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100点満点の僕の異世界生活  作者: 岐阜の小説家
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異世界転生

俺の名は吉良航大。実は俺、さっきトラックに引かれて死んだんだ。で、神様が俺に第二の人生を与えてくれたってわけ」

「……は?」

俺の言葉を聞いた瞬間、目の前の少女は目を見開き呆けた表情を浮かべる。

そして、すぐに頭を抱え込みうめき声を上げ始めた。

「えっ!? なに? どしたの?」突然のことに慌てる俺だったが、少女はそんなのお構いなしに叫び続ける。

「あー! もうなんでこうなるかなぁ!」

「おーい、もしもし?」

「はいはい、聞こえてますよー! ったく、ホント面倒くさいなぁ……」

そう言うと彼女は大きくため息をつきながら、顔を上げる。

その目は先ほどまでの虚ろなものとは違い、しっかりと俺の方を捉えていた。

「やっと目覚めたわね。私は女神のミル。よろしくね」

女神を名乗る美少女はニッコリと微笑みながら、自己紹介をする。

「ああ……うん。よろしく」

「反応薄いなぁ。もっと驚いてもいいんだよ?」

「驚くも何もいきなり異世界転生だの女神様だって言われてもなぁ……」

俺はポリポリと頭をかきながら苦笑いを浮かべた。

正直言って未だに頭が追い付いていないのだ。

「まあいいわ。とりあえず説明していくからよく聞いておいてよね」

「りょーかいです」

「まずあなたが死んだのは私のせいじゃないからね。そこ勘違いしないでほしいんだけど」

「ん? どういうこと?」

「私の管轄外の世界で起こった事故だから責任なんてないのよ。それにこの世界で生き返らせてあげるって言ったけど、それはあくまでおまけみたいなものだから」

「じゃあ何のために生き返らせてくれるんだ?」

「そ・れ・は……あなたの魂を他の世界に送るためよ」

「はい?」

「つまりは新しい人生をスタートさせるための準備期間といったところかしら」

「ちょっと待ってくれ。話が急すぎて全然理解できないんだが……」

「う~ん、どうしようかしらねぇ……」

困ったように頬に手を当てる彼女を見て俺はふと思った。

(あれ? これってもしかしてチャンスじゃないか?)

こんな機会滅多にないだろう。というより一生に一度あるかないかだと思う。

ならば今のうちにいろいろと聞いておくべきだと考えた俺は思い切って尋ねてみることにする。

「あのさ、いくつか質問していいかな?」

「なによ改まって。別に構わないけど」

「まず一つ目だけどさ。俺ってこれからどこに行くことになるんだ?」

「それは言えないわね。でも心配はいらないわよ。ちゃんとした世界に飛ばしてあげるから」

「二つ目に聞きたいのはこの体のことなんだが」

俺は自分の体を指差しながら彼女に問いかける。

すると彼女は首を傾げながら不思議そうな顔をしていた。「それがどうかしたの?」

「いや、なんつーかさ。明らかに若すぎないかと思って……」

「ああそういうことね。それは私があなたの年齢に合わせて調整したからよ」

「はっ!? マジで!?」

「ええ。ちなみに今のあなたは16歳の高校生という設定になってるわ」

「ちょっ! 16歳って……完全に子供じゃん!」

「大丈夫よ。向こうには学校っていう教育機関があるらしいし勉強なら問題なくできるはずだから」

「いや、そうかもしれないけど……そもそも言葉とか通じるのかよ?」

「それもバッチリよ。言語については自動翻訳されるようになってるから安心なさい」

「ほぇ~、便利なもんだなぁ……」

彼女の話を聞いているうちに感心するばかりだった。

「あとは何かあったかしら?」

「あー、そうだなぁ……」

他に気になることと言えば……と考えてみたが特に浮かんではこなかった。

なので俺は最後に一番重要なことを尋ねることにした。

「じゃあさ、俺の願い事なんでも叶えてくれるんだよな?」

「ええそうよ。ただしできることとできないことはあるけどね」

「たとえばどんなことができるの?」

「う~ん……基本的には何でもできるわよ」

「へえ……例えば世界を滅ぼせちゃったり?」

冗談半分で聞いてみると彼女はあっさりと答えた。

「もちろん可能よ」

「……はい?」

「だから世界を滅亡させることもできれば創世することもできるわ」

「…………」

俺は思わず絶句してしまった。まさか本当にそんなことが……? 俺の表情を見た彼女は慌てて否定した。

「あっ! ごめん言い間違えたわ。正確には『今のところは』不可能ということね」

「なんだ驚かすなよ……」

ホッと胸を撫で下ろす俺を見て彼女はクスッと笑う。

「まあ私としてはそんなことはしてほしくないんだけどね」

「そりゃそうだろうなぁ……」

「だってそんなことしたら面白くないもの」

「面白さの問題なのか!?」「ええ、その通りよ」彼女はキッパリと言い切る。

どうもこの女神様は変わっているようだ。

「はいはい、わかったよ……」俺は小さくため息をつく。

だが次の瞬間、俺はあることに気が付きハッとする。

「あれ? ちょっと待ってくれ。ということは……」

「ん?何かしら?」

「もしかして……異世界転生ってただの暇潰しだったりするわけ?」

「ギクゥ!!」

……おい女神様。今めっちゃ分かりやすい反応しましたよね?

「はぁー……。やっぱりかよ」

「い、いや違うのよ。これはあくまでもついでというか……」

「おまけって言ってたもんな」

「ぐぬぅ……」

彼女は悔しそうな顔をしながら下唇を噛んでいた。

(女神様って意外にポンコツだな)

なんて思っていると突然、目の前が光り輝き始めた。

ああ、俺はこれから異世界に飛ばされてそこで暮らしていくんだな。

「それじゃあ頑張ってね。私の可愛い勇者さん♪」

女神様はウインクしながら手を振っていた。

「はいはい、わかりましたよっと」

こうして俺の新しい人生が始まった――。

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