前口上
扨て、この物語は辻で上演されておりました人形劇を『読み本』に書き改め体裁を整え直したものとお考え下さいませ。
劇の上演では舞台に設えた屋台の下に踞んだ人形遣いが一人。そして傍に弁士が一人居りまして、この弁士が幾人分もの声色を使って台詞を語りまする。が、『読み本』として輯録致しましたので人形の仕草は見えず、弁士の声色も聞き分けられませぬ。
読者皆様方におかれましては、どうぞ語り口で誰ぞの口に出した台詞か、はたまた誰の心の中での呟きか、お見分け下さいませ。また弁士自身の説明語りもございます。弁士は話中で人の名前に敬称を付けませんので、一面分かり易いかと存じます。
それでは、お楽しみ頂けたら幸いに存じます。
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本作中で使用した度量衡の設定
1尺=23.1cm:莽新代の実寸を借用
1寸=2.31cm
1里=415.8m:上記の1800尺
1合=21.125cc:莽新嘉量実測値を借用
1両=約14g 同 上
リューラ:名称はlibra(羅)=327.4gに由来するが、本作中では約140g
貨幣 1リューラ=20ソルダ=240ダニロ 中世L:S:D比率に準拠
貨幣別名 1リューラ=十両分銅金(概そ23金地金140g価格)
1ソルダ =半両金貨(同上約7g)
1ダニロ =一銖銀貨(1銖=約7/12gの23金価格)