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永遠(TOWA)  作者: 三雲
不死ノ鬣(現代編)
7/169

7話 高天原

長い暗闇だった。

何もない。音も匂いも、自分の形さえもない。鈴凛はただ闇を感じていた。

自分が誰なのかも忘れそうなほど長い時が過ぎた気がする。

ついに幽体離脱した魂も消滅して闇とひとつになったのだろうか−−。

これが、死?

「……?」

どれくらい経ったのか、わからないが、うっすら赤い糸のようなものが、目の前に流れているのに気がついた。

「綺麗……」

ゆらゆらとそれは蝋燭の火のように踊って漂っていた。

自分の目がどこにあるのかもわからないが、その赤く輝く糸をただ眼で追っていく。

「あれ?」

天井が少しだけ明るいような場所にいつの間にか出ていた。

光の階段が雲間からさすように、何かが上から降りてくる。

「なにか……」

美しい白銀の不思議な目を持った女神だった。白く真っ直ぐな髪が闇を切り分ける線になってどこまでも続いている。たゆたう布をまとい、背中には六枚の羽があった。

暖かく優しい眼差しが鈴凛を包む。

「暖かい……」

母とはこういうものだ……と鈴凛はぼんやり思った。

女神の腕が伸びて、引き寄せられる。

女神の瞼がそっと閉じられる。その指が頬に添えられた時、何か膨大な情報が頭に流れ込んだ気がしたが、多すぎてわからない。花畑が一瞬にして咲き誇り消えるようだった。

「!」

柔らかい快感が駆け抜けて、鈴凛は自分の唇を思い出した。

女神がそっと口づけしたのだ。

鈴凛の体が暗闇から再び形を取り戻していく。

「体が……」

そしてそのまま、鈴凛は女神の手に掬い引き上げられるように、上へと登っていった。



「……?」

畳の匂いがする。ぼやっとした視界が見えてきた。

鈴凛は目が覚める。

蝋燭がわずかにあたりを照らしていた。

「ここどこ」

朦朧として起き上がろうとしても、体が重い。

首をよじって確認すると、鈴凛の体は布団のうえで死人のような白い麻の浴衣のようなものを着ている。

「?」

首でかちゃりと音がした。手で触れてみると、冷たい。金属製の首輪をされているようだった。手首も足首も同じ金属製の拘束具が付けてあり、それらが鎖で腰の辺りで連結されている。身動きが取れない。

「なに……これ……」

状況が飲み込めず、あたりを見回してみる。

「え?」

畳はちぎれ、ひっくり返り、布団の綿が飛び散っている。床の間は龍があばれたかのごとく爪痕と鱗と羽、綿が飛び散っていた。

「なにこれ」

ここはまだあの化け物のいる里—

「?」

生きていたのかと思う。

「!」

遠くですうっと引き戸がすれる音がして、「お目覚めになりましたか」という柔らかい女性の声がした。布を引きずる音とやわらかい明かりが近づいてくる。

十二単をまとった提灯を持った女と、つづらを背負った少女が、闇にぼんやり浮かんでいた。

「!」

鈴凛はその容姿にしばし見惚れた。

光り輝く天女たちだった。

二人とも極彩色の単を何枚も重ねて、草花の装飾の美しい髪飾りや耳飾りをしていた。

提灯を手にしている背の高い女は若草色のうねった髪を左側でゆるく四つ編みにしており、丸みを帯びたような優しい表情を鈴凛に向けている。目の覚めるような鮮やかな新緑色の着物にたくさんの蔦が描かれた着物を着ていた。

少女の方はぼうっと視点が定まらないような表情だった。インド人のように開けた額に赤い点の印をつけて、眉は濃く、目もはっきりしている。唇には真っ赤な紅が塗ってあった。着物にはいくつもの水連と水車が描かれている。自然に後ろに流した艶やかなスミレ色の髪が背中にしょったつづらを避けて左右に分かれ床にまで届いている。小さい体に大きすぎる荷物だった。

