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気配

「ありがとうございましたー!失礼します!」


 よし、よしよしよし!これで、あとは荷物の片付けをするだけだ!

 

 アパートの鍵を開けて掃除が終わった後、休む暇もなく引っ越し業者が到着した。引っ越し業者が荷物を運びこんでいる間にガスの開栓の立ち合いをして、ガス会社の人と引っ越し業者と入れ替わりでタイミングよく家電が届いた。家電も運び込まれて軽い説明を聞いて、今漸く家電会社の人達も帰った。

 現在時刻は午後の2時過ぎ。因みにお昼ご飯はまだこれから。家電の説明を聞いている間、お腹が鳴りまくってやばかった。聞こえていなかったと信じたい‥‥‥。

 いや、本当にやばかった。洗濯機の柔軟剤を入れる場所なんて教えてくれなくていいから早く帰ってと思ってしまったくらいに。仕事でしていることなのだから文句は言えないけど、見たらわかりますと何度口に出そうになったか。


 まあ、そんなことはどうでもいい。ご飯を食べよう。

 とは言え食べるものがない。事前に買っておいた調理器具はあるけれど、食料品までは買っていない。

 ドライブスルーでもテイクアウトで買ってくるのでもいいけれど、そんな悠長なことを言っていたら倒れそうだ。近くにコンビニがあるからカップ麺か何か買って簡単に食べよう。

 まだ段ボールだらけの部屋の中に目を向けて、腹が減っては戦、(もとい)仕事ができぬと1人納得して、目的のコンビニに向かう。



「いっただっきまーす!」


 普通のカップ麺なのに、朝からなにも口にしていなかったのがいい調味料となってとてもおいしく感じる。乾いたお腹にカップ麺の濃い味が染みわたる。

 これからは自炊をしなきゃか。お母さんにご飯を教えて‥‥‥ううん!1人で頑張るって決めたんだ!今は料理アプリもあるし、ネットにもいろんな料理の作り方が乗っているんだ。簡単なものから頑張ろう!学生の頃も家庭科の授業で作ったものもあるし。何にもできないわけじゃないんだもんね。

 確かここに、昔興味を持って買った料理の本も入れた筈。


「……?」


 本の入っている段ボールの奥に、何かの気配を感じて覗き込むが、やはりと言うか案の定と言うか、そこには何もいなかった。


「ま、いっか」


 そんな事よりも、カップ麺を食べ終わったら買い出しに行こう。荷解きも、それ以外も、後から十分時間がある。その時に、まとめて全部片付けよう。


 残りのカップ麺を胃に収めた私は、財布とスマホとエコバッグをショルダーバッグに入れ、アパートを出た。

 その時も、変わらず部屋の中から気配を感じていたが、私はそれを無視してしまった。後から後悔することになると、この時は想像も出来なかった。

今回ちょっと短いですが。

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