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◇予知夢

アドバンスの調整ははかどり作業の効率が皆をさらにやる気にさせる。

とくに脚部のサスペンションに関節の構造、スラスターに最新技術が惜し気もなくつぎ込まれている。


「はは、凄いや落下の衝撃が約83%も軽減されるのか……しかも関節部を繋げて一つの大型ブースターとして運用できる!凄い!」

「ほぉ、ナツルは解るのか感心感心、熱中するのはいいが作業は終了だ」

「え……もうこんな時間か」


彩華さんに軽く小突かれ作業を辞める、時間を見ればもう朝の一時だ。ここに来たのが午後の二時、どーりでくたびれているわけだ。

「ほら風邪ひくぞ」

「!自分でやりますから」

彩華さんがタオルで汗を拭いてくれるが恥ずかしいので直ぐに離れた。


「照れるなよ、じゃ帰るか」

「はい!」


五十嵐さん達に敬礼をし、先に帰る三日の予定を一日でやりきってしまったのであとは未完成のOSと中国にある実験施設の運搬だけだ。

1メカニックとして新型の開発に少しでも関われてやる気が満ちる、名残惜しいけど彩華さんを待たせるわけにもいかない最後にその姿を目に焼き付け帰った。


現在、昼の一時を少し過ぎたころだ。

エビピラフを葵さんと食べていると険しい顔の南中尉が食堂に入ってくる。


寝不足気味の目を確り開き背筋をただす。


「落ち着いてくれ、フロリダ基地が消し飛んだ、フロリダだけじゃない、沖縄の那覇基地も……」

「え!どういう」


事ですか!といいかけるが警報が鳴り響く、葵が立ち上がり僕を押し倒す。


「何を」

「中尉!ナツル!伏せて!」


食堂の窓から赤い光が滑走路に淡いピンクの線を引くカッと光り凄まじい音と爆風が建物を襲う。

食堂も吹き飛び破片が飛び交う破片が此方に飛んでくる。


「クソ!ぐっ…がっ」

「南中尉!」

「ナツル踏ん張って猪狩を抱えろ!がぁ……」


目の前が閃光に包まれて意識が……。







《返す……わ……》


何か微かに聞こえる……左腕の感覚がない、頭がガンガンする……皆は……薄く眼を開き回りを確認する。敵の攻撃を受けたのは解る……でも、なぜこのタイミングで。


「っ……ん……ナツル…無事か!」

「葵さん?……あれ?」

「ナツルお前…目が見えてないのか?」

「ぐっ……猪狩!榎本!……」


あれ、何も見えない……暖かい手が僕の体を支えてくれている。


「中尉、ナツルの目が」

「っ……見えないのか……」

「とりあえず、生存者を探そう、医療品も」

「ナツル待ってろ!」

「はは、いってらっしゃい」


なんだろ、妙にすっきりと言うか冷静な気分だ見えないのに見えてないはずなのに迷いなくしっかり歩ける?……感覚が研ぎ澄まされてる……だれかくる。


「よう、ナツル……なんだ目をやられたか」

「エリア……これは?」

「遊びは終わりらしいぜ、とうとう完成しちまった、72基のソレイユを積んだ完全な兵器、ソロモンがじゃな、ボクは敵にもどるよ……っても見捨てられたみたいだけどな」

「そうか……ねぇ…君たちが」

「そいつは質問か?疑問か?」

「どっちかな?多分、確認だよ」


風が吹き、髪を揺らす。

エリアが息を飲むのが分かった。


「なんて言うか、分かっちゃうだよ?変だな」

「そうだよ……アガレスはボクたち計画の核だった其を無しにソロモンを完全させた代用品が完成したんだろ」

「そっか……殺していかないの?」

「ん、辞めとく」


灰が手に落ちる感覚と共にエリアは居なくなった。



「ナツル!ナツル!おい!」

「葵さん?見えてる!」

「なに寝ぼけて」

肩を揺さぶられるのに目を覚ます、さっきの鮮明すぎる夢が頭から離れない!

よくわからない感覚が胸の奥に沸々とわくアガレスのもとに行かないと!


「おい!エビピラフ……片付けろよ」

「小尉!」

「中尉?」


血相をかいて南中尉が食堂に入ってくる。






「アガレス!出ますよ!」

「小尉!おい待て!」


出撃命令も出ていないので当然ハッチは開かないクレーンを無理やり外し、ガトリングでハッチを打ち砕き出撃する。


《ナツル!何をしている!》

「彩華さん!嫌な予感がします!処罰は後で!」

『ナツル、感じます72基の私を……来ます!』


空が真っ赤に染まり雲に穴が開き閃光が鳥井基地に向かう。


「させるかぁぁぁぁ!!サン!ソレイユ!」

『ソレイユ発動』

「ぐぅ!とまれー!!!」『エネルギー量が違いすぎます、全ソレイユを防御に回しても5分』


まるでフルマラソンを走っているような勢いで汗がにじみ体力がどんどん削れている。

アガレスがソロモンの攻撃を防ぐのを中心にビームが飛散し海を蒸発させ水蒸気をまいあげる。

振動が凄まじい、地震のように揺れ追加装甲がボロボロ崩れていく、リミッターを解除しているバーニアも限界だ。


『ナツル、ワタシを破棄し脱出を』

「嫌だぁ!サン!諦めるな!」


徐々に押されるアガレスが再度均衡を保つ。

胸が痛い、全身が複雑骨折したように痛みが走る。


「負けるかぁ!!」


スロットいっぱいまでアクセルを踏み耐える、アガレスの廃熱処理が追い付かないオーバーヒート寸前のギアを中心に装甲が真っ赤になる。


「あと少し!あと少しだけもってくれ!」

『エネルギー量減少』

「持ちこたえた……なんだよアレ……でかい」


攻撃を持ちこたえたアガレスがソレイユの光りから解放される。

視界、僕が見ているそれは巨大な空中要塞だ、三重の円が土星の輪のように回りその中心に六角形の巨大なドームそして外側にはまるで西洋の剣のような形の装置が取り付けられている。

『上空に敵MG、識別不能の新型のようです』

「アガレスはまだ動ける?」

『撤退するだけなら』


まずい、アガレスも闘えない味方もいないしかも正体不明の新型だ。

嫌な汗が吹き出す。


「くっ!」


敵MGが目の前に現れる、覚悟を決めて殆んどエネルギーが残っていないヒート・ブレードを展開した。


『やる気か?おれは構わんぞ』

「こっちの回線に割り込んだ」

『アガレスのパイロット、噂以上の実力だ、我々の作戦を阻止したのは褒めてやろう』

「お前は」

『ふん、知ってなんになる伝言だ、我々はいつでも貴様らを攻撃できる、5日以内に武装解除し各政権の主導権を寄越せとな』

「そんな!」

『辞めとけって、そんな情けないMGに勝ったってなんの自慢にもならんさ、用件は伝えた取り敢えずお前は合格だ、無能ではないようだな褒美に良いもんをくれてやる』


スピーカー越しでも解る力量が違う。

何も言えない口がカラカラ渇く、目の前のアガレスと似た紫のMG、しかし普通とは異なる異様な騎体から光通信でファイルがとどく。


『我らが主のゲームへの参加状だ、その技術でも応用してそのポンコツをましにしてこい』

そこで通信が途切れてソロモンに帰っていく、そしてソロモンもその姿を徐々に消して見えなくなった。


『帰還しましょうナツル』

「……うん」

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