表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
埋もれた声明文 ~陰キャでぼっちな俺が、なぜか学校一の美少女に呼び出された~  作者: シッポキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/94

26 歪んだ愛情

(ひとみ)一昨日(おととい)列車の中で、(すべ)てを()()()が引き起こしたマッチポンプのような気がすると言った。木田恵(きだめぐみ)が何か逆らえない理由があって、()()()(あやつ)り人形になっていたとすれば、俺もそれが正しい思う。

 でも、()()()が報復を(ほの)めかす三つ折りの手紙をタイムカプセルに入れた不可解な理由について。(ひとみ)は自分を(おとしい)れるためだと言ったけど、俺は少し違うイメージが浮かんだ」


「一体、どんなイメージ?」


「文面を素直に読むと、()()()(ひとみ)(ゆが)んだ愛情を(いだ)いていると思ったほうが自然じゃないかな? バレないように敵を操って(ひとみ)を攻撃しておきながら、正義の味方を気取って復讐を代行していく。それで(ひとみ)が喜ぶと思い、そして自分も(えつ)()る」


「それが本当なら、(いびつ)で……そら恐ろしいわね」

白川(しろかわ)は両手で二の腕をさすった。


「おさらいはこれくらいかな?」

俺はメモ帳を机に伏せて、半分ほど残っていた缶コーヒーを飲み干した。

「今後の方針を決めましょう。これまでと同じように、()()()が誰なのかを突き止める事が一番の目標。そのために何から始めればいいか優先順位を決めたいの」

白川は腕時計の時間を確認した。下校時刻までまだ一時間近く余裕があるが、日は(すで)に暮れ始めていた。


海野洋(うみのひろし)の現況を確認すれば、きっと次にやるべき事が見つかると思うけど」

「もし海野洋(うみのひろし)()()()だったらどうする?」

白川は表情を(うかが)うように、俺を見つめて言った。


(ひとみ)を危険にさらすわけにはいかないから、赤の他人の俺が何か理由をつけて電話を掛けてみよう」

「怖くはないの?」

「怖いけど。(ひとみ)は友だちだから」

俺は白川の視線がむず(がゆ)くなって、窓の外に視線を移した。


「あとは、木田(きだ)さんのお母さんから借りたアルバムの検証。木田さんと()()()は切っても切れないような関係があったかも知れない。写真のどこかに()()()が写り込んでいる可能性もある。それと、残りの候補者の電話での安否確認もまだだから」

白川が話し終わると同時に、ドアの向こうから階段を上って来る足音が聞こえた。俺と白川は急いで教科書を出して蛍光ペンを握った。


「おい、お前ら。今日は同好会の初日だから早めに帰れ。一応下校時刻は午後六時だが、暗くなる前に帰ること。わかったな?」

「はい、わかりました」

俺と白川は急いで教科書を(かばん)に仕舞い、消灯して廊下に出た。


「次からは早めに切り上げて帰宅します。今日は戸締りをお願いしてもいいですか?」

白川はクールな表情で担任の先生に鍵を渡した。

「ああ。二人とも気をつけて帰れよ。中間考査も近いから、余裕があれば佐藤の面倒も見てやってくれ。頼んだぞ」


 俺と白川は帰る道すがら、下校時間を利用して今後の方針を決めた。

来週の(なか)ばから中間考査が始まるので、翌日から学校では『自習同好会』の本来の活動をする。週末土曜日に、朝十時から白川家に集合。勉強会も兼ねているが、綿密な打ち合わせをした上で、出来る限り全ての案件を実行するという事で話は(まと)まった。

 最悪の場合、()()()にこちらの動きを(さと)られる危険性があるが、安否確認を引き延ばしたところで調査の進展は望めない。


 俺は単純に、一刻も早く白川から()()()の影を取り(のぞ)きたいと思った。それが友情か恋心か分からないが、俺は見返りを求めず、彼女の力になりたいと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