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読むと危険童話シリーズ

やさしい村のぬいぐるみマーチ

掲載日:2023/01/08


 おにぎり村には、さるがいました。

 きまぐれで、ときどき、いたずらをします。

 あるときは家が、火事で燃えてしまいました。

 またあるときは、川の水がしょっぱくなってしまいました。

 寒いから火をつけたのと、味にあきたからと上流で塩を流したからでした。

 犯人はわかっています。さるです。

 なぜ捕まえないのでしょうか?

 それは、おにぎり村の人々が、みんな、やさしいからでした。


 じぶんの家がボウボウと燃えていても、

「あたたかいのう」「新しい家を建てるかのう」

 と、おじいさん。

 川の水がしょっぱくなっていても、

「塩を買わずにすむのう」「おいしいですねえ」

 と、おばあさん。

 

 怪しいカブを売りにきました。

「1カブ30えんですよ。100カブどうですか?」

 怪しいウサギのつぼを売りにきました。

「今年はウサギの年ですよ。ごりやくがありますよ」

 怪しい男が言いました。

「オレオレ。久しぶりだね、おかあさん」

 みんな、さるのことだとわかっているのに、さるが何をしようとも、ニコニコと笑顔で受けいれています。


 さて、そんなおにぎり村ですが、ひとつルールがありました。

 それは、もし戦争やケンカになったときは、じゃんけんで決めるということです。


 ある日おばあさんのミエ子さんは、梅ぼしが食べたいなあと言いました。

 それを聞いたぬいぐるみのかに、かにぃは、友達のぬいぐるみのくまに相談しました。

 くまは、知っていました。村から見えるあの「おむすび山」に、おいしい梅があるらしいよ、とりに行こうか?

 それはいいね、よし行こう。でも入れものがないね、誰か持っていないかな?

 ワクワクしながら言っていると「私も行くわ」と人形のジェニーが、グッチのバッグを持っていっしょに行くことにしました。


 かにぃと、くまと、ジェニーは、おむすび山につきました。

 白いごはんに包まれて、ところどころにのりがついています。

 梅はどこだろう? 中にあるのかな?

 よく見ると、山は大きなのりに巻かれていました。

「よし、のりをはがしてみよー!」

「ちぇけらっちょ!」

 のりのりでくまは、のりをはがしにかかります。ですが、こびりついていて、なかなかとれません。

「くまさんの手は丸いから、とりにくいんだよ。ぼくが切ってあげる」

 かにぃは、すきまからはさみの手をさしこみ、チョキン! と、のりを切りました。

 それをすかさずひっぺがしたのは、どこで見ていたのか、さるでした。

 すばやいさるは、のりをはがした後、ぽっかりとあいた穴のなかにある、梅の実を見つけました。

「いただくぜ!」

 さるは奪いました。

 そして、去りました。「さる~~~!」

 かにぃは、なきました。


 くまは、さるに勝負をもうしこむことにしました。「じゃんけんだ!」

 ところが、くまはグーしか出せません。ジェニーは、パーしか出せません。かにぃは、はさみしか出せませんでした。ぬいぐるみだからです。さるは、どれでも出せるうえに、梅の実をいっぱいつくろうと、おむすび山を工場にするけいかくをたてました。

「何ができるじゃろうかのう」「何でしょうねえ」

 村の人々は、笑いながらみています。


 100年がたちました。

 おにぎり村は、「さるかに市」になりました。

 おむすび山は、モンブランファクトリーに。おとなりだった、おやつ国がじゃんけんで勝ってつくったのです。「しかたないなあ」と市長は、ゆずりました。

 さるが千ひき、かにが千ひき、住んでいます。


 空に大王があらわれました。

 さるかに市をおちゃづけ天国にしたかったのです。

 かにぃは勝負をいどみました。じゃんけんです。パーを出した大王は負けました。

「そんなルール、われは知ったことか!」

 大王は怒り、ミサイルを撃ちました。

 市民はポチっと迎撃し、大王は返りうちにあってほろびました。

「ルールは守りましょうね」

 おじいさんとおばあさんとミエ子さんは、笑いながら、楽しそうに言いました。


「おばあさんおばあさん」「何だい? かにぃ」

「はさみが破れてしまったよ」「おやおや、縫ってあげようね」

 かにぃをつくり続けて数百年。かにぃ30640号は言いました。

「ぼくらは何でできているの?」

「綿だね」

「さるは何でできているの?」

「骨と肉、ぞうきだね」

「どうして違うの?」

「それは……」


 おばあさんの目がキラリと光りました。

 それを近くで見ていたおじいさんの目から、涙がこぼれました。

 異次元からみていたミソシルは、「アトダシダ!」とけいかくをねりました。


 みんな、どうしてそっとしてくれないのでしょう?

 ミエ子さんはお茶をすすりながら、えんがわで、青空をみています。



 さるかにがっ、千っ!

 読了ありがとうございました。

 後書きはブログで↓

 http://ayumanjyuu.blog116.fc2.com/blog-entry-299.html


 2023年もよろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
[一言] >さるかにがっ、千っ! 面白かったです!
2023/01/10 11:10 退会済み
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