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呪いの部屋

 前略、お父様お母様へ。

 実家から出て、この春大学へ通う為に新しく借りた部屋ですが、どうやら呪われていたようです。




 コトの始まりは大量の長い髪の毛からだ。


 俺が借りているマンションの一部屋は、駅から近くコンビにも徒歩一分の場所にあり立地がかなり良い場所にある。部屋も広く、普通の学生が借りるには贅沢すぎるものだ。

 それなのに、なぜ俺が借りられているのか? その答えは単純明快、安いからだ。

 この部屋だけ、家賃が異状に安い。

 周囲の部屋の家賃は知らないが、不動産屋さんの話を聞く限り絶対に高い。学生が借りて良いマンションじゃない。それだけは言えるね。

 不動産屋でこの物件を見つけたときは神様に感謝した。

 正直、仕送りなどを考えるとボロボロのアパートも覚悟していたけど本当にコノ物件を借りられてよかった。

 不動産屋の人も最初は渋っていたけど、俺が何度もお願いすると『何があっても訴えないで下さいね』って言いながら渋々と貸してくれた。

 最初は隣に住んでいる人が怖い人なのかなと思っていたが、借りた部屋に行ってみると、両隣に誰も住んでいない。

 それどころかコノ階に誰も住んでいなかった。


 あれ、もしかして家賃が安いのって他に理由があるのか? もしかして、霊的なこと?

 でもなぁ、幽霊っているのか? 今まで生きていて一度もその手の物には遭遇したことがないんだよな。

 友人と肝試しに行っても見たことないし。あの時は友人達は『本当にでた! やばい死ぬ!』と騒いでたな。実際は小さな女の子を幽霊と見間違えて騒いでたたけだったのに。ただ友人は女の子を一度も見ていないって言っていたな。まぁ、その子のお母さんが迎えに来ていたから入れ違いになったんだろう。

 けど、あんな人気の無い場所に何のようで来ていたのだろう? 今思えば不思議だな!

 ふむ、そう考えると今回の家賃が異状に安い部屋もおそらく何かしらの原因が幽霊騒動に間違われている可能性が高いか。

 実際に不動産屋の人も幽霊云々の話はしてこなかったし、きっと違う原因だろ。

 そんなことより、家賃が安くてよかった。本当によかった。

 さて、早速これから我が家になる部屋に入るとしましょうか。


 おー意外と広い。

 家具もそこそこそろっているのか、家具代も浮いたな。

 それにしても何で家具が残っているんだ? アレかな、サービス的なやつかな? それにしても、結構な家具がのこっているな。

 コレならパソコンとネット環境を整えればスグにでもいつも通りに暮らせるかな。

 

 一通り部屋を回り終えるとふと気になるものを見つけた。

 長い髪の毛。それが何本も何本も何かを引きずったように部屋のリビングにあった。


 俺の髪の毛は短いからコノ毛は俺のじゃない。

 もしかして………………姉ちゃんの毛か!?

 そうだよ、アノ人の髪の毛だよコノ長さ的に。

 しっかし、よく分け分からない悪戯するけど髪の毛を仕込んできたか。それも大量に。

 大切にしろよ! 髪は女の命だろ!

 やるなら、変なお札貼り付けるとか、塩を撒くとかいつも実家でやるのにしとけよ、中二病。


 ため息を吐きながら、髪の毛を回収する。

 それにしてもコノ髪の毛、妙にヌメヌメしている。

 全く手の込んだことで……。

 それにしても、どこにコンナ大量の髪の毛を仕込んでいた?

 本当に姉ちゃんのことは分からんね。


 さて、明日から大学生活が始まる。

 今日はもう寝よう。

 意識がなくなる直前に髪の長い女の人が覗いている気がしたがきのせいだろう。





 あれから数日たったが特に何も無く普段どうり暮らしている。

 髪の毛が落ちていたり、妙に視線があったりするが実家にいた頃よりヌルイのでとくに気にはならない。

 それに比べれば大学生活の方が問題だ。

 何せ友だちが出来ない。普通の友だちが出来ない。

 知り合いの人はみんな変人ばかりだ。

 それもコレも、オカルトサークルに入った、入らされたせいだ。

 何にも知らない俺はあれよあれよといつの間にかサークル入り、入ったものの一年せいは俺だけ。他のメンバーは2年せいのみ、しかも変人。

 ゴスロリの部長に黒魔術がどうのこうの言う女の人。ガリガリに痩せまっくている男性の三人だけのオカルトサークル。

 活動内容もよく分からん。呪われた場所に深夜訪問したり、心霊写真の収集だったり、黒魔術が云々だったりと、全く興味が湧かない。

 そんな俺がなぜ、サークルにいるかといえば、講義が終わり家に帰ろうとすると迎えにくるのだ。ゴスロリの部長が。

 おかげで、周りから変な目で見られるし、やめてくれと言えば『だってアナタ帰るでしょ?』と言われ渋々サークルに顔を出す日々が続いている。


 サークル活動も終わり、住んでいるマンションに戻ってきた。ちなみに、今日のサークルは心霊写真における歴史についてだ。

 エレベーターに乗る。

 エレベーターに乗り、いつも思うことだがこのエレベータで他に住んでいる人と鉢合わせたことが無い。

 マンション自体には住んでいる人は結構見かけるのだが、このエレベーターに乗っている人は居ないな。


 あれかな、みんな違う方のエレベーターを使っているのか?


