第1章 第3話
またまた、遅くなりました…!すみません!
今回も少し短めですが、楽しんでいただけるとうれしいです!
あの、腕の輝きは。
見覚えがある。どころか、男が探し求めていたそれだった。
ブレスレット
あろうことか、少女の腕に憑いていたのだ。
きっと、少女も気づいていないのだろう。
厄介なことになった。
ガシガシと頭をかきながらかんがえる。
何か、何か良いアイデアはないものか…。
ガサガサッ
考える時の癖で、足を動かしてしまった。
「だ、だれかいる、デスか…?」
伸ばしていた手をさっとおろしキョロキョロと辺りを見渡す。
こうなったらやけくそだ…どうにでもなれ。
男の姿を見た少女は、驚きに目を見開き、そして満面の笑みを浮かべた。
また、新しい表情だ。
少女の表情の変化に少し戸惑った男だが、
「お、おにぃさんっ、どうしたんデスか?」
戸惑っているのだろう、声が裏返っていた。
つい出てしまったので、言い訳を考えていなかった。
「ん、まぁ、あれだ…」
きょとんと、しかし少しの不安を浮かべながら見つめてくる少女に男は焦り、
迷った末、ゆっくりと口を開いた。
「お、俺と旅をしないか?」
…やってしまった。
しらない男にいきなりこんなことを言われて、不審に思わないなんて無いだろう。
流石に子供でも怪しがるレベルだ。
自身の失態に頭を抱えて悶える男。
しかし少女は、男の心配をよそにまん丸く目を見開き
「た、たび…デスかっ!?」
「あ、あだ、旅だが。」
「私も行っていいんデスか!」
「も、もちろん。」
「どこへ行くデスか?!」
「お、お前が決めていいぞ」
「ほんとデスか?いいんデスかっ?」
「あぁ…。」
ものすごい食いつきだ。その迫力に気圧される。
不審者にころっと騙されるタイプだな…。
この場合不審者なのは男なので、都合が良かったといえばそこまでだが。
嬉しそうに飛び跳ねる少女。
少女のテンションに呆気にとられる男。
なんとも和やかな雰囲気だが、呑まれてはいけないと自分を保つ。
「さぁおにぃさん、行きましょう!」
「今からっ?早く無いか?準備とか…。」
早い。とにかく素早かった。
「お恥ずかしながら、大切なものとか、ないんデスよ。」
少し目を伏せてもじもじと語る少女。
まぁ、家があの状態なら仕方がないような気もする。
「えと、どこへ行くデスか?」
慌てて話を逸らすように、上擦った声で訪ねてくる。
「…ちょっと聞いていいか?」
「?」
有耶無耶にした方が得なのだが、男は聞いてしまった。
「俺のこと、怪しいと思わないのか?」
「怪しい?なんでデスか?」
大丈夫だった。少女は少し純粋すぎだった。
「なんでもない。」
曇りのない瞳で上目遣いをして訪ねてくる少女にたじろぐ。
勝手にいたたまれなくなった男は次に切り出した。
「お前、名前はなんていうんだ?」
今まで明るかった少女の表情が、ふっと暗くなった。
どうでしたか?
少し話の進み方が都合のいい感じはしますがそこは目を瞑って……。
次回も楽しみにしてくださいね!
感想&評価よろしくお願いします(*´꒳`*)