終戦
『現在、我らの故郷は敵、ファフニール軍の対惑星兵器によって狙われている!』
敵機を撃墜しながら、流れてくる演説に耳を傾ける。
『この作戦が失敗すれば、我々の故郷であるアルメダスターが敵の兵器により消滅してしまうであろう!』
敵の主力要塞が見えたので、トリガーを引く。
愛機の右腕から高出力のレーザーが発射され、数隻の無人防衛艦を落としながら要塞に壁を開けた。
『これは最終決戦である!故郷を失わない為にも戦士達よ命の限り戦ってくれ!』
演説に舌打ちしながら、障害になる壁や敵の迎撃システムを破壊し、要塞の内部に侵入していく。
そこで別の通信が入った。
「隊長、対惑星兵器の動力炉の場所がわかりました!座標送ります」
「助かるよ、そこに行って動力炉を破壊してしまえばいいんだね」
座標の方へ進路を変更し壁に穴を開ける。
「隊長!誘爆の恐れがあります。軽率な判断は」
「わかった、動力炉に着いたら っ!!」
背後から嫌な予感を感じ、横の道へ入った。その直後後ろからレーザーが通り過ぎて行った。
「見つけたぞ、アルメダの死神!今のレーザーを避けるとは流石だな」
「ファフニールの黒騎士様のお出ましか」
「貴様に味合わされた苦渋の数々...今こそはらすぞ!」
黒騎士は剣を抜き、機体を走らせる。
「何度もしつこいな!お前がいつもちょっかいかけてくるからだろ!」
「隊長大丈夫ですか?」
「ごめんちょっと黙ってて!」
こちらも左手で剣を抜き黒騎士の剣と数撃打ち合ったあと、右手のレーザーで牽制し距離を取り動力炉へ向かう。
「待て、逃すか!」
「時間が無いんだ!兵器を止めた後ゆっくり相手してやるから!」
黒騎士と射撃戦を繰り返しつつ動力炉の座標に近づいて来た。
「くそなぜこうも当たらん!レーザーを躱すなぞ、お前は本当に人間か!?」
「それを言うならあんたもだろ!本当にしつこいな!」
レーザーで壁に穴を開け潜り込む。
「!?ここが動力炉か」
「動力炉に着きましたか?なら...」
「うっ!」
黒騎士が剣で切り掛かって来た。それを受け止め鍔迫り合いが始まる。
「ふん、認めたく無いが流石だな、単騎でここまでこれる者がいるとは。」
「くっ喜ぶに喜べないな、あんたが目の前にいるせいで生きた心地がしないよ」
「隊長!エネルギーを作り出している動力筒を破壊して下さい!」
「あの回転してるトンネルみたいなやつか!」
「そうです、ですがエネルギータンクは絶対狙わないで下さい!かなりの規模の爆発が起きてしまい隊長が危険です!」
「わかった!」
「私との戦いでよそ見とは余裕だな!」
「うわ!」
黒騎士は鍔を滑らせ、右手を切り落とされた。
しかし咄嗟に軽くなった剣を黒騎士の機体の胸に突き立て切り上げた。
「ぬぅ!はやったか!」
「黒騎士もうやめろ!その機体で無茶をするな」
黒騎士は機体から剣を落とした。
「ふっお前は優しいな」
「え?」
「お前はこの戦争で何人殺した?」
「....」
「確かに我がファフニール軍の戦士はお前に数多く殺されただろう」
黒騎士は頭にあるコクピットを開けた。
「だがお前は敵を無力化することばかりで極力人を殺さぬように戦っていた」
何を考えいるのか理解出来ず、黒騎士の話しを聞く。
「私は手加減などしなかった...貴様の仲間を見つけ次第殺した...そんな私にも今トドメを刺さない」
「あんたもすげーやつだよ、殺されたのは戦争だから仕方ない、俺も殺したしな」
黒騎士はコクピットを閉じた。
「ゆけ!アルメダの死神、レーザーの撃てないその機体ではここの破壊は無理だろう」
「いや!そうゆうわけにはいかない」
「私が破壊する」
「え?」
「貴様自爆でもする気だろう?」
「う...」
「後に平和な世が来るとして、貴様みたいな人の命を大切に出来るものには生きて欲しい」
「でも」
「私は敗北した、本来ならここで殺されても仕方ない」
「信じていいのか?」
「私はこれでも騎士と呼ばれているのだぞ?」
「わかったごめん」
「ふっ謝るな、ゆけ」
俺は先程開けた穴から黒騎士に背を向け出て行く。
しばらくして要塞は爆発した。