暗い部屋で二人はぽうっと明るく光っている。

「今お外ししますね」

若草色の女が鍵のようなものを懐から取り出すと、腕輪や首輪、黄金の鎖をひとつひとつ外してくれた。

女が手招きすると少女はちょこんと膝をついてつづらを下ろした。

自分の背丈もある大きな箱の蓋を爪先立って開けている。

どうしてこんな重そうなものを、少女が担いでいるのか不思議だった。

「さあこれを」

若草色の天女が言った。

紫色の少女が持っていた大きなつづらを開くと、桃色の美しい着物が出てきた。

「照日ノ(てるひのきみ)からの初衣(ういごろも)ですよ」

金色の刺繍が施され、満開の枝垂れ桜が描かれている。隙間なく色彩を変えた桜が、枝から溢れるように咲いている。女たちが着ているのと同じくらい立派な着物だ。

「わたしの……?」

女が手伝って羽織らせると、鈴凛の帯をしめる。

「よくお似合いです」

状況が全く飲み込めない。ついに死んで報われたのだろうかという気がした。待遇は悪くない。

やはり死んで天女にでもなったのだろうか。

「ここはどこなんですか……?あなたたちはいったい誰なんですか?わたし死んで……」

「あなた様は、わたくしたちと同じ。神の(メイ)を授かったのです」

「メイ?あなたたちは天女?」

「ふふ……」

女は少し考えて言った。

「わたくしは稲姫(いなひめ)。こちらは湍津姫(たぎつひめ)様です。わたしたちはあなたと同じ神の血を授かった娘。永遠(とわ)戦姫(いくさひめ)です」

女はうっとりするような微笑みで鈴凛を安心で満たした。

「イクサヒメ?」

天国にしては、役職の響きがなんだか物騒だなあと思う。

「さあ参りましょう」

眠ってしまいそうな美しい匂いに釣られるようにして歩く。

「あの」

鈴凛が間抜けな声で話しかける。

女たちは振り返らなかった。

淡い光を纏って足音なく進んでいく。

「ここは天国ですか?」

「いいえ……」

「ここは高天原です」

予想と全く違う答えが返ってきた。

女たちが扉をひらくと、幻想的な風景が広がっていた。

幾重にも朱色の水上の廊下がつながり、ぼたん雪が静かに降っていた。ところどころに大きな御殿が見える。平安時代みたいだと鈴凛は思った。でもそれが現実には思えない。

「……」

遠くの方までみると、大きな鳥居もある。

霞につつまれて幻想的な雰囲気を醸し出している。

「やっぱりわたし死んだのね……」

「ふふふ。ここ高天原、死の(ケガ)レからは、一番遠い場所にございますよ」

「高天原」

鈴凛は聞いたことがあるような、ないような、響きだと思った。

「さ参りましょう」

湍津姫は、稲姫と手をつないで無口だったが、ときどき鈴凛が気になるようでついてきているか何度も振り返っていた。

廊下で別の女たちがむこうからやってきた。

「……?」

大奥かのように立派な着物を着ていたが、鈴凛たちを見とめると、深々とひざまづき、首を垂れ脇に避けてひれ伏した。その髪はみな長く、結われていない。彼女たちは光を纏っていなかったが、鈴凛が少しだけ覗き見ると、みな美しい顔立ちだった。

女たちはみな通り過ぎるまで、ぴくりともしなかった。

目の前の二人の身分の高さをそれが表していた。

「また鳥居だ」

大きな白い鳥居が現れる。

「ここは神宮。ここからは神域です」

「……神域」

「さあ中へ、月読命(つくよみのみこと)がお待ちです」

「わ」

何かが動いて鈴凛はびくりとした。

気がつくと、真っ白な着物を着て、同じく真っ白な半紙で顔を隠した不気味な女が二人ほど脇に正座している。

「これよりは神域にございます」

二人の女たちは双子かと思うほどズレなくそう言った。

銅像のように動かなかったため気がつきもしなかった。

「……」

手袋と足袋で肌も隠し、僅かに横から見える顔肌も舞妓のように白く塗られている。

「……」

表情を動かすこともなく前を見据えている。

鈴凛たちが近づくと、機械仕掛けのように同じ動きで、扉をゆっくりと開けた。

「すごい」

そこには信じられないほど大きな空間が広がっていた。

何枚あるかわからない畳の部屋のずいぶん奥にぽつりと三人の人影が見えた。

その奥に立派な御簾が下りている。

「さあ奥へ参りましょう」

畳を長いこと歩き、やっと奥に辿り着くと、待ちかまえていた三人が視線を向けた。

右側に紫色の袴を身につけた年老いた白髪の老婆と、腰まである髪をポニーテールにした黒髪の若い女が座っている。老婆は垂れ目で顔がしわくちゃになるほど歳をとっている。ポニーテールの女は化粧が薄くきつそうな目鼻立ちの美人だった。ふたりとも背筋をぴんとして正座している。

左側には右の二人を足したサイズ以上の大きな軍人だった。なんとも言えない見た目だったが鈴凛は女性と判断した。深緑の軍服を着て胸にはたくさんの勲章らしきものがついている。近づいてみるとその尋常でない大きさと筋肉質な腕、大きなグローブのような手に驚いた。大人の男の人より二回りほども大きく、短めのボブを刈り上げており、目はぎょろりとしている。

