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おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯1 乙女のおとめ
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OZ

「今日は貴女きじょに会えて良かったわ。ぐにでも貴女をむかえに来たいところだけど、上の判断はんだんあお必要ひつようもあってね。近いうちにまた会いましょう、小さな魔女まじょさん」


 私の耳元みみもとでそう言うと、女性はクルマへもうとした。


 おかげで私はわれかえった。興奮こうふんに近い緊張きんちょうは、私の体をかすかにふるわせ、それはこの女性が、その答えを知っているかもしれないからだった――。


「待って!――貴女はたまきをどうするつもり?」


 女性は、クルマに乗りかけた所で止まった。正直、環の事など今はどうでも良かった。ただ引きめたく、不意ふいに出た言葉だった。


 しかし、おかげで女性はクルマに乗るのを止め、私の方へなおりドアをめた。


「私にどうして欲しい?――環が貴女にとっての人質ひとじちなら、貴女はどうする?」


「分からない。分からないけど、貴女は知っているの?……」


「??」


 彼女なら知っているはず。分かる筈。それは何故なぜ?――彼女は環の……、何だろう。


「……教えて――。貴女あなた知っているのでしょう?環が行くのでしょう?」


「?。大丈夫?――一体何の事?」


「『オズ』――『オズ』の事よ!私は知っている。教えて…。知っているのでしょう?『オズ』の事を」


 おどろきながらも、みをかべる女性は、そのなドレスをひるがえした。


「私の国では『OZ』と書いていた――色々書き方があって、『O’s』と書いて『オズ』と読む所もあったわね」


 ゆびで書く素振そぶりを見せたが、私が知りたいことはそんな事ではない。


「教えて。『オズ』とは一体何?何処どこにあるの?」


「私より、魔女である貴女の方がくわしいのではなくて?――私が教えてもらいたいくらいよ」


 『マジョ』――。さっきも聞いた言葉だ。私をしているのか?『オズ』と一体何の関係が…。


「その『マジョ』って、さっきから何を言っているの?『マジョ』とは一体何?」


まいったわ。魔女も知らないなんて――そんな貴女が何故なぜ『OZ』を知っている?聞いてどうする?」


 私は『オズ』へ行かなくてはいけない。そのためには『オズ』を知らなくては――。


 オズについて知っている人間は初めてだし、彼女は私以上に『わたし』を知っているだろう。


 私の力はオズ関係かんけいがある筈、『マジョ』がそれなら私は知りたい。


 ――しかし何故だろう、今になって怖くなってき。それを知ってしまったら、私は私でいられるだろうか。


わからない。だけど、『オズ』も『マジョ』も、環の事も、今をのがしたら何処かとおくへ行ってしまいそうで…」


『オズ』――。消息しょうそく不明ふめいの母から来た手紙には、『オズ』という言葉が…。


 『オズ』へかうと書いてあった。『オズ』は唯一ゆいつ手掛てがかりだ。母の事も、私の、私を知る為に――。


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