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逮捕劇

 ノックス伯爵はロップ探偵が食事会を開催すると聞いて、腹を空かせて、ペディントンまでやってきました。


 ペディントンにある高層ビルの五十階の一室を貸し切って、机に真っ赤なテーブルクロスを敷いて、豚の丸焼きなどを並べました。


 ノックス伯爵は舌舐めずりをして、フォークとナイフを手に、それらを眺め回しています。


「実に恐ろしい光景だなぁ」


 ロップはダッチにそう言いました。


「本当に捕まえられるのかい」


「まあ、見ていてくれよ」


 カーテンを開いて、ロップとダッチは飛び出しました。そして、ノックス伯爵にお辞儀をして、


「この度はうんぬんかんぬん」


 と挨拶をしました。


「挨拶は良いから、もうご馳走を食べて良いかい?」


「そうはなりません」


「何だって、まだ何かあるのかね」


「伯爵がご飯よりも喜ぶものです」


「何だって?」


「これです。ついに針ねずみの部屋からこのイエローダイヤモンドが見つかったのです」


 ロップがその黄色い宝石を差し出したのですが、ノックス伯爵は受け取らずに、ヘラヘラ笑い出しました。


「嘘言っちゃぁ困るな。イエローダイヤモンドなんて、ある訳ないじゃないか。ははは」


 ノックス伯爵はこれが偽物だと言うのです。


「その通りです。これは偽物のイエローダイヤモンドです。しかし、ノックス伯爵、あなたは何故それを知っているのですか?」


 その一言にノックス伯爵はしまったと口を押さえました。自分が狂言をしたことが分かってしまったのだと感じたノックス伯爵は、あまりのことに窓から外に飛び出そうとしました。ところが、ここは二階や三階ではなかったのです。五十階だったのです。


 ノックス伯爵の悲鳴は五十階から一階にたどり着くまでの間、ずっと聞こえていたのでした。





         名探偵ロップの推理 完

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