助け――
「いいの?逃がして」
「魔法が使えない魔女に用は無い。それに、魔法を使えない魔女より、魔法を使わない魔女なら、『OZ』に釣られて出て来るかもしれない。この国なら自ら魔女と名乗り出るかもな――」
――――。
夜音の言う通り、彼女達は私を追っては来なかった。
何故夜音だけを、何故夜音を魔女だと勘違いを?
夜音が舞台を台無しにしたからか?それにしては何故私は逃がしてくれたのか。
まさか私が魔法を使えないと気付いて――いや、それは私しか知らない筈。夜音にも魔女達にも知られてはいけない。
そんな事知られたら私は、『オズ』どころか、誰からも相手にされなくなってしまう。私が私である理由が無くなってしまう。私はどうしても『オズ』へ行かなくては――。
逃げる事に必死で忘れていたが、ここまで夜音の赤バイで来ていたのだった。
私は運転出来ないし、誰か人を連れて来ようにも何処へ行けば。
女学校までは距離があるし、警察に行こうにも何て説明すれば――。
やはり、『女性街』に行くべきだろうか。
あそこには、話が通じる人物も居るし、夜音の母親も。
何より、女性解放戦線が居る。
しかし、どうしてもここからでは時間が掛かってしまう。どうすれば…。
そもそも、私達が何故こんな町外れの港に来ているのか――。
正直に言うとサーカスを見に来た訳ではない。
サーカス会場の近くのお屋敷に万千が行儀見習いに行く事になり、結局万千の事が気になりサーカスを口実に近くまで来たのだった。
たまたま通りかかり、からかうには持って来いの筈だった。が、私はそんな気分にはなれなかった。
万千、私達まだ十四よ。そんな歳で結婚だなんて――他人事じゃない、私も何時かそんな時が…。
万千――。
――結局私は、万千の居るであろう屋敷の前まで来てしまっていた。
別に万千に会いに来た訳ではないが、万千の動向を気にしていた女性解放戦線が、もしかしたら居るかもしれないと思ったからだ。
夜音を助ける為で、誰も万千に助けを求めに来たわけじゃない。
「おとめ?――何故こんなところに?」
「えっ?環!?――」
屋敷の生垣から中の様子を覗き込んでいた私の背後に立っていたのは環だった。