「!」

鈴凛と目があうと、赤いリップを塗った分厚い唇をつりあげて、ニイと鈴凛に微笑みかけた。

ぎょっとして鳥肌がたつ。

「あの」

稲姫たちは待っていた三人より上座に座った。

鈴凛はどうしていいかわからない。

「新姫様は、真ん中へ」

ポニーテールの女がはっきりとした声でそう言った。

鈴凛はしかたなく真ん中に離れて座った。

すると老婆がしゃがれた声で仰々しく次を言った。

「首をおたれください」

鈴凛は言われた通りにする。

すると老婆が何かを奏上した。

「たかあまのはらに かむづまります かむろぎ かむろみの みこともちて すめみおやかむいざなぎの おほかみ つくし ひむかの たちばなの……」

何かが詠唱され、鈴凛はそれを待った。

「?」

それが終わると、入り口にいた白装束の女たちが脇から足音もなく現れると、御簾をするするとひいていった。三重になった御簾の奥には御帳台があり、白い人が座している。

「あ……」

鈴凛は見てはっとする。それは死に際に夢の中で鈴凛に口付けして、闇の深海から引き上げた女神……少女だった。

何故か夢で見たより小さく幼い。でも同じだと鈴凛はなぜかはっきりと解った。

幼く儚い少女の肌は雪のように真っ白で、キラキラと輝く銀色の目が長い睫毛の奥で瞬いた。糸のように長い髪が川のように畳に流れている。

背中には七色に輝く羽のようなものが、見たこともない文字のような模様を泳がせながらゆらゆらと漂っている。

それは不思議に煌めいて天使の羽のようにも、柔らかな後光のようにも見えた。

月読命(つくよみのみこと)おなり」

鈴がしゃらしゃらと鳴らされる。

「おんみ あらたかに あらわしたまえと かしこみ かしこみ もうす」

少女は上品に小さく微笑みかけた。

額には不思議な模様が描かれたお札のようなものが髪留めとともに留められていた。

他の人たちが頭を下げるので、鈴凛も思わずあわせる。

百姫(ももひめ)

凛としてそれでいて柔らかい美しい声が名を言った。

「?」

誰も返事をしない。鈴凛はきょろきょろとして自分のことだと判って顔を上げる。

「ももひめ?」

「それが、今からそなたの新しい名。わたくしの娘の名。気高き第百代戦姫の名です」

わたしの新しい名前?戦姫?鈴凛は意味不明なその言葉を反芻した。

「まずは礼をしなければなりませんね」

手をちょこんとついて白い姫君は頭を下げる。

「え?」

「よくぞヤマタノオロチを祓ってくださいました」

「!」

その言葉にぞくりとする。

「やまたの……」

恐ろしい記憶が蘇る。

血の池地獄を泳ぐ、無数の蛇を集めたような大蛇。

「……!」

しかし祓ったと言われて、鈴凛は何が何だかわからなかった。

「かの素戔嗚(スサノヲノミコト)尊しか、なしとげられなかった偉大なる大祓にございます」

「わたしはあの化け物に殺されたんじゃ」

あの少年が必死に逃そうとしてくれたが、腹を背中側から貫かれ、池に戻されたことを覚えている。

一同がしんとなる。

「こほほ。覚えてないの?」

大柄の女が面白そうに言った。

「覚えて……ないって?」

すごい威圧感だったが発言した大女を鈴凛は見る。

「素戔嗚様のごとく、ばったばったとヤマタノオロチの禍々しい首を切ったのよ、あなた」

「まさか……わたしに……そんなことできるわけ」

鈴凛はわずかに口元から妙に引きつった笑みが溢れた。

しかしなんだかそんな気もしてくる。

「あなたは自分の黄泉(ヨミ)を知らなかったのねえ」

「ヨミ?」

理解不能な言葉ばかり並べ、こちらがもっと説明が欲しいのに、なぜか、みなは鈴凛の言葉の続きをじっと待っているようだった。

「……わたしは、駐車場で、あの化け物にお腹を貫かれて、それで……」

鈴凛は記憶を思い出しながらしゃべるがあまり思い出せない。

「今までそれほどすさまじい能力を持っていて、気がつかなかったとはねえ」

「すさまじい能力?」

鈴凛が自信があったのは、すさまじい不幸だったことだけだ。

そんな能力あるなら、咲や柊木勇吾があんなに調子に乗るはずがない。

「君は櫛名田(くしなだ)の生まれかわりかもしれない」

「あなたは黄泉の深部である隠世(カクリヨ)から天羽々(アメノハバギリ)を取り出し、大蛇の首を切り落としたのよ」

大女は、わけのわからない言葉をてんこ盛りにして、意味不明な説明をした。

「ちょっと……なにを言っているのか、わたしにサッパリわからないんですけど」

鈴凛はそう言っている自分の方がその場の空気に刺されているのをひしひしと感じながらも言わずにはいられなかった。

「事実、八咫烏(やたがらす)の報告……毛利(もうり)家によれば、現在まで源鈴凛様には何の兆候もなかったとのことです」

背筋をぴんと伸ばしたまま、ポニーテールの女が報告した。

「何もねえ……あの嘘つきでいわくつきの毛利家がねえ……」

佳鹿が意味深にニヤリと笑い、分厚い唇が釣り上る。

「わたしは普通の女子高生です」

鈴凛はわけのわからない誤解をされては困ると思った。

「普通?」

ぎょろりとした目で見返されて鈴凛はびくりとする。

「そう普通です」

「腹に拳大の穴が三つも開いて、脊髄が真っ二つになっても動き、核爆弾が落ちても立ち上がり、ヤマタノオロチの首をほんの1分ほどで、モグラ叩きみたいに、八つも切り落とした。それってフツーなのぉ?」

