箱庭の勇者
勇者が村を旅立ってから2年がたった、
その剣が魔王の胸を貫いた。
魔王は悟ったような表情をしていた。
勇者は2年間の長い旅を振り返りながらその一行と帰路についた。その2年は彼ら4人の人生で1番苦難に満ちた2年である、だがそれと同時に振り返ってみればその2年は彼らの人生で最も満たされていた2年だ。大事な仲間たちと共に過ごした2年が苦しいだけなはずがない。
やがて彼らは村についた、村に魔王討伐の知らせをすると村人たちは皆激しく喜び、夜になると勇者たちを労って焚き火の周りで酒を飲んで踊り始めた、決まった動きを繰り返すように踊り続ける村人達を見ながら、勇者は1つ決心をしていた。
村人たちによるお祭り騒ぎの片隅で勇者一行は話し合っていた。
「僕はこれから世界中の人達を助けるために船に乗って旅に出る」
勇者は他の3人に言った。
2年も一緒に旅した仲だからか、彼の性格を誰よりも理解している仲間たちは引き止めずに彼を快く送り出すことにした。
「元気でね」
「いつかまた帰ってきてくれてもいいんだからね」
「そうだな、元気でな」
勇者は優しい笑みを見せた。
「ありがとう、みんな、いつかまた会おう!」
勇者は小さな船に食糧を積んでその日のうちに出発した。
だが、勇者はいつになっても陸にたどり着かなかった。
そして彼の食糧も底をついてきた。
考えてみればこの海には魚が1匹もおらず、海の底は遠く進むにつれどんどん平坦になってゆく。それでも彼に引き返す食糧は残っていない、進むしか無かった。
そこからまた2日が過ぎた。波ひとつ立たぬ空っぽの海に浮かぶ空っぽの船の中で勇者はこれまでの旅を思い出した。
その時、夢か現実か海が真っ直ぐ途切れていた。平坦な海底だけが続き海は途切れている。
彼の小舟はその境界線に止まり、彼自身はその平坦な地面に降り立った。
喉の渇きに負け海水を飲んでしまった彼の喉は飲む前よりカラカラになり、何も無い海を進み続けた彼の精神は限界に達していた。
そんな時勇者はどこまでも何も無い平坦な地面に1冊の本を見つけた。
「トゥルークエスト」直訳すると本当のクエスト、彼はその中身を見た。
キャラ説明
勇者
正義感の強い主人公
癒術師
回復できる、優しい性格で常に皆のことを心がけて、、
戦士
耐久力が強い、頼れる兄貴分で、、
魔法使い
遠隔で攻撃が出来る、実は勇者のことが好きで、、
設定説明
勇者の村には古から魔王の脅威が襲ってきていて、勇者一行はある日2年間に及ぶ魔王討伐を、、
もう十分だ、
勇者はそう声に出したかった。
だがカラカラに渇いた彼の喉はもう声など出せなかった。
書いてある内容は全て彼らに当てはまった。
一人一人彼の中で中身を失ってく仲間の顔を思い出しながら、勇者は地面に膝をついた。
そんなとき彼を哀れに思ったのか天から声がした。
「申し訳ないが、君が魔王を倒した後のストーリーなんて用意してないんだ、誰もそこに興味が無いからね」
「だから費用がかかるマップはそこまでに必要な最低限しか作っていない、君の物語は魔王を倒した後の村の宴会で終わっている、あれがいわゆるエピローグだ」
「他のキャラの行動だってそこまでしかコマンドを入れてない、物語の結末は、そして勇者は他の困っている人々を救うために旅に出ました、それで終わりだからだ」
「誰も興味のない部分にコストをかける必要は無い」
勇者は何も言えぬ虚無感におそわれた。
だが渇いた喉を奮い立たせ、彼は喋った。
「魔王を倒すまでしか物語に価値がないなら、」
「簡単じゃないか、」
「僕が、僕が次の魔王になればいい!」
「例えハリボテだとしても!僕はこの世界を、この世界に生きる人々を愛している、終わらせたくない!」
天の声は答えた
「今までの勇者たちも君と同じ選択をしたよ」
勇者はそれを聞いて叫ぶ、
「ならば僕が殺した魔王は!」
天の声は答えなかった。
勇者は子供のように激しく泣きじゃくった。
だが勇者の涙がいくら地面に落ちても、地面は相も変わらず乾いていた。
マイクラの配布ワールドクリアしてクリエで壁を壊した時に外がスーパーフラットって知った時の気持ちを言葉にしてみた。
けどそう考えると死なない限り明日がある人生っていいものかも。