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第2話 何か拾いました

間隔が空いてしまいましたがやっと投稿できました。

 それから二日過ぎた。

 こんな森のなかでも意外と食べれる物はあるとつくづく実感した。

 異世界と思ったけど、現実世界での毒ありの見分け方とはほぼ同じだったのでそれだけは助かった。

 ただ、分からないものは流石に【本】を見比べながら採取して行くことにしている。

 いや、流石に変な効果あった場合はどうしようもないし、当たりたくもないし。

 今日の野草を籠の中に詰めていく。

 さすが、爺ちゃんや兄さんの修行についていったよかったよ。そう、心から感謝していくと奥から“ガサガサ”という音が聞こえた。


「……動物か?」

 魔物モンスターは何体か退治はしている。とは言っても小動物やキラーパンサーみたいな動物が主だが。

 キラーパンサーはトラに似た動物だが牙が異常に発達したモノと思ってくれればいい。だが、今日の糧は十分だしな。

 一角(ラビット)の捌いたのを籠に入れてる。まさか、この匂いを辿ってこっちに来たのか?

 可能性は否定できないが……だが、気配はこっちに向いてはいない。

 とりあえず、物音が聞こえた方にいくと。すると、大きな森の湖畔のところに出る。

 その水辺の近くでうつぶせなっているのを見つける。

 いや、どう見ても【アレ】だろうな。

 一応は警戒しながらも近づく。

 それは、フードをかぶっていた。

 ますます、怪しさが爆発しそうなんだが……


「……おーい、大丈夫ですか?」

 声をかけてはみるが反応がない。

 体に触れてみるとかなり冷えきっている。

 やばいな……

 ボクは背中に乗せ急いで家の方に帰った。



○●○●



『あれ?葵様、おかえりなさ……それは?』

「ちょっと、湖の辺で倒れてきたから……」

『葵様……』

 すると、風香が呆れたようにため息を吐き、直ぐに真剣な目でボクを見る。


『食料を取ってくるとはいいましたが人攫いをするのはどうかと思います!!』

「そんなことするか!!」

 何でそんなことをしないといけないんだまったく……

 って、ちょっと待てよ? その言い方だとこのセカイもそんな部族とかがいるのか?

 可能性としては否定できないからな……ここ異世界なんだし。


『それを食べるのかと……』

「食べるか!!」

 何回が痛くなってきたよまったく!!

 この数日でこの子が天然って言うのがよくわかった!!

