血
確かに、今の私にはどうにも出来ない。唯でさえ魔法の事を何も知らないのだから。
それに、魔法で私以外にこんな、まるで副作用の様な事が起こるなんて思ってもみなかった。
考えられるとすれば、あの走馬灯か。しかし、あれは私の所為ではなく、夜音があの時飛び出してさえ来なければこんなことには――。
この数日、魔法を使って分かったことが幾つかある。
まず魔法を使う事で起きる肉体的疲労。これは魔法を使い過ぎると失神してしまうと分かった。
母からの手紙にあった『血』とはこのことだろう。魔法は血そのものを源に使うらしい。
血の代償。失神した理由はこれだろう。これは命に関わるから気を付けねば。
次に魔法での影響。少なからず何らかに異変が起こり、使った本人や、魔法をかけられた人に副作用の様なものが起こっている。
きっと私の体にも影響が…。その事は手紙にも書いてあった、それを止める為、魔女を辞める為、私は『オズ』へ――。
そして、私は魔法が使えなくなった。これも何か代償の一つかもしれないが、これは私に魔法がかかったからだと思う。なんの確証も無いが、そんな気がした。
何か意味があるとすれば――。
夜音「にしても、つまんねぇ見せもんだな。客が居ない訳だ――そうだ、良いこと思いついた」
おとめ「夜音、魔法の事だけど――」
夜音「見てろ――チェースト!」
おとめ「馬鹿――」
夜音は一体何を考えているのか、勝手に呪文を唱えてしまった――。
同時に玉乗りをしていた道化師が吹き飛んだ。
近くに居た象は暴れだし、巨大な自転車は制御を失い、その場は混乱の渦となった。
止める暇も無かった。
魔法の副作用なのか、今まさに記憶が変わり、魔法を使うことで何が起こるか分からない。
危ないとか、そんなことも考えないのか、この娘――。
昨日使えず仕舞いに終わったからって、そんなことに使われては敵わない。
おとめ「馬鹿!殺す気?本当に困った時にだけ使えって――」
夜音「フハハハッ――大丈夫。誰も死んじゃいない」
おとめ「私がよ!多分、魔法を使うには『血』必要で、使う度に私の血が減ってしまってる。それに、また貴女の記憶が変わってしまったら――魔法は危険なものなの!」
夜音「一回だけだ。これ位良いだろう――それに『血』は初耳だ」
おとめ「もういいわ、貴女はもう魔法を使ってはいけない。いえ、もう魔法を使えない。いい?もう使えないの」
不幸中の幸いか、彼女はまだ気付いていない、私が魔法を使えない事、彼女が自由に魔法を使える事を。
これ以上夜音に魔法を使われる訳にはいかないし、彼女に魔法を自由に使える事が知れたら私は――それに呪文も一つしか知られてない。
いや、それしか知らない。『チェスト』の魔法。
この魔法はどうやら、何かを吹き飛ばす魔法の様だ。唯それだけだが、うまく使えば護身位には使えるだろう。但し、今の私には彼女任せだが。




