第一章 優魔族のリズ
本日投稿小説、3/3話
私に父はいない。
母と共に人間界へ来た。どうやって来たかと問われたら答えられないけど、私達は人族ではない。
母は悪魔族で、私は優魔族。鑑定したからわかる。
ジッと対象を見ると、詳細がわかる。それが鑑定というスキルだと、母から教わった。
私の種族が優魔族と知った母は、複雑な表情をしていて、「魔化はダメ」そう呟くのが聞こえた。
母から、優魔族とわからないように姿を変える、”部分変化”を教わった。変えたい部分を魔力で覆うように意識すると習得出来るスキルで、何度も気絶してようやく習得出来た大切なスキル。
そして、人族として母は男と結婚した。男には娘がいた。母と私のような、寂しい関係だった。けど、四人で暮らすようになって少しずつ、笑顔が増えていった。
あの人が来るまでは。
その人を見て、初めて恐怖を知った。
見てはいけないものを見てしまったような気がした。
妹が相手している冒険者を鑑定しても、わからなかった。
今まで鑑定で見て来て、わからないということはなかった。誰を見ても、何を見ても鑑定なら全てわかる。それが当たり前だったのに、その冒険者のことだけは、わからなかった。
名前は、アース。種族、不明。年齢も不明。適正属性も不明。
直視してはいけないと、本能がそう判断していた。跪き頭を下げなければと、何故か思っていたが身体が思うように動かなかった。
アースという冒険者が去っても、男が妹を殴っても、冒険者が呼んだ衛兵に男が連れていかれても、客である彼らが皆宿を出て行っても、私はずっと動けなかった。
変わり果てた目の前の光景が理解出来なかった。
そして、妹が姿を消した。
また、私達は二人になった。
宿を売り払い、最低限の荷物を持って平民区の安い建物へ移った。
アルバ魔法学園の中等部Aクラスへ通うようになった。母の為に冒険者として活動した。学園と冒険者を両立させるのは難しくて、でも母の為にと耐えて高等部へ進級した。
妹が姿を消して、そろそろ四年経つ。高等部冒険科コースAクラスも二年目になる。
カウボアを討伐し、討伐証明の牙を回収したので城壁門へ向かおうとしたその時、背後から殺気を受けた。
振り向くと、黒いマントに腰まで長く伸びた赤い髪の人が立っていた。所々血の跡があり、寝不足だろうか目元のクマが目立つ。
警戒しながら鑑定をした。
「通してくれ!」
冒険者ギルドの入口で順番待ちをする冒険者を押しのけて、受付に辿り着いた。
「リズさん、困ります!順番を守って下さい!」
「うるさい!!」
シンと静まるギルド内。
急いで来たのがわからないのかと、怒りが込み上げる。
「ギルマスを呼んでくれ!今、すぐに!」
「ダメです!」
「急を要することがわからないのか!」
その時、上から「何の騒ぎです」と声がした。声の主はギルマスだった。
厳しい表情のギルマスと共に部屋に入ると、あの人がいた。
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