 ものを壊すとかそう言うのがないだけまだマシだな・……うん。


「とりあえずは暖の準備を……風香はこの子の着替えをお願いしていい?」

『私の方は別にかまいませんが……何で』

 いや、この子背負ってる時になんですが、柔らかい感触が背中を主張しているのですよ。

 ここまで来たらこの子の性別が判明するのですよ……。


『では、客間の方にお連れしてください。その後は私のほうで対応したいと思います』

「あいよ」

 そのまま、階段を上り客室の方へ連れて行った。

 客間の方は昨日のうちに増設した。

 細々としたのまで作成したって言っておこう。


『では、葵様はしばらく部屋を出てってもらっても良いでしょうか?』

「はぁ?」

 風香はフードを被った少女(?)をベッドに寝かした時にそう言ってきた。

 その言葉に生返事をしてしまった。


『……最低ですね。そ、そう言うならわ…私の……を……』

「あ、うん。何となくと言うか完全に理解しました。もし何かあったら呼んでくれ」

『畏まりました』

 そのまま部屋の方を後にした。

 もし何かあったら呼んでくれるだろう。

 その間にボクはキッチンの方に向かった。


「さて、水で体が濡れていたし、何か体が温まるものを作ろう」

 昨日は風香が身辺の物を買ってきてくれた。こっちの世界の食材などの名前がかあってるから買い出しは任せた。それを交えて教えてもらってはいるが。

 それで知ったことは、この世界は向こうの香辛料と全く同じものが存在している。

 塩と醤油とか豆板醤やら全く変わらないというのがびっくりだ。

 野菜とかもボクがいた世界の名前とそう変わらない物がある。お肉に関しては結構いろいろなものは存在している。

 サラマンダーとか竜肉とか……竜肉は極上肉と言われているのでそこまでは出回っていない。


「さて、スープ系がいいな……この世界には味噌があったから良かったけど」

 ほんと、味噌があって本当に良かったよ。洋食系の料理って全くだめなんだよね……母さんの血は引いていたはずなんだけどな。

 妹のほうが和食が全く駄目で洋食がマスターしてるんだよな。

 さて、煮出す前に一旦火を止めて豆腐と青物(ほうれん草に似たもの)を入れる。

 ほうれん草は一度火を通してあるので味噌汁の中に入れても大丈夫である。

 すると、客間に入っていた風香が一階に戻ってきた。


『見てみましたが命には別状はありませんがかなり衰弱していました。こんな辺境に来るのは珍しいことですし』

「辺境というか森の中だけどな……」

害虫モンスターが結構いますけどね』

 害虫モンスターとか言いながら食用になったりもしているのはどうなんだろうこれ……。


『ですが、一体どこのどなたなんでしょうか?』

「外見的にどこの誰かっていうのはわからない?」

 そう聞くと、風香は首を横に振る。

 王家とか貴族だったらまだわかる可能性はあるが第二王女とかはあまり顔を出すことは少ないみたいとういことだ。

 因みに配下の風の精霊にも聞いてみたがやはり分からないとの事だった。


「そういやぁ、聞き忘れていたんだけど……ここってどこら辺なんだ」

『えっと……それはどういう意味でしょうか?』

「こっちに飛ばしてくれたのは良いんだが、この世界ってどうなっているのかが未だに分からないし。ましては今ボクがどこにいるのかが分からない……」

「あ……」

 風香もその意味を理解した。風香は、大きな紙にこの国を書き入れていった。

 そして、地図はすぐに完成した。


『簡単な国内の地図ですが現在はこれでいいと思います。現在いる国がフォルトフェルデ王国です。私たちがいる場所が国境近いここですね』

 ボクから見て右端の山脈の麓ぐらいに点が加えられてる。

 そして、確認すると王都からこの辺までそんなに距離がないと言うか近いな。


「というか、ここら辺の危険な物(モンスター)は駆除したからな……」

『一般ならちょっと危険ですが、冒険者ならそこまで苦にならないと思いますよ』

 そっか、この世界には冒険者というカテゴリーは存在しているのか。

 冒険者としてのイメージが荒くれ者なんだよな……。

 そのイメージもゲームとかのイメージが強いものではあるんだけど。

 すると、上の方から歩く音が聞こえる。

 本来なら魔法で音を消すという芸当があるんだが、ボクはそんなのはまだ使ったことはない。

 だけど、今回に限っては使用しない方が良いだろう。もしもの場合、何があるかは分からないのだから。

 そう考えていると、階段からさっきの少女というか女性がゆっくりと降りてきた。

 服装は緑の薄いワンピースであった。

 容姿からすると風香と同じか少し下ぐらいだと思う。


「あ、あの……貴女あなたが?」

「あ、うん。湖畔の近くで倒れていたのでここに連れてきたのですけど……」

「どうも、ご迷惑をおかけしました」

 そう言うと、深々と頭を下げた。

