表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとめの夜あけ  作者: 合川明日
♯1 乙女のおとめ
17/131

オズ

「ミス大郷司だいごうじは、こころよく引き受けてくれたわ。でしょう?」


「このわたくし、いままつりごとでは負け無しでしてよ。大船おおぶね、いいえ、戦艦せんかんにでもったつもりでよろしくてよ」


 馬鹿ばか、何をまんまと乗せられているんだ。満更まんざらでもない顔をして。出航しゅっこう前に、すでっていてどうする。


 あおられ、たのみ込まれ、ことわり切れず安請合やすうけあいしてしまったのだろう。相変あいかわらずだ。


 ところで、今更いまさらだが何故なぜ万千まちなのだろう。


 彼女を人質ひとじちに、身代金みのしろきんでもせしめる気か?にしても、あのかれように、舞踏会ぶとうかい。ここまでする理由はなんだろうか。


 この建物たてものようがあるなら、別に万千はらないはず。ならば目的は万千か…。


 戦闘せんとう要員よういんでも集めているのか?万千が一体何の役に立つのか。それに、たまきの言う『ゆめの国』とは一体?――。


 外へ出ると、玄関げんかん前に一台のクルマがまっていた。


 クルマの前には、正装せいそういた男性がこちらをいて立っている。


「あれがそうでして?しかしあれは、かぼちゃでもなければ馬車でもない。クルマでしてよ」


貴女きじょには、モダンなものがお似合にあいいかと――さぁ、おりになって。きっと気に入るわ。われ々のまち、いいえ、我々の『国』を」


 『国』――。環もそう言っていた。これから向かうと…。女性街じょせいがいのことなのだろうか。ただ比喩ひゆか、目的か何かか。


 運転手であろう男性は、クルマのドアを開け、万千はうながされるがままクルマへ乗り込んで行く。


 この雰囲気ふんいきでは私はいて行かれるだろう。このまますごすごと行かせても良いものか。


 流石さすがうは問屋とんやおろさない。だから私はび出した――。


「環!最後に教えて。環は何処どこに向かっているの?――そこには私は行けないの?」


 クルマに乗りかけていた環は、り向きざまに、私だけに聞こえるようつぶやいた。


「私は『オズ』へ行くわ――」


 『オズ』!? ――。


 たしかに環はそう言った――何故なぜ環は『オズ』を知っているの?『オズ』とは一体何なの?


「おとめ、明日の補習ほしゅうはお休みよ。だから、新学期しんがっきにまた会いましょう――いそごう、ハイネさん。時間が無い」


 正直しょうじき、そのあと環が何を言ったか耳にとどいていなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