の字で寝ようよ~」
「えっ…みんなで?」
「四人ならいいケド
…ちょっとみんなはね?」
「…なんで四人ならいいの?」
「えっと…ね」
そう言う真理子さんはチラリと俺を見た
…俺、ジャマ?
「…ちょっと問題があるのよね~」
やっぱりジャマみたい…
「…真美、おかし食べよっか?」
「うん、食べる~」
…優美と真美ちゃんは部屋を出た…
「問題ってなに?
お兄ちゃん分かる?」
…俺に振るなよ真樹
「そのお兄ちゃんが問題なのよねぇ~」
…完全に分かってるよな…真理子さん。
「どうゆうコト?」
「真樹ちゃんは女の子でしょ?」
「うん、そうだよ?」
「お兄ちゃん位の男の子ってね…
野獣になるのよ」
「…野獣?」
「そう、
眠っている女の子を襲っゃうの。」
「…ちょっと待った!
真理子さん、真樹に変なことを教えないでくださいっ
…俺、夜這いはしませんから」
「…お兄ちゃんどうしたの?」
「いや…ちょっとな…」
「ボクもおかし食べてきていい?」
「いいぞ。
あんま食べ過ぎるな?」
「うん、分かった」
…真樹が部屋を出て、真理子さんと二人きり…
「俺、自分の部屋で寝まから…」
「でも、本当は一緒に寝いんでしょ?」
「そりゃ…まぁ…」
「優美と寝たいもんね?」
えっ?何で?
「『何で知ってんの!』
ってカオしてるわね、
それくらいわかるわよ
ずっと見てきたからね。
優美のコト好きなんでしょ?」
「…」
「私はいいわよ、
相手が尚樹君でも。
…でも、優美ったら全然気付いてないからね~」
「…やっぱり…」
「でもね、
真樹ちゃんが女の子になったことがチャンスだと思うのよ」
「チャンス?」
「真樹ちゃんが女の子に慣れるまで、
優美達に面倒を見てもらうコトになるでしょ?
…だからその間にちゃんと気持ちを伝えないとね?」
コンコン
「…お兄ちゃん」
「真樹、どうした?」
「…僕…大丈夫かな?
…優美ちゃんとお姉ちゃん見てるとね、
僕って女の子として大丈夫かなって思うんだ」
「…自信無いのか?」
「…うん…」
「大丈夫。
俺はわかんないケド、優美達がちゃんと教えてくれるからさ…
だから大丈夫だ」
そう言って俺は、
小さな真樹をずっと抱きしめていた。




