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神世界と素因封印  作者: 茶坊ピエロ
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過保護と信頼は別物



「和澄くん!ミナ!」



 爆発によって教室の床が抜けてそのまま落ちていく2人を見てることしかできなかった。悲痛の叫びをカナンはあげる。

 一方ヨシュアの方は、二人が落ちたことを気にすることなく祐樹とチャーリーの2人を警戒していた。



「君のことを本当の兄のように慕っていた弟くんが落ちていったのに、薄情だねヨシュア。それとも本当は鬱陶しかったとか?」



 笑みを浮かべながら挑発する祐樹。祐樹は校舎の中に振動装置を埋め込み、予め校舎を爆弾にかえておいて好きなタイミングで爆発させるようにしていた仕掛けを使い爆発を起こした。床が崩れ落ちるのまでは想定外だが、結果として1つの脅威である和澄排除した。だがまだ2人も脅威がいるのだ。カナンの方は2人を心配してこっちを警戒する素振りはないが、ヨシュアの方は微動だにせずこちらを警戒していて隙も見せずにいた。



「カナン。心配するだけ無駄だ。俺たちはこっちをどうにかしないと」



「でも2人が!和澄くんが心配じゃないの!?」



「あぁ!全く心配していない」



「――――――っ!」



 ヨシュアのあまりにも非情な言葉に、カナンは悲痛な叫びをあげる。

 彼は、和澄が俺を兄のように慕ってくれていることを嬉しいと言っていた。彼自身も弟のように接していてとても大切にしていることをカナンは知っている。そんな彼が落ちていったというのに心配もしてないという事に酷く動揺した。

 またカナン自身、ブレードのメンテナンスでミナとはよく会ったりプライベートでの話をしている。歳が近いこともありカナンはミナを整備士としてではなく、妹のように可愛がっていた。

 そんな2人が生死すら危うい状況に陥ったのだ。冷静でいられるはずもなかった。

 けれどカナンは次に発せられる言葉で思い出す。この男がどういう男かということを。



「当たり前だろ。カズがこの程度でどうにかなるわけがない!ミナちゃんだってカズがついてるからなにも問題ない」


 

 ヨシュアは愛は重いが過保護ではない。これが落ちたのが戦闘能力のないミナだけならヨシュアも焦っただろう。

 だがこういう不測の事態でも信頼できる弟分が一緒に落ちたのだ。だからこその心配するだけ無駄。必ず戻ってくると信じて疑わない。



「・・・そうね!あなたはそういう人だったわね!わたしが間違ってたわ。この場はあの2人を捕縛することに集中しましょう」


 カナンは内心まだ不安だったが、愛する人が信じて疑わないのだから自分も信じると決意を固め、2人と対峙した。



◇◆◇◆◇



 祐樹とヨシュアは人外の戦闘を繰り広げていた。

 爆弾にした槍を複数投げつける祐樹。それを闇属性の力で空間を捻じ曲げて祐樹に返し、剣型のブレードで一閃、斬撃を飛ばし追撃をかけるヨシュア。その一閃で爆弾にした槍が爆発し無数の爆撃を受ける。かろうじて立て直した祐樹は一閃だけは受け流し、胴の泣き別れだけは防いだ。

 基本的に闇属性は空間を自在に操る属性である。ただ希少属性は同じ属性のブレードを操っていても使える能力は異なる。祐樹は物を分裂させることはできるが、空間を捻じ曲げてワープホールを生成するということはできなかった。

 逆にヨシュアの方は全く物を量産させることはできないが、ワープホールを使い自在に移動したり、相手の攻撃を返したりするのが得意だ。


 祐樹は心の中で悪態をはいていた。



(誤算だった!和澄の話を聞いていた限り過保護で心配性な性格だと想定していた。あの二人の安否が不明なら白銀のような反応をするかと思っていたのに)

 


 祐樹とチャーリーはこの襲撃でヨシュアが来た場合、校舎を爆破して教室にいるヨシュアと親しい仲の和澄かミナを生き埋めにして、そちらに注意を引きつけている隙に逃走する予定だった。結果として床が崩れ落ちたのは予想外だが、和澄とミナ両方を生き埋めにすることはできたが、和澄を巻き込んでしまったが故に逃走する隙がうまれなかった。



(そしてヨシュアは情報部が話をしていた以上に強い。いくらブレードの能力が優れていると言っても、闇属性では身体能力は強化されないはずだ。なのになんだあの動きは!それにあの斬撃。少なくともあれは空間を操るだけでは飛ばせるようなもんじゃないぞ)



