面接
「はぁ〜〜どうすりゃあ人が来るんだ」
管理職として採用も担当する俺は、会社で頭を抱えていた。
正社員数人から退職届を受け取り、その欠員補充という形で数ヶ月前から募集しているが、なかなか応募が来ない!
数年前は比較的すぐに応募があったのだが、その時とは状況が異なっているのを感じる。
人口減少による働き手の減少なんて言葉がニュースで聞かれるたびに、対岸の火事だと思っていたが、こうも応募がないと、それも現実だなと。
「まだ採用しないんですか? 私達も人がいない中、頑張っていますけど、これ以上続くと、なかなかキツイですよ!私達もいつまでいるか分かりませんよ!」
と、ぽっちゃりな女性の部下にプレッシャーをかけられる。
そんなことは分かっているし、採用したいのは山々だが、そもそも人が来ないんだよ!
部下には採用を選り好みしているようにうつるのかもしれないが、本当に応募すら来ないのだ!
応募がやっと来たなと思って、ハイテンションで連絡を取り合っていたが、
当日キャンセルや当日の音信不通も割とよくある話。
キャンセルするなら応募してくるなよ!と思ってしまうが、おそらく求職者としてはうちの会社以外にも応募しているのだろうし、それは言っても仕方のないことだ。
「はー、この際、猫の手でも豚でもいいから、応募来ないかなー。」
そんなことを呟きながら、日課のメールチェックを行っていると、求人サイトから新着メッセージが入っていることに気づく。
『求職者から応募が入りました!』
本当かよ! つい3日前も当日音信不通があったばかりだが・・・・。
半信半疑ながらも、求人サイトにログインし、メッセージを確認する。
当然のことだがメールの通り、確かに、応募が入っている。
俺は3日前のことも思い出しながら、あまり期待せずにテンプレメッセージと面接日時の希望を聞く。
お昼のメールチェックで返信が来ていたことを確認。
「面接は、1週間以内なら概ねいつでも大丈夫です。そちらの都合の良い時間でお願いします。」
とのことだったので、
「明日の15時から履歴書持参でお願いします。」と送信。
すぐに「分かりました」と返信あり。明日の15時からの面接が決定。
【いったん現実世界へ】
読者には面接日時を決めるのが早すぎると思われるかもしれないが、最近はとにかくスピーディーにしないと求職者に逃げられる気がして、なるべく早めに行っている。
昔のように応募の1週間以内に面接をして、1週間以内に採用の連絡をしてというのでは間に合わない。面接まで日があると、違うところに決まっている可能性があるし、採用の連絡まで日があると、これまた違うところに決まっている可能性がある。応募の連絡が来たら、できるだけ早く面接日時を設定し、結果についても3日以内には伝えなければいけないというイメージだ。
面接日時の決め方についても、こちらで指定した方がよい。求職者からの「そちらの都合の良い時間でお願いします。」などというのを真に受けてはならない。よほど重大な用事を除き、できるだけ早く面接日時を設定する必要がある。顧客対応等の予定はさすがに除外する必要があるが、面接を設定することで仕事を残して自分の休日が少なくなることが予測できても、とにかく求職者のために面接日時を設定した方が良い。
それぐらい最近は、人が来ずらくなっている。
昔と同じような気持ちで採用活動を行っていては、せっかく会社に興味を持ってもらったのに、
それが無駄になる可能性が往々にしてある。
求職者の心が「鉄は熱いうちに打て」なのだ。
ま、元々求職者を選り好みできるような大きな企業に勤めているわけではないしな。
大きな企業の採用だと、また違ってくるのだろうけど。
【小説世界へ戻る】
面接の準備をしては翌日を迎える。
14時30分頃から「来るのか、来ないのか」俺はソワソワしながら、応接室で待っていた。
予定時間の10分前、受付から面接希望者が来ている旨の内線が入った。
それと同時に、「あ、ちゃんと来てくれたんだな。」と思い、「よしっ!」と気合を入れ直し、面接のシミュレーション等臨戦態勢に頭を切り替える。
求職者「今日はよろしくお願いします。」
求職者が入ってくるとビビった。
スレンダーでスタイルが良くて、目が綺麗で、それこそ大企業の受付とか広報が似合うタイプだった。
新型コロナウイルス感染症対策のため、マスクを着用しており鼻の形までは確認できなかったが、そのスタイルから少なくともうちのような中小企業には適さないのではないかと思われた。ぽっちゃりな女性の部下を筆頭に、うちの面子と合うだろうかと・・・・。
面接を始め、履歴書に目を通すと、そこにも華々しい経歴が並んでいた。
有名大学を卒業して大企業に就職後、7年で退職し、ここに至る。
退職の理由が気になるな。
ひょっとして社内不倫とかか?
そんな下衆な勘繰りをしてしまうぐらい、当社に不釣り合いな見た目だった。
退職した理由について聞いた時に、求職者から切り出した。
求職者「ひとつ、言ってもいいですか?」
「どうぞ」
求職者「病院でも治療受けているんですけど、私オナラが臭いんです。しかもそれが我慢ができないというか兆候がないんです。無意識に出ちゃうんです。半年前からです。だから会社に居づらくなって退職しました。」
と言い、病院での診断書を提示された。
思ってもいなかった方向性の言葉だったが、診断書を確認する。
確かに、そのような記載がある。
「ちなみに・・・これどこまで聞いていいのか分からないですけど、どれぐらい臭いのですか?」
求職者「ある人の表現では普通のオナラではなくて、養豚場のような臭いがするそうです。」
俺はどうしていいかますます分からなくなってきた(^_^;)
大企業に入って7年もいたということは、おそらく仕事はできるのだろう。
しかし、オナラが臭いのか!
しかも無意識に出てしまうとな。
求職者「あっ! 今、出ました」
「えっ!」
その瞬間、鼻に養豚場の豚臭さが伝わってきた。
マスクをしているが、それの意味は無い。
まるで近くに数頭の豚がいるかのように豚臭い。
それが目の前のスレンダーな女性から発せられているとは、にわかに信じ難いが、現実である。
俺はあまりの豚臭さに気を失っていった。
文中にも出てきますが、作者の日々の採用活動が盛り込まれています。
今の時代の採用は、本当にスピード大事ですから。
そんな作者の仕事的な日常描写もちょくちょく挟みつつの連載にしていきたいかなと。
オナラが臭いは1つの例です。
いろいろな方々の面接をしていると、それぞれ一長一短あると思います。
・職歴が多い
・少しコミュニケーション下手
・真面目すぎるのではないか
本作品のオナラが臭いも、そういった欠点に思えるかもしれない1つだと思って下されば。
久し振りの連載で、連載でエタる率が私自身かなり高いのでエタらないように少なくとも月1程度では更新できるようにしたいと思います。
(志、低!)