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インターミッション 本作の世界観41 ー 身分3ー

 蘊蓄回、続きます。

 ええ、認めます。落としました。自分で課したノルマですが、一日三千字書くのって難しいですね。


 今回は身分の異動について。

 Sachsenspiegel-1-16-1

 Niemant enmag irwerbin ander recht, wen als im angeborn is.

 法rechtとは「正しい」ことであり、「権利」であり、生まれついてangebornの法rechtとは、すなわち「身分」です。

 だからander rechtとは、生まれと違う「別の身分」ですね。生まれついた身分以外の「身分」は誰も取得できないと述べています。以下の条項にその例外が述べられているのですが、今はここまで。

 生まれついての「身分」=「生得の法」と表現されます。

 実際は王König(或いは皇帝Keiser)という身分だって下克上してるので、これは実態ではなく「あるべき」論です。身分の変更を禁じる条項ですね。

 さらに厳格に言うと、rechtとは「法的に保証される身分」のことです。換言すれば「自由人の身分」ですね。だから他人に所有されている人間は、所有者の財産として法的に安全を保証されていると言えなくもありません。みだりに殺したら結構高額の弁償を要求されるという意味で。

 他人の「世襲的な所有物としての『人々』」eigen leuteを死傷させたら自由人の人命金とさして変わらない損害賠償を要求されると言う意味での人権=法の保護があります。ちなみに法喪失者はほぼ無料です。じゃあキル・フリーかというと違います。人前で「無礼者!」とか言って手討ちしにたら、平和破壊vride brach罪の現行犯でお縄です。切り捨て御免はありません。常識の範囲内での法的保護はあるわけです。

 でも、こっそり誘拐して殺されたら、どうでしょう? 訴えることが出来ません。だいたい原告がいないと裁判が無いですから。


 裁判は、参審自由人Schephinbare vrie luteなら伯爵Grafの法廷、それ以下の地主階級(PfleghafteやBergilde)は伯爵の代官Schultheißの法廷、そして自由人の最下層LantsessinはガウGrafの所管になります。郡Grafは三ヶ村以上の村長が集まって互選するので、kuniges banneの権限がありませんから重犯罪は上級の裁判所に回されます。まあ、現行犯をその日の日没前だったら村長が開く村民集会で裁いちゃっていいという緩和規定もあるんですが。つまり農村部に紛れ込んだ余所者がうっかり家宅侵入して強盗容疑で即刻池ドボン「あー、沈んだから無罪だわドザエモンさん南無阿弥陀」とか、ありです。怖いですね。


 あ、話が逸れました失礼。身分異動の話でした。

 身分が上がるのは、辺境伯の相続権者だと認められて国王から諸侯旗を賜るとかのレアケース。普通は落ちる話です。法廷で剥奪とか返上とか、格下げになるケースが主体です。法廷を通さない私的な契約は割と簡単に解除して元の身分に戻れます。たとえ奴隷になると言う契約でも。

 話中で、見事野盗を退けたベラスコさんちは、伯爵の子分との係争で出来レースな判決受けて身分落ちしたケースです。

 ちなみに、子爵Viscauntとか男爵Baronとか言うのは、同じ自由領主vrie herrenという身分グループに属します。格式的に上下はあるんでしょうが、法的には同等身分の第四シルトです。


 さて、ここで面白いのは、自分の「身分」に不満で訴訟を起こした人が証明に失敗すると、現在の身分と、なろうとした身分両方とも失って、自由人の最下層lantsessin、つまり解放された私有民の身分に落ちると言うことです。世襲財産としての農地を持たないlantsessinは絵入り写本などでは車体に腰掛けている姿で描かれており、これは私有民と違って移動の自由があるというアレゴリーなのか、実際に馬車で移動する農作業労働者なのか分かりません。

 Vorsinet aber he sin recht vor gerichte unde sait he im zu ein ander recht,

 des he nicht volkumen kan, he vorlusit beide,

 sundir der eigine man, den man vri lezt; der beheldet vrier lantsessin recht.

 これは、今の身分が最下層lantsessinではペナルティの意味がないので、消去法で「自分は本当は参審自由人なのだと主張したBergildeの人とか、自由領主になりたがった参審自由人」という事になります。

 別の見方をすると、敗訴しても自由人からは転落しないということは、この生得身分変更禁止の規定じたい自由人だけを対象にした規定であること、そして私有民eigine manを解放vri leztして、自由なlantsessinにする身分変更は規制対象外であることが分かります。


 さて、どうお話に絡めましょう。




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