外国人へ
それから私は、両親を説得したわ。
元々、それを望んでいたのだから、うまく約束を隠し、必ず結婚してみせると言えば容易かった。
問題はどうやって殿方に成るか――それこそ魔法でもなければ…。
――それにはハイネさんが、『オズ』が必要だった。
しかし、ハイネさんとは約束はしたものの、彼女について、私は何も知らなかったのだ。
彼女が何処の誰で、何処に住んでいるのか。
大郷司家にも行ったが何も掴めず。毎日の様に街へ探しに行っていた。
街ではいざこざを毎日の様に起こしていたわね――あの出来事以降、彼女の生き方に憧れ、その所為で私は、差別を受け入れている女性の生き方が鼻に付く様になった。
いや、気にもかけなかったことが、耐えられなくなったのかしら。女性自身がそれを受け入れていることに。
私はあろうことか、それを女性自身に向けてしまった。
その女性らしい生き方に突っかかり、貴女にも迷惑をかけていたわね――。
勿論、大郷司さんの様に力も無い私には何かを成せる筈もなく、唯騒いで逃げて、苛立ちが募るばかりだった。
ハイネさんを見つけられず焦っていたわ。
手掛かりが無いとは言え、街ではまだ外国人は珍しい。何時かは会えると思っていた。
しかし、何ヶ月も会えず仕舞いに終り、このままもう会えないとさえ思い、途方に暮れていた。
そんなある日、外国人の物珍しさのおかげで、その噂を聞いた。女性街の噂を。
『女性街には妖術を使う外国人が居る』と――。
『女性街』の噂はどれも信憑性は無かった。
しかし、中には妙に具体的なものや、現実味があるものもあり、それらの噂を絶えず聞くことで、いつの間にか私は、その存在を信じてしまっていた。
ハイネさんから『魔女』の話を聞かされ、『女性街』についても話をしていた。
さらに『妖術』を使う外国人の噂。
それが全く関係の無いものとは思えなかった。
勿論、妖術なんてものは信じなかったが、妖術が魔法を指していたのなら、ハイネさんも女性街を探しており、そこに行けば会えるかもしれない。そう思った――。
『女性街』には外国人が居る。もしかしたら、その外国人がハイネさんということも有り得る。
彼女を見つける事を諦めていた私は、女性街を探すことにした。
それが最後の望みだと。
しかし、数多く噂は聞けど、その場所についての噂は聞いた事が無く、私には見つけられなかった。




