顔合わせ
冒険者ギルドのギルドマスター改め、ハイエルフ族のリゲルさんは、今代の王族と顔合わせをして欲しいと言う。
王国にいながら王族を知らないというのは失礼かと思い、了承した。
リゲルさんは店に来る前に王城へと向かい、事前に陛下へ謁見し顔合わせの日取りを決めて来たらしく、本人はホッとしていた。
「失礼、待たせてしまい申し訳ない」
「いえ、突然のことですので」
入口から離れた奥の位置に僕、その隣にカイト、僕の前に国王陛下、入口付近にリゲルさんが着席。リゲルさんの背後にギルド職員、国王陛下の背後に騎士、と狭い室内に六人が入った。更に階段近くに騎士がもう一人と、結構厳重だ。
「今代の国王をしている、アグエイアス・フォン・アルバです」
「アースです。この星の神様やってます」
「アース様…こういう時はもっと、キチンとしないと」
ため息混じりにカイトは言うが、僕は硬いの苦手なんだよ。残念だが諦めてくれ。
思い出し笑いか、フフッと笑うリゲルさん。
少し空気が緩んだところで、本題へと入った。
「アース様は、アーテル聖国をご存知ですか?」
「嘘で塗り固めた聖典を信じた国ね」
ド直球の言い方に若干引き気味のアグエイアスさん。
「はい。その国から女性二人が王国へ移住して来たのですが、問題が起こりまして」
「噴水のとこにある像を見て、聖典に書かれてないのに何よこの像は!っていう感じ?」
「あ、いえ、噴水広場で冒険者の方が聖典は間違いだと発言したことに、激怒した形です」
ありそう。起こりそう。
人は信じて来たことを否定されたり受け入れられなかった場合、確認より先に口が出るものだから仕方ないのかも知れない。
だが、彼の話はまだ先がありそうだ。
「その二人組が翌日の朝に、王城近くの図書館へ入ったと報告があったのですが、そこでも問題が起こったんです」
「なんだろう、嫌な予感がするけど…まさか、本を破いたとか?」
「そのまさかです」
こういうのをフラグ回収と言うんだろうか。
アーテル国民は皆そうなのか?
「まだある?もう、ないよね?…なくて良いよ」
「あります」
「聞きたくないなー。カイトさん代わりに聞いてもらって良いですか」
彼は首を振りアグエイアスさんを促した。まぁ要するに、聖典は嘘っぱちだと言われて怒った。その後、メイドに確かめに行こうと誘われ、王国の本を読んで見て、こんなのは間違ってると破いたらしく、今は王城の地下牢に繋がれている。
それだけ、聖典を信じてたのかと呆れてしまった。
アグエイアスさんのお願いは、聖典をどうにかして欲しい。
「本人じゃなくて聖典か」
確かに、元を正せばこれ以上の被害はなくなるけど…問題は別大陸ってこと。「取りあえずその人に会おうかな」と、重たい腰を上げるのだった。
読んで頂きありがとうございます!




