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そして、平穏な毎日

「なんだかんだで、辞職勧告されてよかったのかな」

 そんな事を思う事もある。

 能力が足りないのに無理をする必要はない。

 それなら十分に活躍出来る場所に行けばいいだけの事である。

 そして迷宮にならそんな場所はいくらでもある。

 自分に合った場所で戦えばいい。

 そして、それで食っていける。

 トオルにはそれで十分だった。

 何より。



「ただいまー」

 迷宮から帰ってきて、家に入る。

 稼ぎのある探索者がそうであるように、町の外れの空いてる地区に作った館だ。

 一般人の家よりも遙かに大きく余裕がある。

 設置してある転移装置で職場との行き来も楽に出来る。

 そんな彼の館には、

「おかえりー」

と言ってくれる者達がいる。

 同じ探索者であった女房。

 そして、彼女が抱える赤子。

 それが今のトオルにはいる。

「仕事中に何かなかったか?」

「ううん、なにも。

 あるとしたら」

「したら?」

「この子がね、這い這いするようになったの!」

「なに?!」

 吉報である。

「本当か!」

「うん!」

 夫婦共に満面の笑みを浮かべて我が子の成長を喜ぶ。

「そうか、そうかー」

 今は女房の腕の中で眠る我が子を見て目尻が際限なく下がっていく。



「それで、今度はどうなの」

 親馬鹿全開で我が子に目をやるトオルに女房が尋ねる。

「ああ、今度は二週間くらい間をあけるよ。

 旅団の方は他のに任せて大丈夫になったし」

 それだけ他の者が育っていた。

 新人達も中堅になり、中堅の中には旅団を担える者もいる。

 また、共に元の旅団から出てきた者達が持ち回りで率いる事で、トオルの負担は大きく減っている。

 休みも多く取れるというものだ。

 問題は稼ぎがそれの応じて減る事だが、それも問題は無い。

 もう十分に生きていけるだけの財産はある。

 それを切り崩していっても、先々困る事はまずありえない。

 さすがに次の代はどうなるかわからないが、トオルが生きてるうちはおそらく大丈夫のはずである。

 極端なインフレでも起こらない限りは。



 というより、こういう短期間の仕事と長期間の休息というのが普通になっている。

 高見に到達した探索者はそれくらいの余裕がある。

 一回の探索で得られる稼ぎが大きく、休みが多くなっても困る事がない。

 中には、そうやって郊外で農場や牧場をつくり、時折迷宮に挑むという生活をしてる者もいる。

 それ以外にも工房を開いたりしてる者もいる。

 そこまで行くには、それなりに奥地まで行けるようにならねばならないが、そこまで行ったら無理して稼ぐ必要がなくなる。

 トオルはそんな所にまで到達していた。



「それじゃ、また一緒にいられるね」

「ああ、しばらくはな」

 それが出来るのがありがたかった。

「その間に、こいつの成長具合をしっかり見ておかないと」

「そうよ、しっかり顔を見せてあげてね。

 でないと、顔をおぼえてくれないから」

「分かってるよ」

 そう言ってトオルは我が子をのぞき見る。

「俺が父ちゃんであると、ちゃんとおぼえてもらわないとな」

 長期間家をあける事のある父親の泣き所である。

 だからこそ、出来るだけ一緒の時間を確保したかった。

「いいか、俺がお前の父ちゃんだからな。

 分かったな」

 そんなトオルに赤子は開いた瞳を向け、

「とお……ちゃん……?」

と声をだす。

 それを聞いてトオルと女房は、

「……しゃべった」

「……わあ、凄い!」

 と騒ぎだす。

「聞いたか、しゃべった、しゃべったぞ。

 それも、『とおちゃん』だって!」

「ええ、始めて聞いたわ。

 ちゃんとしゃべれるようになってる!」

「よーし、お祝いだ!」

「まったく、そればっかり」

 そんな風に騒ぎながら、二人は館の奥へと向かっていく。

 しばらくおさまらない興奮と共に。


追放されてから成り上がり、追い出したほうが崩壊していく。

そういう話ばっかりだったので、そうでないのもあっていいんじゃないかと思った。

穏便な形の追放ってのもあってもいいんじゃないだろうか?


もっとも、こういうのを追放というのかは謎だが。


なお、評価があれば長編・連載化────というのも、最近の流行にのっとって書いておこう。

本当にするかどうか分からんけど。

そもそも、こういう流れの話を求めてる人がどんだけいるか分からんが。


要望があれば考えてみたいけど、それよりも今連載してるものとかを読んでくれると嬉しかったりもする。

好みにあうのがあればいいけど。






そんで、最後に


☆☆☆☆☆を★★★★★に


とか書けばいいのか?

この手のお約束ってのがよくわからんが

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『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html?1601107596

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