14.設定集(59章時点)追加分
―― 前章から追加された箇所を含む項目を以下に記載します。 ――
●竜と神性龍について
魔獣の頂点に近い存在として竜がいる。彼らは年月を経て脱皮をしながら身体を作り変える。それにより『上位竜』や、『古代竜』などと格が上がっていくことが知られている。なお、脱皮したときの古い皮が見つかることはあまり無い。これは脱皮したばかりの皮には大量に魔力が含まれるため、幼い竜に食べさせることが多いことが研究により判明している。
竜は総じて強靭な生物であるが、戦闘してこれを討伐することは不可能ではない。ただし、上位竜以上の格上の竜種との戦闘はその難易度から、防備を固めた砦へ突撃するくらいの覚悟が必要なようだ。
彼らは人間と同等以上の知性を持つ。その一部が精霊の試練とも呼ばれる過程を経て、世界に満ちる精霊たちと交感できるようになった存在を神性龍という。神性龍は太古に神々より竜から誘導されて発生した存在で、惑星ライラに存在する大精霊を制御して環境魔力を調整する役目を神々に託されている。
彼らが神々から役目を託された事実は人類史から失伝している。約三百万年ほど前に神格とみられる何者かが大精霊を暴走させた事件が起きた。この対策として神性龍が大精霊と連携して環境魔力を制御する仕組みが神々に構築された。古代の超魔法文明では人類は神性龍と交流があり、自然環境の維持とか制御に協力してもらっていた。この関係は神性龍と人類の同盟関係に近く、人類は神性龍に協力する見返りとして大精霊の力を借りたり、『超人』と呼ばれる存在に至る助けを得ていた。
竜が精霊の試練に失敗して狂化した場合、これを殺すのは親たる神性龍の務めだった。この子殺しを見かねたのが魔法により人化したディンラント王家の者たちで、狂った竜を狩るのを長く王家の役目としてきた。だが神性龍は人類にとって神とも感じられる強大な存在であり、信仰の対象とする人間も存在する。故にディンラント王家は“神殺し”などと謗られるのを避ける意味で、義務として神性龍の子竜を狩ることを王家の秘密としてきた。
なお古い文献では竜と龍は“Dragon”と“Dragonn”や“ドラゴン”と“ドゥラゴン”などの表記の差異があった。これが年月と共に表記ミス等と判断され、現代では混乱を招いている。加えて神性龍を信仰する人間たちでも同様の混乱があるため、竜と龍と神性龍は人類にとっては歴史の謎となっている。これ故ステータスの魔法などで生じる“龍人”の意味を正しく理解できる人間は、人類には非常に少ないうえにその理解を証明する手段が少ない。
ディンラント王家が把握するところでは世界中に神性龍は十体存在するという。それらは全て並みの人類を超越した知性を持つ存在ではあるが、感情を持つリスクをディンラント王家は懸念している。
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