14.設定集(35章時点)追加分
―― 前章から追加された箇所を含む項目を以下に記載します。 ――
●竜と神性龍について
魔獣の頂点に近い存在として竜がいる。彼らは人間と同等以上の知性を持つ。その一部が精霊の試練とも呼ばれる過程を経て、世界に満ちる精霊たちと交感できるようになった存在を神性龍という。神性龍は太古に神々より竜から誘導されて発生した存在で、惑星ライラに存在する大精霊を制御して環境魔力を調整する役目を神々に託されている。彼らが神々から役目を託された事実は人類史から失伝している。竜が精霊の試練に失敗して狂化した場合、これを殺すのは親たる神性龍の務めだった。この子殺しを見かねたのが魔法により人化したディンラント王家の者たちで、狂った竜を狩るのを長く王家の役目としてきた。だが神性龍は人類にとって神とも感じられる強大な存在であり、信仰の対象とする人間も存在する。故にディンラント王家は“神殺し”などと謗られるのを避ける意味で、義務として神性龍の子竜を狩ることを王家の秘密としてきた。なお古い文献では竜と龍は“Dragon”と“Dragonn”や“ドラゴン”と“ドゥラゴン”などの表記の差異があった。これが年月と共に表記ミス等と判断され、現代では混乱を招いている。加えて神性龍を信仰する人間たちでも同様の混乱があるため、竜と龍と神性龍は人類にとっては歴史の謎となっている。これ故ステータスの魔法などで生じる“龍人”の意味を正しく理解できる人間は、人類には非常に少ないうえにその理解を証明する手段が少ない。
ディンラント王家が把握するところでは世界中に神性龍は十体存在するという。それらは全て並みの人類を超越した知性を持つ存在ではあるが、感情を持つリスクをディンラント王家は懸念している。
●血神について
『血神』はプロシリア共和国の、吸血鬼族に伝わる祖霊信仰で登場する神である。各国の教会で認定された神ではない。共和国土着の神であり信仰とされ、一般にはあまり知られていない。これはその信仰の性質から、広く信者を集める必要が無かったことによる。時代が下るにつれて、祖霊信仰から離れ一柱の神であるとみなす解釈が登場する。祖霊信仰は吸血鬼族で見られる概ね穏やかな思慕の対象だ。対して一柱の神としての血神はプロシリアで秘された神として扱われ、供儀を必要とする存在として扱われるようになった。
●武術流派
竜芯流
正統派剣術として名高い流派。古式ディンルーク流剣術とも呼ばれ、ディンラント王国内で制式剣術に採用する騎士団や領軍は多い。利き腕に片手剣を持ち、逆の手に盾を持って戦うオーソドックスなスタイルで斬撃と刺突技を行うほかに、盾を使った打撃技も用いる。基礎訓練段階から素手での体術も同時に修得する。熟練者は魔力制御による身体強化や反射増強、疑似思考加速を行い高速戦闘も対応できるが、盾による突撃を除けば攻撃力は低めと言われる。守勢に回ればとても堅いので継戦能力は非常に高く、集団戦闘で真価を発揮すると言われる。
正統派剣術ゆえに習得者が多い反面、竜芯流の真の姿を使いこなせる者は全体の中でも少数となっている。これは竜芯流が片手剣の一刀流に盾を持たせた流派という理解が流布している中で、実際には片手剣と盾術の二刀流という身体操作が出来る者が少ないことによる。
リベルイテル流槍術
ディンラント王国西部のリベルイテル地域で発達した槍術。リベルイテル辺境伯領の領兵が制式採用していることで有名。その源流は古代の狩猟槍にあるといわれ、流派の歴史は古い。かつては短愴術と長愴術があったが統合され、刺突と打撃が重視される。魔力制御による身体強化や反射増強、疑似思考加速も可能だが、伝授に際しては各指南所がその可否を厳密に管理している。他国にも指南所があることが知られ、使い手の裾野は広い。
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