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絶望譚の開始

希望の裏は絶望。


 正義の裏は、悪。


 そんなこと誰だって、わかることだ。一方は、人から賞賛され、賛美され、かたや、もう一方は、人から嫌悪され、排除される。


 では、これはどうだろうか?


 ――能力者と、無能力者。


 超常的な能力を有し、それを使って、人々の生活を助ける。字面だけ見たのなら、何て、素晴らしいん

だ、そう皆は、考えることだろう。


 そして、無能力者は、その名の通り、何も持っていないのだから、排斥される。


 今まで、述べてきたことから、そのようになることは、誰にでも推測できる。

  しかし、それは、あくまで推測にすぎない。


 実際は、逆転が起きる。つまり、前者が、忌み嫌われ、後者が、支持されるということだ。


 その理由は、考えるまでもない。どういうことかといえば、人間がそう言う生き物だからだ。


 だから、普通の人が、持ちえないような力を宿した、主人公が周りから、苛められるのは、当然のこと

なんだ。


 つまり、人は、自分たちを、強者だ、と心のどこかで勘違いしているから、それが間違いだと、わかり

そうになると、怖がるわけだ。


 だから、全力で、自分を守ろうとする。自分の日常を守ろうとする。


 そうして、無能力者と、能力者の激しい争いが起きて、その渦中の中で友情に、恋に、裏切り、とさま

ざまなものを潜り抜けていくうちに、主人公が見たものとは……。

 とか、そういう物語になればよかったのに、現実はそうは甘くないんだ。


 世界がもし、様々な分岐を辿っているのだとしたら、僕は、その中でも差指折りに入る程には、最低最

悪な世界に生まれてしまった。


 さっきの話に戻せば、能力者は例え苛められていても、能力を使えば、自分の道はいくらでも切り開け

る。いうなれば、全然人生は、修正可能だし、希望だって、いやというほどに、そこら中に転がってい

る。


 それじゃあ、こんな世界はどうだろう?


 無能力者が社会的に、抹殺され、社会に復帰することは、不可能である。それに対し、能力者が、徹底

的に厚遇され、多数派で、そして、社会を牛耳っている。

 

 2者の差は、目も当てられないほどに圧倒的で、抵抗するのも馬鹿らしく思えるくらい。ついには、人

間としての生死すらも、能力者が、握っている。

 

 そして、極めつけは、それら全てが高校生であり、社会、大人、世間、世界は容赦なく、暴力を振る

い、苦しむ者を見て、笑っている。


 絶望以外の何物でもないね。弱者同士は団結することはおろか、あまりの理不尽な状況に屈し、仲間内で、お互いを傷つけあい、自分の精神を安定させようとする。


 でも、確かに見たんだよ。そんな闇の濁流に呑まれた、たった一つの閉鎖都市で、わずかに光り輝いていた希望という奇跡をね。

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