14.設定集(39章時点)追加分
―― 前章から追加された箇所を含む項目を以下に記載します。 ――
●王都ディンルーク内の貧民街について
王都には貧民街、いわゆるスラムがあり、貧困層の住民が暮らす。善政が敷かれる王都でそのような地区がある原因は様々だが、根本的には「王国の資金の不足」、「重犯罪者を身内を持つ者の受け皿」、「裏社会の勢力の受け皿」の三つがある。
これらの原因に加え、代々の宰相や王宮の要職にある者たちが「王都の必要悪」と位置づけ、一定の範囲以上は介入をしてこなかったことがある。これには多分に、反社会的勢力の拡大による王都全体の治安悪化などを防ぐ戦略の影響がある。
貧民街が王宮の許容範囲を超えて拡大しそうな場合は、様々な手段を用いて秘密裏にこれを制御してきた隠された歴史があることが、近年研究者などから指摘され始めている。これに対し王宮側は明確な回答を示していない。王宮側の理由としては王国騎士団内の暗部組織の活動拠点が置かれていることがあるが、これを知る市井の者は高ランク冒険者や特定の傭兵団、王都の裏社会組織の幹部たちなどに限られる。
一般的な王都住民の立場として、大別すれば大半の無関係を貫く者と、宗教的な使命感から貧民を助けようとする少数の者に二分できる。貧民街の街並みはうらぶれていて埃っぽいが、道沿いに立ち並ぶのは古い石造りの建物が多い。歴史的には歓楽街があった時期もあるが、王都の変遷の中で取り残されて今に至っている。貧民街の住人は様々だが、強いて分ければ様々な理由で自活する手段が無い者か、世を倦んだ都市の中の隠者の二種となる。
●組織など
ディンラント王国暗部
光竜騎士団の第一師団内にあるが、詳細は秘されている。二つ名は“鱗の裏”で、格闘術に不生流を制式採用している。
王都ディンルークの貧民街に関係者しか入れない区画があり、そこを本部としている。王国側の関係者以外では高位の冒険者のごく一部か、特定の傭兵団や王都の裏勢力の幹部しか具体的な場所を知らない。
●魔法金属について
鍛冶や彫金などに用いられる素材で“魔法金属”と呼ばれるものがある。最もこの世界で身近なものとして真銀があるが、地球でいう所のスプリングスチールに近いものであるようだ。
具体的には鉄鉱石を主成分とし、炭素やマンガン、シリコン、クロムなどを加えて合金が作られる。この際に銀を一定割合で加えることで、魔法による不純物の除去や素材の均質化のマーカーとしてドワーフ族が利用し始めたのが始まりらしい。その製造に使われる魔法の影響により、真銀は魔力の伝導率が通常の合金よりも高くなる性質を持つようになった。以後研究が進み、伝導率に加えて魔力の保持についても向上して現在に至っている。
このほか魔法金属として、硬度はそれ程でもないが経年劣化にとても強い神鍮が有名だ。神鍮はオルトラント公国のドワーフ族の一部に秘伝として製法が伝わる金属で、魔力の伝導率が異常に高く魔力を保持しやすい。またマホロバに伝わる日緋色金は弾性に優れ、刀剣の材料に供される。
他にアダマンタイトは特殊な磁性鉱物の合金で、聖剣や神剣と呼ばれる伝説級の武器の素材に供される。アダマンタイトに関しては、魔族が武器製作に用いる磁性鉱物を用いた合金に源流があると言われる。この他には真銀に魔法生物や隕鉄などの素材を用いた、個別の鍛冶屋に口伝で伝わる合金などもあり、技術としての裾野はかなり広くなっているようだ。
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