 こういう行動するのってどう考えても姫様とかそう言う類いではないよな? うん。


『洋服に方は一応乾かしているのでもうしばらくかかると思いますよ』

「それで……貴女のお名前を聞いて良いでしょうか?」

「えーっと……フィーナ・フォルナです。フィナで構いません」

「ボクは槻月きつき あおいだよ。宜しくね」

『そして、私が槻月きつき 風香ふうかよ。葵さ……兄様とは兄妹きょうだいの間柄なんだ』

 よ、良かった。こんな場面で夫婦とか言われたらたぶん一生立ち直れていないかも知れない。


「えっと、てっきり夫婦かと思いましたので」

「すまない……それは絶対にあり得ないから」

 やっぱり立ち直ることができないかも知れない。

 その後ろで喜々として喜んでいる精霊ふうかがいるのですがそれいかに。


『っと、そんなことは置いといて……今、スープが出来たので良かったら飲んでください』

 風香はボクに目線で合図する。

 やらないとはいってないんだけど…ボクは小さくため息を吐きながらキッチンに移動する。

 味噌汁を茶碗によそう。

 それをフィナの前に持って行く。

 その中のものを見て不思議そうな……複雑そうな顔をしてからこちらを向く。


「この泥水…みたいな物は何でしょうか?」

 多分だと思ったけど、やっぱりこう言う反応すると思ったよ。

 と言うか、そう言う反応もあるのかよ。


『それは、大豆を発酵させた飲み物で【味噌汁】と言う物ですよ』

「……これが東方の小国にあるスープ……なのですか」

 そうまじまじ見ながら茶碗を持ち、口に持って行く。


「独特な味……なのですね。」

「確かに感覚が違うかも知れないですね」

「けど、ポカポカしてホッとします」

 そう言うと、優しい笑みを浮かべた。

 そして、お椀に入っていた味噌汁をすべて平らげた。

 フィナの表情もすごく良くなっていた。


「すっごく美味しかったです」

「そう言ってくれると、作った方もとってもうれしいです」

 そう言って満面の笑みを浮かべる。

 そう言ってくれるとボクの方も作ったかいがあったということだ。


「そういえば、ここってどこあたりなのでしょうか?」

 ふと思い立ったようにフィナが聞いてきた。

 一段落したことだし、その部分を込めて説明した。

 すると、フィナの顔が驚いた表情になった。


「……ここって、凶暴な魔物モンスターの巣窟と言われてる場所では……もしかして!?」

『そうですよ。葵兄さんが凶暴な魔物モンスターは駆除してくださりましたよ。そこまで危険な魔物モンスターはちゃんと残してはおりますけどね』

 確かにそこまでの魔物モンスターを駆除までしてしまったら食用のお肉がなくなってしまうのも一つだ。

 この世界には食用の牛や豚とかも飼育されているというのは言っておこう。そうしないと、魔物モンスターの肉しかこの世界にはないと思ってしまわれそうだ。


「一応は王都までは移動はできるけど」

「そんな事出来るのですか!?」

『葵兄様なら風精霊長との契約してますので風贈り【ウィンドゲート】は普通に使えますね』

「貴族や王族でもないのにそんなこと出るのですか!?」

 驚いたようにボクと風香を見ていた。

 すると、風香がハッと気が付いたように声を小さくだした。


『(すいません葵様、魔法に関しての説明をちゃんとしていませんでした。念話テレパスで話しますので顔はそのまま彼女を向いたままでお願いします)』

 頭の中に声が響いた。

 驚いたが、その言葉に小さく頷いた。

 それを察したように風香も小さく頷いた。


『(簡単に説明します。ゲートとかの高位魔法は精霊と契約して使用ができるのです。葵様の場合は私と契約してますので転移魔法が使用可能と言うことです)』

 なるほど、そういえば風香は風の精霊と言っていたから風の魔法の転移魔法が使えるって言うことか。


「まぁ、昔の怪我の功名と言うことでお願いするとして……とりあえずは、風香が城門前まで一緒に転移してくれるよ」

『ちょ、え!?』

 教えてくれない風香が悪いということで道先案内人ということでそう答えた。


「どうも、ありがとうございます」

 フィナは再度深々と頭を下げてくれた。

 そして、家の外を出て玄関近くで【本】を手に乗っけるとペラペラと捲れて止まる。

 すると、文字が浮かび上がる。



風転移ウィンドゲート



 前回と同じ使用したら内容がわかると言うやつだろうか?

 考えても仕方ないので風香が並んだところで浮かび上がった文字と唱える。


風転移ウィンドゲート!!」

 すると、二人の周りを風が吹いた。

 風が止むとすでに二人の姿はそこにはなかった。

 数分後、風香が【ウィンドゲート】で戻ってきた。

 笑顔で『ちゃんと送り届けましたよ』と何故か満面な笑みで……

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