 このマンションにはエレベータが違う場所にもう一台ある。

 しかし、俺の部屋からは少し遠いのでいつも使っているこのエレベーターを使っているのだがそんなに人気がないのか? アッチと比べて変わりはないのに。ほんの少しだけ、視線が気になる程度なのに。まあ、それは俺の気のせいだと思うけどな!


 玄関のドアを開け部屋に入るがまた髪の毛が落ちていた。

 またか……何度も何度も掃除しているのにまたか!

 掃除するのがメンドクサイナ。

 ハァ、一度不動産屋に相談しようかな?


 あれから、落ちていた髪の毛を掃除していたがかなりの量が有った為、時間が掛かった。

 ちくしょう、誰だよこんな嫌がらせするやつ。絶対にゆるさん!

 いや、ちょっとまて。そもそも、鍵が掛かった部屋に誰が入れる? これはもしかすると………………ストーカーか!?

 何度も何度も髪をばら撒く奴の正体はストーカーだったのか! さすがに、姉ちゃんもこんなに悪戯を仕込んでいるはずがないよな。

 くっそ、絶対に警察に突き出してやる。

 そうと決まればやることはただ一つ、ストーカーの正体を突き止めることだ。

 実家から持ってきたビデオカメラで撮影してやる。

 さて、どこに設置するかな?


 ビデオカメラの設置を終え、眠りに着く。

 ストーカーの正体が映りますようにと祈りながら意識を手放した。

 髪の長い女の人が覗いていたような気がするが気のせいだろ。





 

 大学での講義も終わりサークル活動も終えマンションに帰ってきた。ちなみに、今回のサークル活動はなぜトンネルは幽霊を魅了するかだ。わけが分からん。

 人気の無いエレベーターに乗り込む。相変わらず視線を感じるが、正直ウザイ。

 まぁいい、今はストーカーについてだ。

 朝、ビデオカメラも設置してきたしようやくストーカーの正体も分かる。

 これで、髪の毛地獄からも開放されると思うとコノ視線も今はいいだろう。ウザイけどな。


 部屋に入り早速ビデオの確認をしようと思ったのだか、相変わらずの髪の毛が落ちていた。

 どんだけこのストーカーは髪の毛が好きなんだ!? そんなに髪の毛を落としてるとハゲるぞ!

 ビデオの確認の前にまずは掃除か……めんどくさいな。


 今回の掃除にはかなりの時間が掛かった。

 なんだよ、あのヌメヌメ全然落ちやしねい。

 絶対にストーカー許さん!


 まあいい、ビデオの確認をしよう。コレでストーカーの正体が分かるはずだ。


 ビデオの映像を開始する。最初に映っていたのは見慣れたリビングの映像だった。

 特に何も無いままただただリビングが映るだけ。

 変わった様子も無いので、早送りをする。

 すると、映像の隅に何かが一瞬見えたので再生を開始する。

 そこに映っていたのは白のコートを着た髪の長い女だった。


 キタ、コイツがストーカーの正体か! しかし、顔が分からないな。こっち向け、ストーカー。


 女は何かを探すようにゆっくりゆっくり部屋の中をうろついていた。

 女が歩くたびに髪の毛が落ちていく。

 手足が長く肌の色も異状に白い。

 後姿しか見えないが不気味に感じるのは何故だろうか?

 ふと、女が足を止めコチラに振り向く。

 女の顔は前髪により隠れていた為分からないが、口が笑っていた。

 そのまま、カメラの方にゆっくりと歩いて来てカメラの前に来ると何かを呟くが、俺には何も聞こえなかった。

 何かを呟くと、押入れに入り込み後はいつもの部屋の映像がただただ続いている。

 問題は…………その押入れが俺のスグ後ろにあるということだ。


 やばいやばいヤバイ!

 どうする、どうするんだ俺!

 落ち着け、落ち着くんだ俺。

 幸い相手は女だ。体力的に男である俺に分がある。

 組み伏せるんだ、組み伏せて……!

 あれ? 押入れが開く音がした?

 いやいやいや、俺の後ろから気配を感じる? 視線を感じる?

 どうしよう本当にどうしよう?

 落ち着け、一気に、一気に行くんだ。


 俺は後ろを振り向いた。

 しかしソコニあるのは、いつもの見慣れた押入れだけだった。

 不思議に思い押入れも開けるがそこには何も無い。


 勘違いか?

 しかし、ビデオには押入れに入る女の姿が映っていたはずだ。

 どうなっている、なぜ押入れに居るはずの女が居ない。

 くっそ、あのストーカー女は忍者か!


 ビデオを警察に届けようと俺は部屋を出ようとして、一歩玄関へ踏み出そうとした。

 その時、俺のすぐ後ろから気配を感じた。

 後ろを見る為に振り返る。

 しかし、そこには誰も居ない。

 ため息を吐き、家を出ようと玄関に目をやると、そこには先ほどビデオカメラに写っていた女が笑いながら居た。

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