 祐樹は情報部から、素手で虎を相手しても勝つような実力の持ち主と聞いていた。そしてそれは和澄も笑いながらも否定はしなかった。祐樹はヨシュアが強盗犯を取り押さえる現場を見たことがあるがゆえ、流石に誇張であると笑った。今思えば、もう少し重く受け止めいたら、この状況には陥らなかっただろう。



「いい加減諦めて投降したらどうだ?俺はカナンのように優しくはないぞ」



「あれが優しいのかよ!俺から見たら悪魔か何かだよ」



「ふははは!敵ながら面白い冗談を言うな。カナンが悪魔?あのような天使がか?笑いのツボを心得ているな」



 チャーリーは両手を失い捕縛されていた。いくらブレードを持たないとはいってもチャーリーは、魔眼<消失(ザ・ロスト)>を所持する。

 この能力は自分が視界にいれたものを一時的に自分以外が認識することができなくなる能力で、チャーリーが解除しない限り見えない。

 祐樹とチャーリーはこの能力で眼の模様を消していた。

 チャーリーは能力を使い、拳銃と弾丸を不可視にしカナンと相対していた。

 いやしようとしていた・・・

 彼は拳銃を構える暇もなく両の手を切断されてしまった。

 カナンのブレードは、細剣型とブレスレット型の光属性。

 光属性もまた希少属性で特殊。

 カナンは光を目くらまし程度しか操れず、レーザーのような光を大量に収束するようなことはできなかった。そのかわりに自身を光速で移動することができた。

 そうしてチャーリーの腕を切り落としたカナンは、彼の手を止血してから、脚と腕を鉄線で縛り、事情聴取をしようとしていた。



「このクソアマァァァ!俺の手をよくも!殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」



「うーん。これは話をできる状態じゃないわね

。どのみちこの傷じゃ何もできないから放っておいてヨシュアに加勢しましょうか」



「テメェ逃げるなクソアマァァァ!女の分際で俺に恥をかかせやがって!テメェには死なんて生ぬるい!犯して犯して犯して自分から死を懇願するまで痛めつけてから一生俺の性奴隷にしてやるクソガァァ」



「はぁ。本性が出たわね。あなたは軍の尋問官に任せましょう。生理的に無理!同じ空間で息も吸いたくないわ」


 

 チャーリーは女性を軽視する男尊女卑の典型だ。女性は男に福祉し逆らってはいけない。それがチャーリーの考えであり、同僚の祐樹にも隠していた本性だ。

 祐樹は冷たい目でチャーリーを見ていた。


「即座に腕を切り落とす白銀も白銀だが、チャーリーもチャーリーだな。今は仲間の俺ですらあいつに怒りを感じてる。仲間なのが恥ずかしい。お前の最愛の人を悪魔と言ったことは訂正しよう」



「全く同感だ。あの男は許しがたいな。あとで1発殴ってやる!まぁ今はお前を捕縛することを優先させてもらうけどな」



「あんたと白銀を相手にするとか勘弁願いたいな。あの()()は置いてくから見逃してくれないかね?」



 カナンとヨシュアを相手にしたら逃げるどころの話ではなく、数秒と保たずに捕縛される。祐樹は最早チャーリーを仲間と思っていないので、彼を売り見逃してもらえるかダメ元で聞いてみた。



「お前も犯罪者にかわりはない。それにカズとミナちゃんを殺そうとしていたことにかわりはない。到底許せることではないな」



「・・・そうか」



 祐樹は腹を決める。何秒保つかはわからないができる限りの悪あがきはする。

 槍を分裂させて一本ずつ投擲する。ヨシュアはカウンターをせず、斬撃を飛ばしてそのまま槍を爆破。



「くっ!浅はかだった!敵には白銀がいる!!」



 咄嗟に槍を左に振るう。

 ガキィィィン!!

 カナンと祐樹のブレードが交錯する。



「完全に不意打ちだったのに驚いたわ。わたしはあなたの行いを許せない!和澄くんとミナをよくも巻き込んでくれたわね!」



 あの2人を巻き込んだことは間違いだとは思っていない。しかしあのまま離脱していればこの状況にはならなかったと後悔する。

 目の前からカナンが消えて今度は後ろに槍を構える。

 しかしカナンは一瞬離脱しただけでそのまま元の位置に戻っていた。



「ーーーしまった!?」



 背中を向けて無謀な祐樹の背中を、細剣で貫こうとするカナン。しかし貫くことなく細剣は空を切る。


 突如飛来した黒いローブを着た者が現れ、祐樹は抱えられて窮地を脱した

誤字脱字を頻繁にみかけます。ごめんなさい

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