DEATH NOTEの夜神月がキラとばれても死なずに済む方法。
「ニア、僕の勝ちだ」これさえ宣言していなかったら逆転の目が合ったと言われることもありますが、例えその後であったとしてもどうにか生き残ることは可能だったのではないでしょうか?
殺人事件における重要な点は主に三つ。動機と凶器と方法です。
この内の動機と凶器はなんら問題ありません。動機は明白で凶器もDEATH NOTEとわかっています。「ニア、僕の勝ちだ」この言葉をアメリカ日本双方の捜査官達が聞いている以上、証人もバッチリです。
私が最大の問題と捉えるのは方法です。凶器はDEATH NOTEで間違いありません。そこに名前を書いたら死にます。
どうやって??
どういう物理法則が働いたらノートに名前を書いただけで人が死ぬのか。しかも死ぬ前の行動まで操れるのか。それを科学的に証明できない以上、キラこと夜神月を裁判で有罪にすること不可能なのではないでしょうか?
殺した人数が膨大なので、その中身が幾らほとんど犯罪者だとしても死刑は免れないでしょうが、そもそも殺害方法を説明できない以上、裁判所はそれを有効と認めるでしょうか?
仮に裁判官と陪審員。さらに大勢のマスコミの目の前で実際にノートに名前を書いたらその通りに人が死ぬことを実践したとしても。(実際に作中初期にLがキラのあぶり出しのために行い、証明していましたね)多くの人にノートに触れてもらって死神が現実に存在することを理解してもらったとしても、DEATH NOTEに名前を書かれたら死ぬメカニズムを解明しない事には裁判所は有罪にしたくとも出来ないのではないでしょうか?
https://www.daylight-law.jp/criminal/boryoku/satsujin/qa2/
上記URL先にある 裁判所が着目する点 の②。凶器の危険性の程度をどう考えてもノートでは納得させられる理由が見当たりません。なにせ、包丁でも銃器でもないので、弁護側はノートに書かれた人が死んだのは単なる偶然であると主張すれば良いだけです。状況証拠が幾らあってもノートで人が死ぬ理由を科学的に説明できなければお手上げです。
そして、DEATH NOTEで人が死ぬメカニズムを解明しようと思ったら、膨大な時間を必要とするはずです。はっきり言ってDEATH NOTEの物理法則を解明する前に登場人物たちの寿命が尽きる方が先だと思います。
なぜなら、これまで人類が積み上げてきた科学を全否定してゼロから物理法則を再構築しなくてはならないからです。(※死神など存在しない、空想上の生き物とされてきたDEATH NOTE事件前と後では、既存の科学は最早無意味です。)
さらに問題があります。現実に死神と言う生き物が存在した以上、天使や悪魔、神もいるはずだと作中の世界の人々が考えるのは火を見るよりも明らかです。(※死神も神ですしね)
科学は力を失い、宗教はその権威を大いに取り戻すでしょう。その混乱はDEATH NOTE事件の比ではないと思います。
教会、神社、お寺はウッハウハになるでしょうし、怪しい新興宗教団体が幾つも立ち上がるでしょう。(※逆に既存の新興宗教団体のトップや幹部たちが本当に神が存在する事実に恐れおののいて、逃亡したり悔い改めて本気で救済に力を入れる可能性もあると思います。)
科学重視の近代以降が否定されて、人類の歴史が中世に巻き戻り、しかも二度と進まない。現実に死神を見てしまったので進みようがない。
果たして、こんな混乱を社会が許容するでしょうか? 無理だと思います。
結論
キラだと自白してしまった月。彼がそれでも生き残るには、作中のようにみっともなく足掻くのではなく「大人しくこの場で逮捕されてやるから裁判を受けさせてくれ。」これだけで良かったのではないかと思います。
アメリカと日本の捜査官、及びニアがキラ絶対殺すマンだったら別でしょうが、(※ここら辺は私もうろ覚えなので申し訳ありません)大人しく裁判を受ける意思を持っている人間を感情のまま撃ち殺すのはそれまでの警察官としての矜持を捨てる事になってしまうので無理でしょう。むしろそんな事をしてしまったら、それこそ目の前のキラと同じになってしまいます。
リュークは自分に助けを求めてきたことで月を見限っているので、そうでない場合は殺す理由が無く、観察を続ける可能性が高いと思います。
そして、上記のように裁判所は動機と凶器は認めても、凶器の危険性の程度を判断できない以上は月を犯罪者として裁くことは不可能なはずです。
(※最も、裁判所がDEATH NOTEは包丁や銃器と同じと判断して法律もそれに合わせて変えるか新しく作ってそれを特例で法の不遡及無視して適用すれば別ですが)
月はせいぜいDEATH NOTEを取り上げられて要注意人物として監視対象になるくらいで済むのではないでしょうか?
DEATH NOTEを取り上げられるのは月にとって翼をもがれたも同然ですが、生きている以上望みはあります。何らかの形で再度DEATH NOTEを奪取する事も不可能ではないはずです。
何よりも、作中最後に出てきたように月には熱狂的な信者が世界中に生まれています。政治家なり評論家になって彼らを中心に弁舌をもってDEATH NOTEでの殺人を合法化させることすら、彼の頭脳なら不可能ではないのではないかと思えます。
以上で、夜神月を大量殺人犯として有罪にすることはDEATH NOTEの物理法則を解明できない以上不可能ではないかという検証を終わりたいと思います。