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神様のお楽しみ!  作者: 薫
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青年は下界へ

神様って忙しいと思います。

普段過ごしている中で、神様を信じている人もいれば信じていない人もいるでしょう。

不幸なことが起こった時、「神様なんていない」と思うことがあるかもしれません。しかし、神社なんかに行くと神様にお願いしていますね。

神様の存在を否定されたり、お願いする時は求められたりと「どっちやねん」と思いたくなるのも仕方ないと思います。

 「おー、変わらないなぁ。ぅん?少し広がったのかな?」


 長袖の白シャツにフード付きで膝下まで長い黒色ジャンパーを羽織り、くるぶしの辺りから青色に変わっている黒色のメンズパンツ姿。黒・青・白の三色で彩られた半長の安全靴を履いている青年がいた。

 黒髪に少し幼さが残る顔立ちで、見たことのない瞳を持っていた。鮮やかな青に薄茶色、そして黒い瞳孔(どうこう)。背は少し伸びている。

 同じ列に並ぶ者達とは明らかに違う服装に、物珍しそうに見る者がちらほらと。


 一時間と少しで彼の番となった。

 何の問題もなく、冒険者ギルドカードを受け取り入国する。彼がこの国に来るのは実に三百年振りだった。



 街並みはあまり変わらないものの、建物に使われている赤茶色の石に笑みがこぼれる。

 記憶を頼りに着いた冒険者ギルドもまた、木造から赤茶色のレンガへと変わっていた。ギルド内のガヤガヤとした声や光景は懐かしい。

 

 「すみません。ギルドマスターをお願いします」


 「はい?そういった予定は入ってませんが……」


 「そうですか、なら伝言をお願いします」




 ギルドを出て、平民区へ足を向ける。彼は元気でやってるかな。そう思いながら、ゆっくりと歩を進めた。







 


 「あ、あの、ギルドマスター!今よろしいですか?」


 昼食の為に階下へ降りると受付嬢の一人、テスターが声をかけて来る。


 「先程、冒険者が来てギルドマスターに面会を求めてきたのですが、断りました。なら伝言をと言われたのですが、一応報告を……」


 「伝言の内容は?」


 「は、はい。『トリス』、それだけです」


 トリス……?トリス?……まさか、彼女か?いや、彼女は亡くなっている。彼女を知る人物…三百年も前のことを誰が……


 「意味のわからないことを伝言するなんて、非常識ですよね。仕事に戻ります」


 「まさか…」


 彼女は小首を傾げこちらを振り向く。かまわず私は、彼女の両肩に手を置き質問した。


 「その方は…黒髪で黒と青の服装…でしたか?」


 「え、はい。えーと、ギルドマスター?」


 周囲の冒険者や他の受付嬢が私達の会話に注目している。

 嘘であって欲しかった。返答は、「違う」を半分程期待していた。後の半分はそうであって欲しい思い。

 彼女は、「はい」と答えた。あぁ、彼が帰って来たんだ。


 「あなたは知らないようですが、その方はこの王国の重要な方です。決して失礼なことがあってはならない」


 ゴクリと息を飲む彼女は、少し身体が震えている。

 

 「さっき伝言を受けたとあなたは言った…なら、次に行くのはあの場所か」


 私はギルドの扉を押し開けて、久し振りに走った。走るのは何百年振りだろうか。

 私は今、どんな顔をしているのか。

 彼はこの王国をどう思うだろう。




 私は、彼がいるであろう『食の棚』ではなく王城へと向かった。

神様は存在していて欲しいと思っています!


読んでいただきありがとうございます!

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