インターミッション 本作の世界観17 ー 娼婦編 ー
作中でも娼婦さんたちが盛んに登場しますので、リアル・ヒストリーの方のかたにも登場して頂きました。
画像左手がさる業界の女性、右が素人さんです。素人さんがセクハラされてます。間違っちゃったんですかね。中世法で人命金Wergeld関連の章から引用です。
過失致死などを犯して遺族の一族から血の復讐またはフェーデされることを避けるための賠償をするゲルマンの古い習慣がありました。Sachsenspiegelの時代にはすでに崩壊しつつある古俗の残骸の一部が法規定に残っています。人の命が馬十八頭とか、通販出来そうにお安かった時代の名残りです。(馬十八頭? 結構高いですか・・物価の章を参照あれ)
殺人のほか、傷害、婦女暴行等への賠償金や、家畜への損害賠償の規定があります。
殺伐とした部族社会の時代が過ぎ去ると人命も貞操もインフレになり、娼婦と遊んだつもりが人妻で、姦通罪が成り立っちゃって斬首になるとか、末代まで笑われそうな悲劇が絶えなかったようです。それで、娼婦には「はっきり」区別できる表象が必要とされました、マジで。
お馴染みSachsenspiegelマンガ版(ハイデルベルク大所蔵)から、トレース加工。
ラント法III 45 § 11, 46 § 1: Wergeld bei Notzucht
右のセクハラ男・・素人女性の胸、しっかり揉んでます。彼女は男の髪を掴んで激しく抵抗中ですが、男も両腿で女性の左脚を挟んで拘束するとか、手慣れてますね。常習犯? 彼の運命や如何に!
左で娼婦さんが見ています。「あれ? 呼ばれて来たら、お客さん事故ってます」的な顔をしてる気がします。気のせいですが。
彼女、服は黄色い差別カラー。胸に差別マークが付いています。でも、言われないと違いが分かりませんよね。ちなみに二人とも顎の骨折ではなくBarbetteという被り物を付けています。
ここでちょっと気になるのは、黄色い差別カラーとマーク着用。なんか中世におけるユダヤ人の扱いと似てます。小説には出てこないので特に掘り下げませんが。