◇決意
遅くなりました!今回から、騎体の説明を後書きに入れますよ。
シグマの襲撃から三時間、僕はまだアガレスから出られない。
「お、お腹すいた」
『はぁ〜なにやってるんだよ』
フラロウスのパーツ交換を済ませた鷲尾さんが外からのパスワードで開けようとする。
<エラー、パスワードが違います>
「………無理か……どうしたもんかな」
『日頃の行いが悪いからじゃね?じゃ、オレはラーメン食いに行くから』
「ちょ!隆章さん!まってー……行っちゃったよ」
僕は仕方なく、キーボードを取りだし、アガレスを調べる。
「だ、ダメだ〜疲れた」
ピピッ!
『あははっ!ナツルよ!私が来たからにはもう安心だ!』
モニターには、ハイテンションな彩華さんが映っている。
「本当に?!期待しますよ!」
『ああ!私に任せろ!』
ブツン。
五分経過。
<システムエラー、解消……メインシステム作動>
「おお!やった!」
僕は三時間ぶりに外に解放される。
食事を済ませ、またアガレスの基に戻る。
アガレスのボディは結構傷ついていた。
「……ごめん…すぐ綺麗にしてやる!」
不本意とはいえ、自分の動かした命を預けた騎体だ、しっかり整備してやる。
「……しかし、お前のスペックは凄いな?一体誰が作ったんだい?」
皆からは変って、言われるけど僕はMGを整備しているときは騎体に話かける。
「おい!帰るぞナツル、アガレスの機能を停止するのだ」
彩華さんは帰り支度を済ませて、僕は仕方なく帰り支度をする。
帰りの車の中、彩華さんは何故か上機嫌だった。
「なんで上機嫌なんですか?」
「あははっ!決まっているではないか!」
僕に向かってビッシ!っと指を指す。
ちなみに赤信号で止まっているよ。
「お前がアガレスを動かせた事だ、他の連中が乗ってもあんなスムーズな動きは見せなかった」
車を走らせながら、楽しそうに話してくれる。
「お前は初めての戦闘をまともに闘いぬいた、私は素直に嬉しいのだ」
「ありがとう……そうだよね…僕はアガレスで闘ったんだ」
僕は自分の手のひらをみて、グリップ握った感覚を思い出す。
あの時はアガレスと僕なら絶対に勝てる様な気がした。
不思議、恐怖感が薄れていたのだ。
「それでだが……アガレスのパイロットをしてみないか?もちろん、整備士の仕事も続けてもらう、君さえ良ければだが」
ちょうどアパートについて車が止まる。
「………僕は……」
今日の闘いが、頭の中で再生される。
恐怖感は多少あった、死ぬような思いもした……でも、アガレスとなら、僕は戦っていけるような気がした。
「…アガレスを動かせるのは…本当に僕だけなんですか?」
「そうだ…現状、君だけだ」
「わかりました、僕で良ければ頑張ります!」
僕は車から降りて、彩華さんに別れ、部屋に入ろうとするが僕の部屋から麻婆豆腐の匂いがする。
「麻婆豆腐?何故!?」
ドアを静かに開け、鞄からスパナを取り出す。
「…………だ、誰だ!」
勢いよく、キッチンに入りスパナを構える。
「あら?お帰りなさいナツル、麻婆豆腐食べる?」
「えぇ!?こ、琴乃?なんでいるの?」
僕は目の前の人物が信じられず硬直する。
「おじさまに頼まれてですよ、ナツルの世話を頼むって」
「と、父さん……たんてこった」
3LDKのアパートに住人が増える瞬間だった。
S0MGー000 アガレス 全長10メートル 武装 ヒートブレード×2アームガトリング×2 ハイ・ソレイユ・システム参考 高スペックの最新騎体だが乗りこなす事が難しく、何故かナツル以外の人間が乗ると、動きは鈍くなる。 ちなみに、新・国連軍製ではなく、シグマ製。