表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
埋もれた声明文 ~陰キャでぼっちな俺が、なぜか学校一の美少女に呼び出された~  作者: シッポキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/94

37 再確認

 俺は以前に白川(しろかわ)(まと)めたクラスメイトの一覧表を確認した。青のチェックを入れた(茶封筒に指紋が残っていた)五人のうち、木田恵(きだめぐみ)桐島努(きりしまつとむ)(すで)に亡くなっていて、渡辺凛(わたなべりん)()()()の正体を知らないようだった。安藤芹(あんどうせり)は電話()しの声しか聞いていないが、()()()(かも)し出す、異常性を(しめ)すような怪しい雰囲気は感じられなかった。


 残る一人。小学校を卒業後、中学校入学当初から不登校だったという根本遥(ねもとはるか)に、白川は再び連絡を取ろうとしていた。


「以前電話に出たのが根本遥本人だった場合、息を吐くように自然に(うそ)をつける人物かも知れない。そう考えると、()()()の可能性もありえる。警戒のレベルを上げた方がいいと思う」

白川に声を掛けると、彼女は缶コーヒーを少し口に(ふく)んで答えた。

「それはクラスメイトの名簿を(にぎ)っている海野洋(うみのひろし)も同じ。もし相手が()()()であっても、どういう反応が返って来るかを知る事が出来るわ」


「自分の身を危険に(さら)しても?」

「私は覚悟を決めたの。遅かれ早かれ、()()()はこちらの動きに気づくと思う。先延(さきの)ばしにすれば、それだけ決着も遅れる事になる」


「わかった。心配事が早く片付(かたづ)くといいな。一緒にいる時は出来るだけ(ひとみ)の周りを警戒するようにするけど、一人で外出する時は今以上に気をつけるようにしてほしい」

俺が(くぎ)を刺すと、白川は微笑して言った。

OK(オーケー)、気を抜かないようにする。それじゃあ早速、根本遥(ねもとはるか)に電話してみるわ。(はじめ)は相手の返答を一緒に聞いて、見守っていてね」

俺は黙って(うなず)き、噛み砕いたクッキーをゴクリと飲み込んだ。


 白川は大きく深呼吸をした(あと)、根本遥の電話番号を指で追いながらテーブルに置いたスマートフォンの液晶をタップし、発信アイコンを押した。こもった呼び出し音が数回鳴った後に、受話器を取る音が聞こえた。白川は口に人差し指を当て、音声出力をスピーカーに切り替えた。


『はい。根本ですが、どちら様?』

白川が前に言った通り、若い女の声が聞こえた。


「私は白川瞳(しろかわひとみ)と申します。根本遥さんに伝えたい事があって電話をしました」

『…………』


「もしもし? もしもあなたが根本遥さんだったら、お願いだから電話を切らずに話だけでも聞いてほしいの。ダメかな?」

『…………』


木田(きだ)さんを犠牲(ぎせい)にした(わる)(ヤツ)を見つけ出すために、あなたの力を借りたいの。お願い!」

『……本当に白川(しろかわ)さん? この(あいだ)山本(やまもと)って名乗った怪しい人じゃないの?』


「それは偽名(ぎめい)よ。私の名前を出すと警戒されると思って偽名を使ったの」

『……ふうん。カナダ留学の(ウソ)はバレてたんだ?』

「声が若かったし、本人が電話に出て嘘をついているんじゃないかと思ったの」


誤魔化(ごまか)さなくてもいいわ。どうせ渡辺凛(わたなべりん)安藤芹(あんどうせり)に聞いたんでしょ? 中学から不登校だってね。で、あんたは(めぐみ)()()()悪い奴を見つけ出すために、あたしの力を借りたいと言ったわね。何かつかんでいるの?』


白川は無言で俺に目を合わせた。俺は走り書きしたメモを白川に見せた。


「木田さんを誰かが(あやつ)っていた事は分かってきた。(くわ)しい事はあなたと直接会って話がしたい。外に出るのがダメなら、あなたの部屋に入れてほしい。腹を割って話がしたいの」


『……あたしを(うら)んでないの?』

「もう恨んでない。もちろん木田さんの事も」

白川はゆっくりと息を吐き出すように言った。


『……わかった。あたしの家に来て。あんたは高校生だろうから、いろいろ忙しいんじゃない? あたしはずっと家にいるから、あんたの都合のいい日に会ってあげる。住所はもう知っているんでしょ?』

「ええ。それじゃあ今週の土曜日の正午はどう? お昼はあるの?」

『いつもはレンチンか宅配ピザだけど』


「私の手作り弁当を持って行ってあげる。料理には自信があるの。一緒に食べながら話をしましょう」

『フフフ。楽しみに待ってるわ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