お前は誰だ…?
言い放たれた言葉は波紋のように広がり、室内にいる宰相と国王陛下の頭にその言葉が流れ込む。グルグルと同じ言葉が残り、そして思考が停止した。
「どうされました?」
心配そうな声に我を取り戻せた国王陛下は、震えた声で息子であるルシオンに確認をした。
「お前は、ワシ…コンクル・フォン・アルバと最愛の妻エボルシの間に生まれた息子、ルシオン・フォン・アルバか?」
「そうですね、どう答えたものか…。俺の父と母はすでにいません。しかしこの身体の持ち主であった彼の両親は?と聞かれたらあなた方だ、と答えます。俺が転生したのは昨日のベットで起きた時です。熱で亡くなった彼の元に俺が転生した、そう考えるのが妥当かと」
淡々と答える息子であった者に、畏怖を感じるとは思っていなかった国王陛下は、ゴクリと息を飲んだ。彼は熱でいなくなったと、起きたら転生してたと言われても理解し難い状況で、宰相の方に視線を向けるも本人は、直立不動のまま気を保てていなかった。
「まて……五百年前…?お前はそう言ったな。もしや、アルシオン・フォン・アルバ様…か。そうか、だから王族で六属性なのか」
「確かに俺はアルシオンだが、何故、今世も王族で同じ六属性なのかはわからない。そこはアースが知っているんじゃないかと思う。死後、彼に言われた『またね』を考慮すれば、意図せずの転生とは考えにくい」
ルシオンに宿った者の正体に気づいた国王陛下は、自身で発した言葉にもかかわらずその言葉に驚愕の表情を貼りつけた。自身の言葉に驚くというのは滑稽だが、それ程までの驚愕だということはよくわかる。
普通に考えればあり得ないこと。遥古くに生きていた者が、また命を持つとは前例がない。知らないだけかも知れないが、それを耳にすると信じたくない気持ちが勝ってしまう。
「十五年…たった十五年。ワシの息子は十五年の命だったという訳か……」
国王という立場からすると、初代国王は心強い存在。だが、人族コンクルの立場では自身の息子を乗っ取った存在になる。当然、「はい。そうですか」で納得出来ることではない。
焦燥感から殴りたい気持ちが溢れるも、その拳が捉えるのは息子の身体であり、息子を殴るのと変わりないこと。
コンクルはやり場のない怒りを静めるのに必死だった。
五分程かけて心を静めた国王陛下は、チラリと宰相に視線を向ける。
宰相は顎に手を置き、何やらブツブツと呟いている。「放置だ」彼はそう結論づけた。
「ワシとしては、今後も変わりなくお前をルシオンとして、そう接する。魂がアルシオン様であっても、ワシからすればルシオンだからだ。だが、問題は他の者にどう説明するか、特にエボルシは発狂し反抗するだろう。最悪、自害しかねん。腹を痛めて生んだルシオンを返せと、絶対に言うとワシは思う!」
最後だけまるで確信しているかのようにハッキリと言う姿に、呆れると同時に悲しい気持ちが込み上げる。
自分の息子であったアルトが突然、知らない者になったらと考えると、怒りに任せて殴る。そう思ったからだ。
「…それで、お前達は今後どうするのだ」
二人は問われた言葉に、示し合わせたように同時に答える。
「「まずアース(様)に会う」」
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