鈴凛は何も言えなくなった。

何を言っても無駄だった。

白月がみかねて口を開く。

「あなたは死んだ」

「でも」

「あなたは蘇った」

「!」

そう言われて頭がぐらりとする。

目の前の女がヘリコプターに乗っていた記憶がフラッシュバックした。

「あなたを見た。ヘリコプターに乗ってた」

「え?」

「体が抜け出て空からわたしあなたを……自分を見て」

「そうだ……どうしてあれほどの怪我がどうして」

背骨からつらぬかれた。生きているわけがない。ほぼ体は折れていた。池に引きずられながら体はボロボロになっていた。

「そなたは」

少女の小さな唇が見えると鳥肌がだった。

「寒い……」

気持ちの悪い悪寒がする。

鈴凛は思い出した。

夢の中、深海の中で、青い光の中で目の前にいる少女が口づけした。

そして何かが口から口へ移された。

「わたしの体……変……」

悪寒は体表面のざわめきにまで発展して、鈴凛は身体中を触る。

「なにこれ」

黄泉(よみ)の力で無理やり動いていたとはいえ、体はもはや使い物にならない状態だった」

頭が回らない。

「そして神籬(ひもろぎ)……精神は平坂の河岸にやっとつかまっていました」

「!」

「だから妾の阿世(あせ)……血を与えたのです」

わけのわからない言葉ばかり出てくる。鈴凛の頭はぐるぐるとした。

頭の処理が追いつかなくなって、イライラとしてきた。

「……」

なぜか、体の芯までムズムズとして熱くなってくる。

「つまり……あなたの血でわたしを−−」

「神の阿世があんたの体をスーパーにしたのよ」

佳鹿と呼ばれた女がにいっと笑う。

「はい?」

「わたしに……!な……」

猛烈な渇きが襲う。鈴凛は喉をかきむしった。息ができない。

視界がぼやけて、その場にうずくまる。

「う……う……」

必死に目を開けると、きみの悪いものが見えた。白い鱗と羽だった。

自分の左手の甲に羽毛が生えて、鱗が浮いている。

「うそ」

爪が鋭く伸びて、畳に食い込んでいった。ひゅーひゅーと不気味な音が喉の奥からする。

「あ……あ」

「いかん。(かんざし)を!」

「明が強すぎる」

「ヒヒイロカネをもて!」

「わたしに何を」

「そなたは死にかけていたのです」

月読命は悲しげに言った。

「ううああ……」

「佳鹿!」

大女が赤金色の簪をポニーテールの女から受け取ると、なんと勢いよく鈴凛の手の甲につきたてた。

「ごめんねえ」

「あああああうああああああ!」

激痛が左手に走り、紫の液体が吹き出していた。

「なに……す……ああ……血がなんでこんな」

気味の悪い紫色の血が溢れてくる。

「そなたの意思を問うまえに、妾はそなたに明をさずけるしかなかったのです」

「明?」

「明がそなたの壊れかけた体を蘇らせたのです」

「なにこれ……」

「大丈夫よ。明によって、傷はすぐにふさがる。あなたの体は少々のことでは死なない便利な体になったのよ」

大女が不気味に笑っていた。

「ひ」

「気持ち悪い」

肉が蠢いて傷が塞がっていく。もぞもぞと自分から動く紫の汁を纏った肉たちは虫のようで気持ち悪い。

「なんなの……これ」

鈴凛は吐き気を催した。まるで自分の体ではない。

頭がガンガンする。

「あなたは神に選ばれ血を分け与えられた。永遠に神の手足として生き続ける」

「永遠に戦い、生き続ける」

その響きが何故かとても恐ろしかった。

鈴凛は恐ろしい勘違いをしていたことに気が付く。

ここは天界でもないし、自分は天女になったわけではなかった。

不幸は死んでなお終わらない。

「気持ち悪い!いやだ!こんなの……信じない!」

鈴凛は簪を抜き取ると放り投げた。傷口をかきむしる。

「これは夢だ!まだ夢をみてる!」

手を庇うと、走り出す。

「ああ!お待ちを!」

渡り廊下を走る。

五つの反り橋が霧の向こうへ続いていた。

「あっちに出口があるのかも」




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