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真っ赤なお鼻のトナカイさん?

作者: half bloom

サンタクロースはクリスマス前夜、

年の一度の大仕事のクライマックスを迎えていた。

旧約聖書片手に、彼はテンション上々でクリスマスキャロルをハミングしながらソリに乗り込んだ。



ソリに乗せるプレゼントは毎年毎年増えており、ソリにはまだ十分乗せられるけれど、トナカイたちにかかる負担はどんどん重くなっていっていくばかりになってしまう。トナカイたちは正しい生態系の中に組み込まれているが、人間はどんどん増えていくばかり。



サンタクロース一行が日本の上空に差し掛かったころ、トナカイたちはヘトヘトになってソリの進行速度が急に落ちてしまった。

サンタクロースは可哀想になり、日本の、鹿せんべいで有名な奈良県で一時停留することにした。

そして、そこで彼は赤い鼻をしたトナカイならぬ鹿に出会った。


サンタクロースは迷うことなくこの鹿を、ソリを引いてくれている自分のトナカイたちに含め、仕事を手伝わせた。しかも今年は赤い鼻のトナカイが風邪を引いてしまってこまっていたところちょうどよかったもんだから、彼は半ば無理矢理引き入れたのだった。



「きゃっほーい! もう鹿せんべいで人間に馬鹿にされ、せんべい争いで負け続ける生活をしなくて済むと思うと嬉しくて天にまで昇る気分だよ!」



「君はこれからはトナカイとして働いてもらうよ」


奈良の法隆寺の鐘が、

ごーん、と鳴った。



赤い鼻の鹿はサンタクロースに魔法をかけられた後、奈良の鹿せんべいの鹿に、戻ることはなかった。


すべてのプレゼントが今年も無事に子供たちのもとにちゃんと届けられた。



しかし、あくまでも、鹿、

なのだった。


そして真っ赤な鼻をしたトナカイと鹿は、

これからもっともっと明るく夜道を照らすのだった。






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