インターミッション 本作の世界観39 ー 婚姻2ー
蘊蓄回でございます。
身分違いの結婚のお話を少々。
自由人(広義の)と不自由人(家人や体僕)との結婚は、古いゲルマン法ではそれ自体が禁忌でしたが、Sachsenspiegelの書かれた十三世紀頃にはだいぶ緩やかになっています。自由人同士の結婚の場合、子供は父親側の法(=出生身分)を取得しますが、しかし親の一方が家人つまりdinstmanもしくは dinstwipの場合、父が家人であろうが母が家人であろうが子供は生得の身分を保持する (1-16-2)"Ist aber der vater dinstman oder di mutir dinstwip, das kint behelt sulch recht, als im angeborn ist."という、なんか奥歯に物の挟まったような言い回しをしています。前文でまず父親の身分を受け継ぐと原則を述べておいて逆接でこう注記するということは、子供は『劣等身分継承の原則』に基づいて家人(不自由人)だと読めます。
ここは、家人dinstには劣等ながら生得身分が有って、体僕leibeigenには無いということなんじゃないでしょうか。実際この頃には家人の身分は浮上してきて、貴族様お気に入りの家人なんか自由人に対してふんぞり返っているわけです。
お話の中では、村長Bauermeisterの次男が体僕Leibeigenの女性と結婚しようとしています。手続き的には婚姻に先立って彼女を解放しLandsassenにするところから始まるはずですが、どうなるかは次回。(いや、実は既に書いてしまって居ますが・・)




